2017.09.20

千葉市美術館で「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」を見る

千葉市美術館で「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」(2017/9/6- 10/23:1200円)を見た。ボストン美術館の所蔵品から鈴木春信作品と関連作品、約150点で構成されている。最大の見所は、ボストン美術館の収蔵品ならではの保存状態良好な作品の発色の良さだろう。まあ、きれいなものだ。そして、改めて鈴木春信という絵師の不思議なところを浮き彫りにした展示でもありました。

構成としては、春信登場の直前、先行して登場した奥村政信(1686-1764)、石川豊信(1711-85)、鳥居清広(生没年不詳)と、初期の、錦絵ではない春信作品から始まる。これが宝暦期(1751-64)。次が錦絵が登場する明和期(1764-72)のはじめ、絵暦交換会での作品。あとはテーマ別に見立絵、恋人達、日常生活、江戸の風俗と並んで、最後に春信の亡くなった1770年以降の春信フォロワーの作品となる。

春信は、1725年に生まれたらしいのだが、正確なところは分かっていない。没年は1770年で、デビューは1760年。不思議なのは10年と短い活動期間で多色摺りの錦絵を完成させ、さらにテーマを広げてていること。デビューしたのが36歳と遅いのも不思議だ。そして多色摺りが始まるのはデビューから5年後の1765年である。活動期の終わりの方では、実在の評判娘や江戸の名所を積極的に主題とする作品を作成し、その後の浮世絵の方向性を決めてしまった。

図録の解説を読むと、どうやら春信は「生活のために筆を執る必要はなく趣味が高じて浮世絵師になった可能性もある」とのことで、お金と時間はあったらしい。また、ご近所に平賀源内がいて春信と交遊していたらしく、平賀源内が多色摺り完成に関わったのかもしれない。

千葉市美術館では、春信展に合わせて、千葉市美術館の所蔵作品で構成する「江戸美術の革命−春信の時代」を併せて開催している。「多色摺版画で浮世絵の歴史に革命を起こした鈴木春信が活躍した宝暦後期から明和期、それはまさに江戸美術の革命期でもあったのです」として、若冲や曾我蕭白の作品を展示している。春信と若冲や蕭白が同時代の絵師である、というのは、言われてみればその通りですが、あまり私の頭の中では結びついていなかったので、少し感心してしまいました。

春信展は千葉市美術館のあと、名古屋ボストン美術館(2017/11/3-2018/1/21)、あべのハルカス美術館(2018/4/24-6/24)、福岡市博物館(2018/7/7-8/26)へと巡回する、とのことです。


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2017.09.18

iPhone 8を予約してみた

2017年9月12日、日本では13日未明にアップルがiPhoneの新機種を発表しました。

iPhone 3sから、2年に1回、「s」の付く機種を購入してきて、現在iPhone 6sを使用している私としては、買い換えかなと思っております。それに今、使っている6sは落としてディスプレイ表面にひびが入っているので、その辺も多少は背中を押してくれます。

一方で、ディスプレイ以外に何か不便な点があるのかというと、特になくて、もう1年使っていいかなあ、と思わなくもないのですが、諸々調べた結果、買い換える気になりました。iPhone 8の256GBモデルに決めました。

一応、覚え書きとして理由をまとめておきます。

まず、8 PlusやiPhone XではなくiPhone 8を購入する理由ですが、大きさです。私は手のひらが大きくないし、指も短い方なので大きさは重要です。

iPhone 6sは扱えているので、微妙に大きくなっているiPhone 8なら許容範囲です。まあ、慣れの問題かもしれませんが、iPhone 8より大きなモノに慣れる気は今のところありません。

仕様面では8 PlusやXはオーバースペックです。特にカメラは6sのもので十分。まあ8は7と同じく光学式手ぶれ補正が入るから、それはそれでOKだけど、普から常にデジカメを持ち歩くので、よりシビアなシーンでは使い慣れていて、ほぼ細部までコントロールできるデジカメを使います。というわけで、スマホにそんなに高級なカメラ機能は不要と思ってます。その分、安くしてくれ、と思うわけですが、まあ安くなるわけがない。

一方で、iPhone 8に買い替えるモチベーションを支えてくれる機能ですが、
・CPUが当然、高速化
・ストレージが256GBに
・Bluetooth 5に対応
・衛星測位システムとして「みちびき」に対応
といったところです。

CPUが速くなるのは毎度のことなので、さほど感動はないように思えるのですが、速いに越したことはない。あと機械学習用の「ニューラルエンジン」が入ったのは面白いとは思いますが、用途が今ひとつ分からないので保留という感じです。

とりあえず、ヨドバシ経由でソフトバンクのiPhone 8、256GBモデルを、2017年9月15日22時51分に予約しました。さていつ受け取れるか、連絡を待つことにします。

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2017.09.17

2017/9/11-9/15の気になったニュース:iPhone 8がBluetooth 5対応になった件など

2017/9/11の週はAppleが新iPhoneを発表しました。それに合わせていくつか興味深い発表がありました。とりあえず下記の2つは覚えておこうと思います。

Bluetooth SIG、Bluetooth 5対応スマホをサムスンとアップルが製品化
https://www.bluetooth.com/ja-jp/news/pressreleases/2017/09/bluetooth-5-smartphones-from-samsung-and-apple-hit-the-market

「Samsung Galaxy S8、S8 +、Galaxy Note 8 と、Apple iPhone 8、8 Plus、iPhone XがBluetooth 5を採用しており最高のワイヤレス接続を実現しています」とのことで、Bluetooth 5が普及しますよ、ということらしい。iPhoneで採用されると、ほかのメーカーのスマホでも対応しないわけにはいかないでしょう。Bluetooth 5の特徴は本格的なIoT対応ですから、スマホを中心にしたIoTシステムがより安価に構築できる、とかいったことになるなんでしょう。

ソフトバンクなど、大容量を実現の「MIMO」技術を進化させた新技術「Massive MIMO 2.0」など4種類を導入
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20170913_05/

「ソフトバンクとWireless City Planningは、大容量を実現する「MIMO(Multi-Input Multi-Output)」の技術をさらに進化させた新たな技術「Massive MIMO 2.0」「Distributed MIMO」「MultiUser MIMO」「UL MultiUser MIMO」を2017年9月22日より導入します」とのこと。Wireless City Planningは旧ウィルコムの通信技術を継承したところで、モバイル系のデータ通信の技術開発とネットワーク構築がメインの会社。発表内容はソフトバンクの端末で混雑時でもそこそこの通信速度を確保できるようにする仕組みについてです。iPhoneなどのスマホとかモバイルルーターなんかが利用できます。

次が3次元距離センサーのリリース2件です。

パナソニック、広範囲での三次元距離計測を実現する3D LiDAR(ライダー)を開発
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/09/jn170911-1/jn170911-1.html

「周囲にある物体までの距離と方向を正確に計測できる三次元距離センサ3D LiDAR を開発しました。本開発品は独自構造を用いたレーザスキャン技術により、垂直方向60度、水平方向270度の広角スキャンを実現しました。距離計測空間の拡大により、自律移動ロボットの安定走行に貢献します」とのこと。「当社は、光ディスクドライブ事業で培った光学設計技術とモータ制御技術の活用により、独自構造を用いたレーザスキャン技術を開発し、垂直方向60度、水平方向270度の広角スキャンを実現しました」というが面白かったんですが…。下がその技術解説の図です。

Pana


NECソリューションイノベータ、3Dセンサで立ち姿勢を測定する「NEC 立ち姿勢判別システム」の提供を開始
http://www.nec-solutioninnovators.co.jp/press/20170915/index.html

「「NEC 立ち姿勢判別システム」は、測定用の器具などを装着することなく、3Dセンサに向かって3秒間立つだけで身体の歪みを測定し、点数化するシステムです」。こちらはスポーツとか健康系です。そのうち、どこかのスポーツ店とか病院なんかに入ってくるかも。

次はお天気関連を2件。

ウェザーニューズ、2020年に向けて筑波大学と都市気象の共同研究を開始
https://jp.weathernews.com/news/18301/

「ウェザーニューズは、2020年を見据えて、都市部で起こる局地現象を高精度で捉える都市気象予測モデルの実用化を目指し、9月1日より筑波大学計算科学研究センター日下博幸教授と都市気象に関する共同研究を開始し、9月13日に気象予測モデルの精度を検証するために観測を実施しました。観測当日は、つくば市内の4か所で気象観測ドローン、観測気球、地上観測機器の計11台を用いて、予測モデルの精度検証に必要な地表から上層にかけての気象データを取得しました」。つくば市が都市なのか? 郊外じゃん、とまずは思いましたが、いかがなもんでしょう。

まあ、それでも「都市部では熱帯夜に代表されるヒートアイランド現象、ビル風、都市型ゲリラ豪雨など都市特有の局地現象(都市気象)が発生します。そのような局地現象を予測するためには、建物周辺の気流を表現できる1m〜100m程度の解像度のシミュレーションを行うことが必要です」というのは、そうなんでしょうねえ、とは思えます。東京で実際にデータをとるのはいつごろなのか、興味深いところです。

海洋研究開発機構と東大、地球温暖化が台風の活動と構造に及ぼす影響を解明
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20170914/

「海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」)ビッグデータ活用予測プロジェクトチームの山田 洋平 ポストドクトラル研究員、小玉 知央 研究員及び東京大学大気海洋研究所の佐藤 正樹 教授らの共同研究チームは、地球全域の雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像大気モデル「NICAM」をスーパーコンピュータ「京」で実行し、のべ60年間分に及ぶ気候シミュレーションを行うことで、地球温暖化による台風の活動や構造の変化について解析しました」とのこと。

「台風の周りの風速の分布を比較した結果、同じ強度(中心気圧)の台風では地球温暖化時に強風域の範囲が拡大することがわかりました。また、このような風速分布の変化は台風の壁雲の雲頂高度が高くなることに関連していることがわかりました。さらに、地球全体における台風の活動の変化傾向は、一年当たりの地球全体の台風の発生数は減少するが、その中で強い台風の発生割合は増加し、台風に伴う降水は増加することをNICAMを用いて定量的に示しました」。台風の数は減るけど、強い台風は増える、というのは最近の状況とマッチしてます。


最後に宅配ボックス。

ミサワホーム、最大2つの宅配ボックスを内蔵した玄関ドア「CONSIGNEEコンサイニー※ DOORドア(ドア内蔵タイプ)」を開発
http://www.misawa.co.jp/corporate/news_release/2017/0915/

Misawa

「ミサワホームは、最大2つの宅配ボックスを内蔵できる玄関ドア「CONSIGNEE DOOR(ドア内蔵タイプ)」と、ゴルフバッグなどの大型宅配物を受け取れる荷受用外部収納「宅配スペースドア」の運用を開始、4月より展開している「CONSIGNEE DOOR(袖ガラス組み込みタイプ)」に加えて宅配ボックスのラインアップを拡充します」とのこと。パナソニックの宅配ボックスが品切れ状態に一瞬なったりして、宅配ボックスのニーズが急上昇していますが、こちらはハウスメーカーの独自対策のようです。ミサワホームにはこのような対策があります、というもの。扉そのものを宅配ボックスにするというのは面白い発想です。でも、このパターンだと、オートロック付きのアパートとかマンションには使えないなあ、と思うわけです。一戸建て用ですね。

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2017.09.10

神戸の竹中大工道具館で大工道具の歴史を味わう

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新幹線の新神戸駅のそばにある「竹中大工道具館」(500円)に行ってみた。名前の通り竹中工務店が運営する大工道具の博物館です。前から気になっていたのですが優先順位がちょっと低かった。しかし、この夏休みに関西に来て、美術館に行こうにも、伊丹市立美術館の企画展を見たら、後は既に東京で拝見したモノ(バベルの塔)とか、これから東京に巡回するモノ(怖い絵)だったので、そういえばまだ行ったことがなかったこの博物館に行くこととなりました。結果としては、2時間ほどかけても、見終わらなかったほど、面白かった。また来たいな、という感じです。しかし500円の料金で2時間、退屈せずに過ごせるとは、恐るべしです。

大工道具の歴史の話でも、製材から始まります。木を切って、板にするわけです。というわけで最初に登場するのは斧。それも石斧と鉄の斧の違いから始まり、単にそれぞれの斧を展示するだけでなく、実際に斧で倒した木を展示して、その横にあるタッチパネル付きのディスプレイ端末で、その木を実際に切っている動画を見せてくれます。数字を正しくは覚えていないけど、石斧と鉄の斧では生産性が4倍以上違う、といったことが分かるようになっている。

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いろいろと触れる展示も多いので、なかなか飽きません。個人的には墨壺でペンと線を引くところが楽しかった。ちなみに、墨壺は大工が自分で作る道具で、凝った装飾をして、自身の腕を見せるモノだったらしい。

このほか棟梁の仕事とは、とか、海外の大工道具とか、なかなか楽しめました。

建物も凝っている。門を抜けるとゆるいスロープがあって、木漏れ日の中を歩いて、建物の入口に向かう(写真下:高解像度版はこちら)。一見、平屋なんですが、展示スペースは地下にある。地下1階と地下2階が展示スペースです。

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吹き抜けを使って、大きな木造建築物を展示していました。というわけで、地下2階から上を見上げると空が見える。

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2017.08.28

伊丹市立美術館で「O JUN×棚田康司 『鬩(せめぐ)』展」を見る

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伊丹市立美術館で、O JUN × 棚田康司「鬩(せめぐ)」(2017/7/8-8/27:800円)を見た。伊丹市立美術館の開館30周年記念という力の入った企画展です。この二人のアーティストの作品は何度か見たことがあるのですが、関係がよくわからなかった。O JUNは絵画で棚田は彫刻。あまり接点があるようには見えなかった。

この企画展の説明によると「O JUN と棚田康司は1997年に初めて出会って以来、「絵画」と「彫刻」と異なる分野で活躍しながらも互いに刺激を与え合い、二人展の開催や作品を通した交流など、共鳴と緊張をもって関係をつづけてきました。そして今年、彼らは出会ってから20年という節目を迎え、美術館で初めてとなる大規模な一騎討ちに挑みます」とのこと。

まあ、O JUNの色彩感覚って好きだし、棚田のにょろんとした人物も面白い。実は棚田作品をこれだけ数多く見たのは初めてだったのですが、「一木造り」という1つの材木から作品を彫り出す手法で作品を制作していることは初めて知りました。あのにょろんとした作品は、そういう制作上の制限の元にあったということがよくわかりました。あと、なんとなく裸の少年少女像が中心かと思ったのですが、服を着ていたり、大人の女性を題材とした作品も多くあって、その辺も印象を新たにしました。

ちなみにほぼ撮影OKだったので、とりあえず、写真を掲載しておきます。下は、1階の入り口を入ったところ。ロビーの風景。入場券を購入する前にこういった作品が拝見できる。写真右側にあるのが棚田の「黒の像」で中央にあるのがO JUNの「モデルの女」。この「モデルの女」という作品は、今回の展示会に合わせて、2人が茨城県取手市にある東京芸術大学の取手キャンパスで合宿して制作した作品とのこと。このとき同じモデルを使って作品を作っているらしい。

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下の写真が棚田の取手キャンパスで作った作品。タイトルは「流れる黒」。

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2階にあがって、「わたし×わたし ME×MYSELF」というテーマ展示。O JUNの自画像があったけど撮影不可でした。下の写真で中央にあるのが棚田の「Yes」。1996年の作品で、FRP(繊維強化プラスチック)と木を使っている。顔とか足は棚田自身から型どりしている、とのこと。

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こちらも棚田作品で、「赤ちゃんとサメ」(1999年)。レリーフですが、それより関連性が分からないけど、不思議と納得できる作品。

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伊丹市立美術館に来たのは、おそらく20年ぶりとかだと思うのですが、前回は何を見に来たのか、まったく覚えていない。こういうブログを書く前のことですからしょうがないか。大阪出張のついでに空いていた時間にちょっと寄ってみたのでしょう。場所は、JR伊丹駅から徒歩6分程度のところ。伊丹は酒蔵の多いところで、美術館は古い酒蔵の建物などと組み合わせた複合施設になっている。下の写真は道路の向かい側から撮影したのですが、おそらくは土蔵をイメージした、白い建物が美術館です。

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一般的なイメージの美術館とは違って、入口の前に何かあるわけでもないけど、中庭があって、なかなかきれい。

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この中庭を中心に、江戸時代の酒蔵や商家の建物が配置されている。下の写真が旧岡田家住宅(店舗・酒蔵)の酒造りの道具が並んだ展示。

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