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2014.02.11

「あなたの肖像―工藤哲巳回顧展」を見る

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 竹橋の国立近代美術館で「あなたの肖像―工藤哲巳回顧展」(2014/3/30まで、850円)を見た。大阪の国立国際美術館で1月19日まで開催していたもので、次は工藤哲巳が少年時代を過ごした、そして父の生まれ故郷である青森に巡回する。青森県立美術館で4月12日から6月8日まで開催される。

 巡回することを知らずに大阪出張のときに、国際美術館で見て、ついあまりの分厚さにカタログを購入して、重い思いをしながら新幹線で帰ってきたのだけど、カタログは東京で購入した方がよかったなあと思う今日この頃です。ちなみに下の写真がカタログ。サイケです。厚いです。最後のノンブルは625ページってあるけど、そこからモノクロ写真が数ページある感じ。厚さ55mm。これで、なんとお値段2400円。つい購入してしまいました。

02

 工藤哲巳は1935年生まれの現代美術家。大阪に生まれ、少年時代を疎開先の青森県五所川原市ですごし、高校は岡山、大学は東京芸大。1990年に死亡。現代美術を概観するような美術展で、ときどき見る太い紐でグルグル巻きにしたり、釘を打ち付けた大きめのオブジェなんかで覚えていたんですが、今回の美術展でそのオブジェは始まりで、そこからかなりいろんな発展を遂げた作家だったことが分かりました。この作家のユニークなところは、統一した流れみたいなものは感じられるのだけど、どんどん作風が変わっていくところです。決して、自己模倣的なループには入り込んでいない。

 篠原有司男とアクションペインティングやっていたり、「インポ哲学」なる概念をもってパリに行き、鳥かごを使ったオブジェを作成したり、DNAを模した色鮮やかな糸をぐるぐる巻いて精子のようなオブジェを作成したりと、まあ途中をかなり省きましたが、いろんな表現パターンをひねり出している。ジョゼフ・コーネル的だったり、草間彌生的だったりするような気もするが、それは見る側の私がなんとなく連想しているだけで、十分にオリジナルな作品だ。

 ちなみに「インポ哲学」なるものは
 ・人間は「種の保存の奴隷」である
 ・だから絶対に自由にはなりえない
 ・ならば、人間すべてをインポ化することでのみ「種の保存の奴隷」から解放される
 ということらしい。

 まあ、よく考えましたね。

 エネルギーが溢れかえっている「インポ哲学」あたりの作品もいいけど、晩年の色鮮やかな糸を使ったオブジェがよかった。展示は年代順になっているので、中盤のグロテスクな作品にちょっと飽きたところで見るから、余計、ほっとするのかもしれない。

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