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2015.06.14

東京ステーションギャラリーで「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」を見る

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東京ステーションギャラリーで「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」(7/20まで、900円)を見る。鴨居玲は1928年生まれの洋画家。1985年に57才で自殺している。個人的には鴨居が1969年に安井賞をとった「静止した刻」は収蔵先の東京国立近代美術館で何度か見ているので、この絵のイメージが強い画家なんですが、それ以外の作品はあまり知らなかった。むしろ姉の鴨居羊子の方が作品は見ていた感じがする。まあ今回の展覧会で、いろいろと堪能させていただきました。

 まず、人物を描くのがうまく、おそらくはデッサン力が相当ある画家だということが分かる。暗澹とした色彩に厚く描き込んだタッチで、こういう絵は鴨居しか描けないと思う。晩年の作品では自画像も多く、己の内面を深くのぞき込んだ感じで興味深い。本人は彫りの深い美男で、実際の写真と自画像を並べると、ここまで自分を暗く描くことはないのにね、とも思えるが、その辺がこの作家ならではものなんだろう。ちなみに上の写真は今回のカタログの表紙と裏表紙を並べたものだ。写真はかっこいいけど、自画像は死のにおいが漂ってきて、相当に怖い。このギャップがこの画家の真骨頂なんだろう。

 ちなみに、展覧会では、安井賞前の作品から、老人達を描いたスペイン時代の作品、そして晩年の神戸での作品、デッサンを拝見できる。スペインで描いた老人達の絵もいいけど、神戸時代の作品で「1982年 私」という大作が強烈に印象に残った。真ん中に白いカンバスを前に呆然とした自画像を配置し、その周りに自分の描いてきたモチーフを総動員するという、とっても素敵で怖い作品。

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 結局、鴨居の生涯に興味を持ってしまった。特にどうして死に至ったのかカタログにはほとんど何も書いていなかったので、この展覧会に合わせて出版された「鴨居玲 死を見つめる男」(講談社、1600円)という鴨居の絵を扱っていた日動画廊の長谷川智恵子氏が書いた評伝を買って読んでみた。読んでみてなるほど、と思ったことがいくつあった。

 絵については、師事した宮本三郎の影響でデッサン力は十分にあっても、それだけで描いていては宮本三郎の絵に近いモノになってしまい、それは鴨居の絵ではない、というアーティストらしい考えで画業に取り組んでいた、ということ。おそらくは、デッサン力を基礎にして物語性を加えた作品を構築することで、自分の作品としたかったのだろう。もちろん、それは成功していたと思うが、その作業を続けていくことは相当に大変なことだったはずだ。それが晩年の自殺につながる。

 人間関係についても、複雑で、姉の鴨居羊子、妻で服飾デザイナーの舟橋和子、晩年を支えた写真家の富山栄美子などの女性に助けられて、画業を続けていた、という感じがする。妻とは別居状態で、死の2年前に離婚。写真家の富山との生活はスペイン時代から、というところも。この時代の芸術家らしい。

 いずれにしても、画廊の経営者という画家を支えてきた人による評伝で、関係者の証言を集め、実際に仕事を通じてプライベートな部分までサポートした筆者にしか書けない内容が盛り込まれていたと思います。

 ちなみに、この展覧会、なぜ東京ステーションギャラリーでやっていたかというと「北陸新幹線開業記念」でした。鴨居は石川県の生まれで、例えば「1982年 私」は石川県立美術館の所蔵品だ。まあ、金沢に行くことがあたっら、ちょっとのぞいてみたいモノだ。この展覧会は、北海道県立函館美術館、石川県立美術館、伊丹市立美術館を巡回するとのこと。
 

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