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2015.11.15

原美術館で「そこにある、時間―ドイツ銀行コレクションの現代写真」を見る

Ph01

 品川の原美術館で「そこにある、時間―ドイツ銀行コレクションの現代写真」(2015/9/12-2016/1/11:1100円)を見た。ドイツ銀行の写真コレクションから40組60点の作品を紹介している。「本展は『《時間》を切り取ってメディアに定着させる』という写真の性質を活かした、さまざな表現を鑑賞することで芸術表現としての《写真》の魅力を再確認いただく試みです」とのこと。写真はカメラの前にある3次元の空間を2次元の映像に記録するものだけど、空間だけでなく、時間の要素が大きいと思っている。長時間露光することもあるけど、それ以外でも、例えば1/60秒とかは開けているわけで、人間には瞬間でも、1/60秒という時間が記録されていることになる。そういう意味では時間軸を含めた4次元の世界を2次元の画像に落とし込む装置かもしれない。

 今回の展示には、そういう意味で象徴的な作品が2つあると思う。佐藤時啓の「Kashimagawa #352」と杉本博司の「Rosecrans Drive-in,Paramount」、どちらも長時間露光で撮った作品です。

 佐藤の作品は、大判カメラを絞りを最大にして風景を撮影するのですが、撮影中は撮影者、つまり佐藤が風景のなかに鏡を持って入り込んで、太陽光を鏡で反射させて、その反射光をカメラにあてる、ということを繰り返す。この場合、光の痕跡だけがフィルムに焼き付き、人は映らない。そして、背景となる風景は長時間露光の結果、フィルムに焼き付く。できあがった写真は、風景のなかにきらりと光るものが点在することになる。まあかなり不思議な風景です。ちなみに今回のカタログのカバーは「Kashimagawa #352」で以下のようなものです。

Cat1

 もうひとつ、杉本博司の「Rosecrans Drive-in,Paramount」は劇場をテーマにした作品。観客のいない劇場で、1本の映画を上映している間に大判カメラで長時間露光で撮影する作品です。何を上映しているかは公開されていないので分かりませんが、上映されたスクリーンは光が集積して白くなり、ほかの部分はその反射によって、浮き上がってきます。この作品はカリフォルニアのドライブインシアターを撮影したものです。

 このほか、いくつか気になった作品を列挙しておきます。

 まずスーザン・ダージェス(Susan Derges)の「River Taw(Hawthor)」。スーザン・ダージェスはカメラは使わずに感光紙の上に被写体を置いて作品を作る作家で、この作品は「イギリスのトー川の中に印画紙を直接浸してフォトグラムを作った」とのこと。実際に川に浸しただけで、これだけの作品なるのかな、と思わせる作品です。

 カタログの中表紙にも使われているイト・バラーダ(Yto Barrada)の「系図」は解説を見ないと、意味の分からない作品です。室内の壁、それもプリントしたような木目のある壁で、そこには何かはがされた跡があるように見える。なんだか分からないので解説を読みたくなる作品です。解説によると「今は残っていない家族の写真、それがかつて掛かっていたことを物語る色あせた壁紙」とある。

Cat2

 このほか、ピエタのようにロボットらしきものを抱きかかえるシヴォーン・ハパスカ(Siobhàn Hapaska)の「Robot」、おそらくは撮影者がすべての観客と演奏者として被写体になっている、サントリーホールでのコンサートをパノラマで撮影したマルティン・リープシャー(Martin Liebscher)の「Suntory Hall」あたりは作者の名前を覚えておこうと思います。

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