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2016.02.14

日比谷図書文化館で「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」を見る

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 千代田区立日比谷図書文化会館で「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」(2016/1/23~3/23日:300円)を見た。グラフィックデザイナーの祖父江慎さんのブックデザインについて、没案も含めたプランから、書体、紙、印刷、製本を、祖父江さんの指定を見せながら、実際にできあがった本も展示するという、かなり深い内容です。

 祖父江さんのデザインした本がならび、デザインの試行錯誤のかたまりみたいな展示が続き、最後に2014年11月に新装版として岩波書店から出版された、夏目漱石の「心」の文字組から装丁までの展示が現れるという構成。

 アイデア・プランから装丁までを見せてくれる、本造りのさまざまな工程を紹介する展示では、とり・みきの「ひいびい・じいびい」とか吉田戦車の「伝染るんです。」、岡野玲子の「陰陽師」のデザインが祖父江さんであったことを思い出して、これらの本の面白さは、祖父江さんの演出によるところもあったんだなあと、今更ながら感心しました。

 最後の、漱石の「心」の新装版展示は、そういえば話題になっていたけど、忙しかったので、右の耳から左の耳へと流れてしまっていて…。再認識いたしました。「心」刊行百年記念で「ブックデザインの第一人者にして自他ともに認める熱烈な漱石本ウォッチャーの祖父江慎が手掛ける新装版」という、岩波らしからぬ、大胆なプロジェクトなんです。でまあ、あまりに面白かったので、「漱石 心 (祖父江慎ブックデザイン)」を購入しました。税込みで2808円でした。どう面白いかというと、外回りの装丁は下の写真のようになっていて、左から箱の背、箱の表紙、本体の表紙と背、箱の中です。箱の背の部分の帯にある、「裸の漱石」の上にあるのと、本体の背にあるのは「心」の篆書体とのこと。漱石の書体に対する博識を、そのまま受け止めたデザインになってます。まあ、しれだけでなく祖父江画伯による骸骨のイラストが真ん中にあるのも、いい感じです。しかし、さらに箱の中に本文中に登場する渡辺崋山の絵が印刷されているは、凝り過ぎかも。

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 本文は、帯に「ほぼ原稿そのまま版」とあるように「底本は、夏目漱石による自筆原稿とし、誤記か意図的な表記か判別しづらいものだけでなく、明らかな誤記もそのままとした」とのこと。ノンブルは漱石の自筆数字を使用し、偶数ページの柱には篆書体の「心」、奇数ページの柱には「初版本に付された章タイトルと節番号」をそれぞれ印刷している(写真下)。

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 展示の後半(2/16から)では、漱石の展示で、現在制作中の「吾輩ハ猫デアル」の展示に部分的に置き換わるとのことですので、後半ものぞいてみたいものです。

追記
 後半の展示も見てきました。変わったのは、会場に入って最初のコーナーとなる、祖父江さんのデザインした本が置いてあるコーナーと最後の漱石本のコーナー。祖父江本のコーナーは、前回、20世紀に出版されたものを並べていましたが、今回は21世紀に出版されたものに変わりました。漱石本では、「心」に変わって、現在制作中の夏目漱石「吾輩は猫である」の新版のデザイン案と、吾輩がホトトギスに掲載された当時の原文の分析が展示されてました。

 この吾輩関連の展示はかなり面白く、300円払ってみる価値がありました。ホトトギスに連載された当時の誌面を拡大して展示しているのですが、連載が進むうちに、文字の組み方がどんどん変わっていくことを見せていて、その変わりっぷりが面白かった。テキストのデザインがより読みやすい方向に変わっていくのですが、第1回のテキストが本当に読みにくいことに驚かされます。段落の1字下げはないし、読点もほとんどありません。本当にびっしり文字がつまっている感じで、これが連載の最後のほうになると、かなり現代のレイアウトに近くなってきます。

 このほか新版“吾輩”のデザイン案として、会話の部分の書体を登場人物のカテゴリーで変更する、といった案を見せていて、これもいいアイデアだなあ、と感心させられました。ん~、吾輩が出版されたら、ぜひ購入しようと思う今日この頃です。

追記

会期終了の直前に、作品集「祖父江慎+コズフィッシュ」が発表されました。たまたま購入できて、ついでにおまけももらえたので、ざっと「パイ インターナショナルから出版された祖父江デザイン作品集『祖父江慎+コズフィッシュ』を購入する」で書きました。この作品集ですが、この展覧会の会期に合わせて作ったつもりが、遅れてしまいました、という内容になってます。

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