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2016.05.08

Bunkamura ザ・ミュージアムで「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」を見る

東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」(2016/3/19~6/5:1500円)を見た。ボストン美術館の収蔵されている国芳(1797-1861)と国貞(1786-1864)の作品から幕末に頂点を極めた浮世絵世界を見せてくれます。

ボストン美術館所蔵作品は保存状態がよく、「まるで刷りたてのよう」と言われてます。刷りたての浮世絵を見たことがないので比較できませんけど、本当に美しい。浮世絵は刷り物ですから、一つの作品が何枚も刷られているので、同じ作品をいくつかの浮世絵展で見ることがよくあるのですが、国内の美術館や博物館が所蔵する作品とボストン美術館所蔵作品とでは色の鮮やかさが明らかに違っています。

保存状態がいいだけでなく、コレクション数も膨大です。特に、今回の国芳・国貞の作品については、こんなにあるとは思ってませんでした。予想外です。というのも、浮世絵で欧米受けしているのは、広重と北斎あたりの風景画だと思っていました。だから、風景画より人物画が中心の国芳・国貞は点数はそんなに多くはないだろうと思ってました。

今回の展示には、風景画はほとんどありません。国芳・国貞は役者絵を中心にした人物画で、大雑把に見て、国芳が武者絵、国貞は美人画といったところ。これが全部で170件とのこと。かなりの数です。ボストン美術館の所蔵品だから、きれいなんだろうけど、そんなに作品数は多くないだろうと、あまり期待してなかったのですが、展示数は多いし、見たことない作品も多いし、なかなか見応えがありました。

特に、国貞の作品は面白いものが多くて、いわゆる、うれしい誤算でした。図録に掲載されているボストン美術館の日本美術課キュレーター、セーラ・E・トンプソン氏による解説によると、ボストン美術館が所蔵する日本の版画の中で最も多いのが国貞で10304枚、2位が広重の5776枚、3位が国芳の3794枚となっている。というわけで、今回の展示数でも国貞の作品が目立ってました。

国貞の作品で興味深いのは、2枚組の絵を横ではなく縦につなげたもの。「松竹梅雪曙」という八百屋お七を題材にした歌舞伎のシーンを描いた作品で、お七が櫓から飛び降りて着地する前、まだ宙に浮いているところをほかの2人の役者が見上げている。ほとんどが組み物が横に3枚の作品なのに、この作品ともう1点だけが縦に長かった。あと、提灯の灯りを効果的に使った作品も印象深い。特に「春夕美女の湯かえり」は提灯の灯りが左から右に照らし出す感じで、3人の美人が浮き上がり、背景にいる人々は提灯はカラーだけど、人物はシルエットという表現がしゃれている。この絵はボストン美術館のデジタルアーカイブに作品があったので、リンクを貼って起きます。

http://www.mfa.org/collections/object/beautiful-women-returning-from-the-bath-on-a-spring-night-shunseki-bijo-no-yugaeri-501706

ちなみに、上のデジタル化された画像ですが、再現性の面ではもう一歩で、今回のカタログの方が、実物に近いという印象です。

カタログは2500円で、お値段以上の出来です。クローズアップは多いし、両観音ページもあるので、いい感じです。コラムも多く、作品についての解説も充実しているので、読み応えもあります。表紙は黒いところにUV厚盛り印刷のような加工で、一見黒いけど、見る角度を変えると絵が浮き上がるようになってます。表側に国芳の「国芳もやう正札附現金男野晒悟助」、裏側に国貞の「当世三十弐相 よくうれ相」をそれぞれ印刷してます。無理矢理、撮影すると下のような感じです。なかなかうまいデザインです。

Catalog

グッズも充実していました。1回400円のガチャガチャで3点の根付が売ってました。とりあえず2回やって以下の2点を入手しました。


Ph01

「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」に描かれた「骸骨下駄」と「見立東海道五拾三次岡部 猫石の由来」に登場する化猫の猫又「踊る猫又」です。もう1点「野晒悟助」の着物にある、猫で描かれたドクロ模様「猫骸骨」があるんですが、あきらめました。

狭いBunkamura ザ・ミュージアムで、こういう小さいフォーマットの作品を見るのはつらいモノがあります。比較的、早めの時間に行ったので、最初の展示ゾーンだけがみっしりと混んでいましたが、あとはゆっくりできました。前半のゾーンは国芳中心で、まあ見たことのある作品が多いので、飛ばして見て、後半に多かった国貞作品はじっくり拝見できました。国貞中心で見るなら狭さもあまり問題ないかもしれません。

この展示は、神戸と名古屋に巡回するそうです。神戸は神戸市立博物館(2016/6/18~8/28)、名古屋は名古屋ボストン美術館(2016/9/10~12/11)です。個人的には神戸市立博物館の展示がどんなものか、気になるところです。

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