群馬県立館林美術館で「再発見!ニッポンの立体」を見る
群馬県立館林美術館(写真上:高解像度版はこちら)で「再発見! ニッポンの立体」(2016/7/16-9/19:610円)を見た。野口哲哉さんの作品が拝見できる、とのことだったので、暑いさなかの館林に行ってみた。閑散としていて、ゆっくり拝見できました。
この展覧会、なかなか意欲的なものでした。というのも、カタログに掲載された、今回の展示会を企画したと思われる三重県美術館顧問の毛利伊知郎さんの解説で、日本の彫刻への疑問として、以下の5つが挙げられていたからです。
1.なぜ日本では近現代彫刻の展覧会はおしなべて集客が難しいのか、また一般の人々の間で「彫刻は分からない」という声がなぜ多いのか。
2.彫刻として紹介される作品とそうでない作品には明確な違いはあるのか
3.なぜ日本近代彫刻史研究と仏教彫刻史研究との間に有機的な関連がないのか
4.なぜ日本仏教彫刻史研究は近年まで室町時代以降の仏像を軽視してきたのか
5.西洋近代発祥の美術史学は日本の多様な立体造形作品理解にどこまで有効なのか
確かに、立体表現としては彫刻も工芸も同じものなのに、彫刻はハイアートで、工芸はロウアート的な考え方は、どれくらい意味があるのか、というのは、頭のどこかにあったし、「なぜ日本では近現代彫刻の展覧会はおしなべて集客が難しいのか」と言われると、確かにそうだなあ、と改めて思ってしまった。
ここでは、そういった問題の答えを出そうということではなく、そういった問題意識のもとに、日本にある多様な立体表現、それこそ仏像から食品サンプルまでをフラットに並べることで、日本独自の立体表現とか美意識を見せようとしているようです。
確かに5つの疑問に答えを出すのは難しいでしょうが、仏像にも食品サンプルにも、立体表現の面白さがあって、そこに面白さを見いだすのが、現代の私たちの美意識なんだろうな、と思うわけです。
というわけで、日本のキャラクター達、ゆるキャラの元祖的なペコちゃんやサトちゃん、だるまも展示されてます。ここだけ、撮影OKでした。
作品として気になったのは中谷ミチコさんの作品。石膏を彫って、その上に色を塗った作品なんですが、彫ってあるのに浮き上がって見える、という不思議な作品。カタログによると「レリーフ作品は通常の浮彫ではなく、半立体の原型を石膏取りし、そこに樹脂を流した「沈彫」とでもいうべき技法によって作成され、立体と平面の境界を行き来する感覚を与える」とある。
この展覧会は、館林美術館のあと、静岡県立美術館(2016/11/15-2017/1/19)、三重県立美術館(2017/1/24-4/9)に巡回するそうです。
ちなみに、野口哲哉さんの作品が売っていたので、購入しました。ビットマンシリーズの「番瓦」ですね。例によって袋付きです。
アップにするとこんな感じです。
ちなみに、群馬県立館林美術館は館林駅のそばではなく、ちょっと離れたところにあります。筆者が行ったのは今回で2回目です。初めていったとき(関連記事:「陽光の大地 ブラジルの日系人画家たちと大岩オスカール」を見る)と同じように、館林まで特急りょうもうに乗って、館林から各駅で隣駅の多々良までいってから、徒歩20分です。多々良は閑散としたところで、駅前にコンビニはなく、天気のいい日にいくと、日陰がないなあ、という感じです。帽子は必須でしょう。最近、はやりの「Pokémon GO」を起動すると、下の左側のようになります。ポケストップは駅と郵便局だけです。そして美術館のあたりに来ると、館林美術館にあるジムが見えます。まあ、道に迷ったらPokémon GOを起動するといいかも?。
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