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2016.11.18

目黒区美術館で「色の博物誌 -江戸の色材を視る・読む」を見る

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目黒区美術館で「色の博物誌 -江戸の色材を視る・読む」(2016/10/22-12/18:800円)を見た。目黒区美術館では色をテーマにした展示を続けていたらしい。「『青』『赤』『白と黒』『緑』『黄色』をテーマにした『色の博物誌』シリーズを開催し、考古・民俗・歴史・美術を横断しながらそれぞれの色材文化史を紡いできました」とのこと。その展覧会で蓄積してきた知見をベースにしたものらしい。テーマは「江戸時代の豊饒な色材」。

扱う美術品は大きく分けて2つ。3×3m超の巨大な地図、国絵図(くにえず)と多色刷りの浮世絵。国絵図と浮世絵は、どちらも色彩が豊かではあるが、まったく違った性格の作品で、その対比が面白い。国絵図は大きく、公のもので、肉筆で色彩も豊富で、高価な顔料系の色材が中心だ。一方、浮世絵は民間のもので、サイズは小さく、染料系の色材が中心となる。

国絵図は備前国(現在の岡山県)のもの、慶長年間(1596~1615)、寛永年間(1624~1644)、元禄13年(1700)の3点が展示されている。いずれも巨大なもので、最も大きい元禄に作成された国絵図は316×357cmとなる。元禄版については、2010年に東京芸術大学で復元されていて、その作成技術もアウトラインが解説されていた。例えば、36枚の雁皮紙をつなげ、楮紙で裏打ちして、国絵図を描く本紙を作成しているとか、国境を描くために、マスキングをして色を塗っているとか、なかなか興味深い。3つの国絵図が並べてあるので、時代ごとの違いも見えてくる。徐々に正確な地図になっていくのも面白いけど、古い国絵図の色使いの大胆さや、地形のデフォルメも、美術品として見ると目をひくものがある。

浮世絵のパートでは、江戸時代の色を再現したという復刻版と、色があせているオリジナルを比較できるように展示していた。「木版画家立原位貫氏(1951-2015)が、半生をかけて追及した、江戸時代の製法による絵具を使った浮世絵版画の復刻・復元作品と、その原画を取り上げます」としている。浮世絵は植物染料を使っているため、経年変化で退色しやすい。だから、現代に作られた復刻版は色が鮮やかだ。比較してみると、その違いがよくわかる。

このほか、色材の解説も面白かった。というか、ほぼ知りませんでした。例えば臙脂色は「インドや東南アジア渡来の色材で、小枝に寄生したラックカイガラムシの樹脂質の分泌物が原料で、赤い色素を取り出し丸い綿に染みこませて取引されていた」とのこと。色材の原料と配布形態について解説してます。展示で、この辺をじっくり見るというか、読み始めるときりがない感じです。この辺はカタログで詳しく解説しているので、カタログは必見かと思います。


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