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2017.01.04

東京国立近代美術館で「endless 山田正亮の絵画」を見る

Ph01

竹橋の東京国立近代美術館で「endless 山田正亮の絵画」(2016/12/6 - 2017/2/12:1000円)を見た。山田正亮(やまだ・まさあき)という画家について何も知らずに見に行った。展覧会のパンフレットに「画家が、いた」とあり「画家」には「かいぶつ」とルビが振られていたのが気になったからだと思う。

山田正亮は1929年に生まれ、2010年に亡くなった画家。美大出身でもなく、グループには属さず、いわゆる孤高の作家である。5000点に及ぶ大量の作品を描いているが、ほとんどが上の写真にあるような、矩形やストライプなど、直線的な図形をモチーフにした抽象画だ。ちなみに上の写真はアトリエの雰囲気を再現したモノで、ここは撮影可でした。

今回の展示では、静物画を描いた初期の作品から始まり、そこから抽象化と再構成が進んで、ストライプや矩形を描く中期の作品、晩年に描いた単色で塗り込められたように見える作品の3部構成になっている。初期の静物画は、モランディのように壺やコップなどを延々と描いているのだが、それが徐々に画面に並ぶ個数が増え、輪郭が単純化され、パターン化され、ついに抽象画になる、その変化の過程が見えてくるのが面白い。

中期以降の抽象画が見てつまらない絵なら、「デッサンの放棄」とか「塗り絵」とか批判されて、おそらくは世に残らないだろうが、山田の絵は違うように見える。図録に掲載された中林和雄氏による解説「山田正亮と絵画」では「デッサンの放棄」と「塗り絵」によってルールが明確になり、内容が充実していく、としている。「色彩の組み合わせの選択」だけでなく、「キャンバスの目の粗密の選択、画面サイズや形状の選択、下地の作り方…」などなど、細かな組み合わせで絵の印象が変わり、それぞれの作品が個性を持つように見える、としている。確かに飽きない。

というわけで、静物画の壺とかコップとかの形が溶けて、ストライプや矩形の抽象画になったあとも、十分に楽しめるのでした。ちなみに、今回の展示にあわせて、X線撮影などで、作品の分析も実施されている。図録には分析結果を修復家の斉藤敦氏が解説していて、キャンバスや木枠の作りから、下地に塗った絵具までが分かっている。この辺も合わせて見てみると面白い。

京都国立近代美術館に巡回するそうで、会期は2017/3/1-4/9とのこと。

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