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2017.05.29

DIC川村記念美術館で「ヴォルス――路上から宇宙へ」を見る

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DIC川村記念美術館で「ヴォルス――路上から宇宙へ」(2017/4/1-7/2:1300円)を見た。ヴォルスについては何も知らずに、初夏の川村記念でも見に行くか、という感じで行ってきました。解説によると「“WOLS”はペンネームで、本名はアルフレート=オットー=ヴォルフガング・シュルツ Alfred Otto Wolfgang Schulze(1913-51)です。父は著名な法学博士、ベルリンの豊かで教育ある家庭に生まれました。ドレスデンに医師の祖父がいて、姉や弟と幼少期を過ごしています」とのこと。どうやら写真家として名をあげ、その後、版画や絵画も手がけた、美術家らしい。写真は、普通に人物写真もあったけど、映像のなかに形を発見するような、ちょっと変な写真が多かった。

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上は「無題(柄のあるウサギの頭)」というタイトルで、1938-39年の作品。

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こちらはセルフポートレイト。1940-41年の作品。このとき27-28歳。解説によると、第二次世界大戦の始まったところで、フランスにいたドイツ人は収容所にいれられたそうだ。ヴォルスもパリで写真家として活動を始め、そこそこ注目されはじめたところで、収容所に収監された。そこで、絵を描くようになった、とのこと。

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上のパウル・クレー的な色彩の水彩画は、初期の作品で「サーカス・ヴォルグ」という連作のうちの一つ。タイトルは「人物と空想の動物たち」。ふわふわと変なモノ達が浮遊している感じ。制作時期は1936-40年となっている。

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こちらは1949年の作品。タイトルは「抽象」。タイトル通りより抽象化が進んでます。ヴォルスは1949年にはアルコール依存症で入院していて、1951年には亡くなるわけで、精神的にも肉体的にも破綻に向かっているところと思われます。ヴォルスは死後、アンフォルメルの先駆者と呼ばれるようになるのですが、そういった後付けの評判は置いていおいて、このオリジナリティ溢れる作品はなかなか飽きません。つい、見入ってしまいます。

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2017.05.22

KAAT神奈川芸術劇場で「詩情の森 ── 語りかたられる空間」を見る

KAAT神奈川芸術劇場で「詩情の森── 語りかたられる空間」(2017/4/30-5/28:600円)を見た。KAAT神奈川芸術劇場は、美術館ではないけど、金子富之や三瀬夏之介の作品が拝見できる、とのことで、面白そうな予感がしたので、見に行ってみました。

カタログによると「本来美術の展示空間によっておこなわれる作品展示を、敢えて劇場空間に持ち込み、作品世界の広がりを追求する試みです」とのこと。会場は3階にある「中スタジオ」。どうやら、本来は間仕切りを入れることで、中スタジオと小スタジオに分けて使えるらしいが、今回は間仕切りなして、使っていた。Webにある説明では「それぞれ稽古場としての利用ができるほか、中小スタジオ間の可動間仕切りを取り払うことにより、小規模な公演の実施も可能です」としている。広さは401平方メートルで高さは5.3mとそこそこ広い空間です。

ちなみに、写真OKとのことでしたので、撮影しました。最近、撮影OKというのは、こういったインスタレーション的な展示では増えたけど、ここでは動画もOKとのこと。動画はNGなところがほとんどです。珍しいけど、いい傾向だと思います。

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スタジオの扉を開けて入っていくと、まず目に入るのが、三瀬夏之介の巨大な作品「ぼくの神さま」。巨大なカーテンのようにぶら下がってます。

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この裏側にいくと下のような感じ。

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さらに進むと、階段と廊下が見えてきます。

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階段の先に進んで振り返ると、こんな感じ。

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階段に登って見下ろす。目の前にある、ずらりと並んだのが角文平の「空中都市」。

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ちなみに階段を上った廊下の先にあるのが、藤堂の「オペラ座の怪人」という題の本。


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本を階段を降りて、横から見たところ。

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こちらは長沢彬の作品。左から「Mother I」「Mother II」「Mother III」。

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こちらは真ん中の「Mother II」

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階段の上から見た金子富之の「暗罔象神」。「くらみつはのかみ」と読むそうです。作品は横長で、24mmのレンズでは全部は撮影できませんでした、まあ左半分という感じ。本来は闇罔象神と書くらしい。日本書紀とか古事記に登場する神で、水神らしい。というわけで龍神なのかも。

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こちらは田中望の「潮つ路」。その下が中心の部分。

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角文平の「空中都市」をクローズアップしてみました。

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2017.05.14

東京都美術館で「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」を見る

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東京都美術館で「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-」(2017/4/18-7/2:1600円)を見た。日本にいて、この作品を拝見できるとは思ってもみませんでした。「ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作でご紹介します」とのこと。

ただし、ボスの油彩2点とブリューゲルの「バベルの塔」以外は、あまりピンとくるものはなく、せいぜいボスとブリューゲルの版画でなんとか会場を成り立たせた、といった感じです。会場は、都美術館なので地下、1階、2階の3フロアで構成。最初に見る地下は16世紀ネーデルランドの宗教系彫刻から始まり、15世紀の宗教画、16世紀の宗教画とそこから徐々に始まる宗教画から逸脱した作品、といった感じで並びます。ここでは、聖母子像の裏面に描かれた、静物画とか、風景が主題となる宗教画とかが興味深い。一つ上がって1階ではボス、そしてその模倣作品、最後にブリューゲルの版画と続き、2階で「バベルの塔」となります。

バベルの塔自体は59.9×74.6cmとあまり大きくない。絵の前に人が並び始めると、かなり見にくい。一方で、細密な描写もこの絵の魅力で、できれば近づけるだけ近づいて見たいところ。まあ、そういうこともあってか、巨大な複製とか、3次元CGによる動画での解説がありました。

ちなみに、このフロアには、そのほぼ1/4の面積を使って特設ショップがありました。ここでは2500円の図録を購入しましたが、クレジットカードは使えませんでした。なんと購入金額が1万円以上じゃないと使えないとのことです。まあ、ひどいものです。ひどいけど、図録には原寸大の「バベルの塔」のポスターが付いてきます。ちょうど、寝室の壁が空いていたので、そこに貼っておきました。ちなみに、左横に貼ってあるのは、ジャコメッティ展のチラシです。

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「バベルの塔」については、美術史家の森洋子さんが芸術新潮の5月号で特集を書いているほか、同じく新潮社のとんぼの本で「ブリューゲルの世界」として、ブリューゲルの作品をすべて解説しております。参考文献としてあげておきましょう。ちなみに、芸術新潮の特集では、大友克洋さんが登場して、本展覧会に合わせて、制作した「INSIDE BABEL」について、掲載してます。「INSIDE BABEL」は塔の内部を描き、それとブリューゲルの塔を組み合わせた作品。都美術館の会場入口のところに何気なく飾ってました。2点あって、大友さんの描線を消したものが「INSIDE BABEL 1」、描線を活かしたものが「INSIDE BABEL 2」です。下の写真は2の方です。

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もう一つ、バベルの塔の立体モデルを作成するプロジェクトもあって、こちらも興味深い。『Study of BABEL』というもので、東京藝術大学・東京藝術大学COI拠点が主催している。場所は芸大の敷地内ですが、黒田清輝記念館と国立こども図書館の間あたりに入口があります。いくと下の写真も立体物が鎮座してます。ほかにも、プロジェクションマッピングしたり、自分の顔の画像を登録して、バベルの塔の内部で働く人たちの顔として表示させるとか、いろいろやってます。まあ、話のタネにはなろうかと思います。

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2017.05.05

初台の東京オペラシティ アートギャラリーで「片山正通的百科全書」を見る

初台の東京オペラシティ アートギャラリーで「片山正通的百科全書 Life is hard... Let's go shopping.」(2017/4/8- 6/25:1200円)を見た。インテリアデザイナーの片山正通氏の膨大なコレクション、現代アートから骨董、植物、動物の剥製、家具などを、いくつかのテーマに分類して見せる展覧会。そういえば、去年は村上隆の膨大な美術コレクションが横浜美術館で展示されたけど(横浜美術館で「村上隆のスーパーフラット・コレクション ―蕭白、魯山人からキーファーまで―」を見るを参照)、あの感覚にそこそこ近い。片山はデザイナーで、村上は美術家だけど、その違いは職業を超えて個人の差が感じられる。でも、個人のコレクションという意味では近いニオイがしている。人を楽しませるだけのコレクションを持つ、というのはそうそうできることではないと、思うわけです。ただし片山コレクションは村上コレクションと比べると、古美術はないし、骨董的なものも少ない。一方で、家具のコレクションは村上コレクションにはなかった。この辺はインテリアデザイナーと美術家の違いなんでしょう。

展示会場は17の「ROOM」に別れ、さらに5つの小さなコーナーが用意されている。最初が片山が経営するWonderwallのオフィスビルのツアー映像。次に出版物、CDのコレクションに続いて、なぜか多肉植物が展示される。ここまでがROOM1-4。

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その後、ROOM5-8が「人と動物」というタイトルで、写真と絵画、主に2次元の現代美術作品が並ぶ。立体としてなぜかマクドナルドのピエロがいたりするが、基本、人と動物。わりとダークな感じの絵が多い。大竹伸朗、榎本耕一あたりが気になります。

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ROOM9は写真。モノクロ写真です。まあ、いろいろありますが、トム・ウエイツのアルバム「Rain Dogs」のジャケット写真に使われたアンデルス・ペーターセンの写真が目を引きました。

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この辺りでは、なぜか剥製も登場する。シロクマとか虎とか。ほかにもアライグマとか狐とか、小さいモノ達もいます。


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ほかにも、いろいろあります。骨董とか家具とか。


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Nerholの写真作品もありました。「3分間にわたって連続撮影した200枚のポートレートを撮影順に積み重ね、カッターで切り取り起伏を付けていく」というもの。


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でも、一番、不可思議というか、印象深かったのが、サカナクションの山口一郎氏のインスタレーション。なんとその内容は他言無用。映像作品であること、一人で見ること、他言無用であることを示した誓約書にサインしてから見ること、ぐらいは書いていいんじゃないでしょうか。

そして最後は、福助人形が、深々とお辞儀をして終了となります。

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