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2017.06.11

平塚市美術館で「リアル(写実)のゆくえ-高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの」を見る

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平塚市美術館(写真上:高解像度版はこちら)で「リアル(写実)のゆくえ-高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの」(2017/4/15-6/11:800円)を見た。5月27日に放送されたテレビ東京の美術番組「美の巨人たち」で、犬塚勉の「梅雨の晴れ間」という作品を紹介していて、その作品が平塚市美術館に展示されている、という。犬塚勉は緻密な風景画を描く画家。雑草が大量に生えている野原とか、その横にある林とかで、草一本一本、葉一枚一枚を描く。ある意味、その風景はありふれたものなのに、草一本一本、葉一枚一枚を描くことで、その絵は唯一無二のモノとなる、といった感じ。1988年に38歳で亡くなっているのがなんとも惜しい作家です。その作品が2点あるというので、平塚まで行ってみました。犬塚勉の作品を知ったのはNHKの日曜美術館で、実物をぜひみたいと思ってましたが、ようやく願いがかないました。

「リアル(写実)のゆくえ」という美術展は、そこそこ壮大な企画で、「鮭」のリアルな絵で知られる髙橋由一から、現代の犬塚 勉や磯江 毅といったところまで、写実表現の150年の歴史を見せてくれる。会場に入ると、まずは髙橋由一の「鮭」と磯江 毅の「鮭 ― 髙橋由一へのオマージュ ―」が並んでいる。ちょうど、図録となる「リアルのゆくえ」(生活の友社刊、3240円)のカバーと同じです。

Books

髙橋由一、五姓田義松、川村清雄などの明治初期に始まり、明治中期の原田直次郎、渡辺幽谷、中村不折といったあたりに受け継がれ、大正期の岸田劉生にバトンが渡る、といったところか。次の昭和、現代へと続く。意外だったのは、大正期に伊丹万作の作品が展示されていたこと。かの伊丹十三の父親で、映画監督なんですが、人物画が2点、展示されてました。どうやら、岸田劉生に絵の才能を評価されていたらしいが、絵で食べていくことを断念したらしい。

まあ、歴史の経緯としては、髙橋由一に始まった「リアル」の流れは、明治中期に黒田清輝による「外光派」によりせき止められ、主流からは外れてしまうのですが大正期には岸田劉生などに受け継がれ、どちらかというとアンダーグラウンドな形で、現代まで受け継がれている、という感じらしい。

ただし、多少は、意味不明なところはありました。例えば、写実についての定義が、作家によって微妙に違っていて、何をして「リアル」なのかが揺れていました。まあ、それはそれでいいのでしょう。目の前にあるものを精密に描くというリアルだけではないのでしょうが、では、それがどういったリアルなのか、よく分からないままです。この辺は鑑賞した人が考えなければならないところでしょう。

この美術展は平塚市美術館のあと、以下の3館を巡回するとのことです。
6/17-7/30 足利市立美術館
8/8-9/18日 碧南市藤井達吉現代美術館
9/23-11/5 姫路市立美術館


平塚市美術館はJR平塚駅から徒歩で20分程度のところにあります。駅から海に背を向け、ゆるい坂を上り続ける感じです。周りは市役所などがある地域で、いわゆる文教地域という感じ。わりと立体の美術品が屋外、屋内に置かれていて、それをスケッチしている人がそこそこいたのが、珍しかった。下は入口のところにある三沢厚彦のユニコーン。

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建物は入口のあるところと展示スペースのあるところに分かれていて、入口のある建物にはレストランとか小規模のギャラリーがある。展示スペースのある建物は、横に長く、下の写真(高解像度版はこちら)のように吹き抜けになっていて、妙に広い感じがする。実際の展示は2階になる。

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まあ、概ねいいんですが、地方の美術館らしく、ミュージアムショップは狭く、クレジットカードが使えない。カタログ買ったときにレシートください、といったら、レシートはないので手書きの領収書を作ります、といわれたのは驚いた。でも、カタログを購入したときに、消費税は加算されず、3000円で済んだのはお得な感じです。レシートと消費税なしの理由は不明なままです。


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