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2018.05.09

平塚市美術館で「岡村桂三郎展-異境へ」と「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展」を見る

平塚市美術館で「岡村桂三郎展-異境へ」(400円:2018/4/21-6/24)と「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展」(800円:2018/4/21-6/17)を見た。岡村桂三郎展は岡村の作成してきた巨大な作品が迷路のようにならぶ、ある意味、色彩的にはほぼ均一な世界。一方のタグチ・アートコレクション展はミスミという東証一部上場の商社を一代で築いた実業家である田口 弘氏の美術コレクションから、21世紀に制作された作品をメインに構成した展示です。平面から立体、インスタレーション的な作品やビデオまで、かなりバラエティに富んでいる。

岡村作品もほとんどが21世紀の作品なので、「21世紀の作品」という意味では同じなんですが、目に入ってくる印象はまったく違っていて、面白かった。まあ、今回は順序的にはタグチ・アートコレクションの後に岡村桂三郎展を見たのですが、21世紀芸術の幅の広さを堪能した、という感じかな。あるいは、明るい商店街を抜けた後に暗い洞窟に入ってしまって、ちょっと戸惑ったけど、目が慣れてくると洞窟もなかなか楽しい、といったところか。

タグチ・アートコレクションでは、21世紀美術のテーマとして「美術とは何か」という答えとして「私の考える美術」を表現するタイプと「私はなぜ私であるのか」というジェンダーやら民族的なモノを追求したタイプを見せている、とのこと。例えば、「私の考える美術」で分かりやすいのは青山悟の《About Painting 2014-2015》とかかな(写真下:高解像度版はこちら)。

Taguti1

なんというか、割とストレートに20世紀の絵画をコメント付きで分類して見せているわけですが、その代表的な絵の模写らしきものの様子が変で、改めてよく見ると刺繍だったりする(写真下:高解像度版はこちら)。

Taguti2

ちなみに「私はなぜ私であるのか」の代表は、加藤泉の立体作品《無題》のように思える(写真下:高解像度版はこちら)。

Taguti3

岡村桂三郎展はタイトル通り「異境」へ来た、という感じがする。岡村の作品は巨大です。高さ1.3~3.5mの板を何枚かつなげて、大きいモノなら幅12mに達する。カタログの解説によると、杉の板をバーナーで焼いて黒くし、そこに膠とか方解末(方解石を粉末にしたものらしい)で下地を作り、そこに黄土を塗る、とのこと。ここまできて、ようやく油絵の場合のキャンバスができあがった段階となる。できあがった杉の板に木炭で下書きして、スクレーパーという鑿のような道具で線刻していくそうだ。

そこに刻まれるのは、龍だったり象だったり、巨大な魚だったりする。そして、あちらこちらに目が刻まれている。その巨大な作品が27点、床に直置きされて並んでいる。ほぼ壁のようになって、迷路のようになった会場を歩き回って鑑賞することになる(写真下:高解像度版はこちら)。

Okamura1

ちなみに下の写真は龍(高解像度版はこちら)。タイトルは《龍-出現17-1》。サイズは235×660×8.3cm。2017年の作品。
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Okamura2

こちらは魚(写真下:高解像度版はこちら)。タイトルは《北冥の魚12-1》。北冥の魚の名前は鯤(コン)。荘子のテキストから取ったモノです。北冥は北の海で、鯤はそこにいる巨大な魚です。サイズは235×600×8.5cm。2012年の作品。

Okamura3


こちらは夜叉(写真下:高解像度版はこちら)。タイトルは《夜叉13-1》。サイズは260(230)×540×8.2cm。2013年の作品。

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