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2018.09.05

東京ステーションギャラリーで「いわさきちひろ、絵描きです。」を見る

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東京ステーションギャラリーで「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」(1000円:2018/7/14-9/9)を見た。いわさきちひろは1918年生まれの画家。1974年に亡くなっている。私も子供の頃にいわさきちひろの絵本を読みました。でも、そこに描かれた子供たちがあまりにキレイで、自分とは違うな、という違和感が強く、あまり好きにはなれませんでした。また、年を取ってからも、例えばマリー・ローランサンあたりの甘さが苦手なように、いわさきちひろも、苦手でした。でまあ、この展覧会を見て、私のなかの「いわさきちひろ観」が多少変わった感じがしました。少なくとも、様々な試行錯誤を重ねて、やっと絵本の絵にたどり着いたということに、感動してます。

今回の展示は、いわさきちひろの生涯に沿って展開している。だから、その波瀾万丈な生涯を知ることができる。本当は美術学校に行きたかったのを両親に反対されて、婿養子を迎えて結婚し、夫の勤務地の大連に行き、なぜか夫は自殺して帰国。戦争中は長野県松本市に疎開。戦後は日本共産党に入党して、原爆の絵で有名な丸木位里・俊夫妻と絵を描いたり、前衛美術会の創立に参加したりしている。ここまでだと、絵本の絵にはほど遠い感じなんだけど、その後、松本善明と結婚して、子供も生まれ、本格的に童画とか絵本を手がけるようになる。とまあ、大雑把に見るとそんな感じです。童画を描くといっても、上の写真のポスターにも使われている《ハマヒルガオと少女》という作品のように油彩画だったりして、作品や時代ごとに画材や描き方を工夫している。

今回の展示でも、いわさきちひろの生涯の後半で描かれた絵について、線画中心の絵と線画ではなくぼかしやたらしこみ、パステルを水に垂らして引き延ばした絵を分けて見せてくれる。この2つの視点で見ることで、いわさきちひろの絵の奥行きを感じることができた。

ちなみに、この展覧会はアニメーション映画監督の高畑勲さんの監修で進められていたそうだ。残念なことに高畑さんは2018年4月5日に亡くなってしまったが、カタログには高畑さんによるいわさきちひろ論が掲載されている。そこではいわさきちひろの描く子供の横顔と正面の顔について分析していて、面白い。ちなみにカタログには視覚社会史研究者の足立 元氏による「前衛のちひろ 1947-1952」という、いわさきちひろが前衛美術会に所属していたころの立ち位置について解説したテキストがあって、これも面白かった。

この展覧会は、京都の美術館「えき」KYOTO(2018/11/16-12/25)、福岡の福岡アジア美術館(2019/4/20-5/26)に巡回するとのことです。


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