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2018.10.08

「2018年のフランケンシュタイン - バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」を見る

表参道のEYE OF GYREというギャラリーで「2018年のフランケンシュタイン - バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」を見た。EYE OF GYREはGYREというとんがった感じの複合施設の3階にあるギャラリー。バイオアートという言葉を見ることは多いのだけど、実際の作品を見たことがあまりなかったので、覗いてみました。人の目のをひく美術作品的なアウトプットではあるのだけど、素材や作成過程にバイオテクノロジーが絡んでくる何かかな、と考えながら行きました。

「2018年のフランケンシュタイン」というタイトルは「イギリスの小説家メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を発表して2018年で200年となる」という事実から、付けられたものらしい。フランケンシュタインの提起した問題、「創造物による創造主への反乱」や「神に代わり生命を創り出すことの代償」、「性と生殖の分離」に対峙している作家の作品を紹介する展示としている。「蘇生」「人新世」「生政治」の3章で構成してます。

第1章の「蘇生」で紹介しているのは、幹細胞技術で死んだファッション・デザイナーの皮膚を再生してジャケットを作成するというプロジェクト《Pure Human》、神話上の生物ユニコーンを実在する生物のように制作した《蘇生するユニコーン》など。Pure Humanは解説を読まないと、理解不能。蘇生するユニコーンはリアルなユニコーンが横たわっていて、分かりやすい(写真下)。

Ph01

第2章のタイトル「人新世」という言葉は、展覧会での解説によると「オゾンホールの解明でノーベル賞を受賞したパウル・クルッツェンらは、このように人為が自然を覆い尽くし、人間の活動が火山の噴火や津波、地震、隕石の衝突といった出来事に匹敵するほどの影響力を持つようになってきたことを2000年代初期に指摘し、新たな地質年代として「人新世」を提唱した」とのこと。ここでのテーマは人類によって、いいように扱われている環境らしい。マーク・ダイオンによる真っ黒な鳥の彫刻「タール漬けの鳥」とか本多沙映によるプラスチックを使った人工石「Everybody needs a rock」あたりはバイオがあまり関係ないし、説明を見ないと、そもそもなんなのか理解できない。でもAKI INOMATAによる《やどかりに「やど」をわたしてみる》は分かりやすく、ほっとする。3Dプリンターで透明な貝殻を作って、ヤドカリに住んでもらうというもの。会場には実際に水槽があってヤドカリがいた(写真下)。まあ解説を読むと、貝殻が都市の模型になっているらしく、そこに意味が付加されているけど、まあどうでもいい。

Ph03

第3章のタイトル「生政治」はミシェル・フーコーによる言葉で「「従わなければ殺す」という論理による中世の政治形態から、福利厚生や福祉を目的に個人の生を情報(出生率、死亡率、健康水準、寿命、それらを変化させる条件など)に還元し、集中管理する近代的な政治形態」とのこと。ここでの展示作品は2つ。街角に捨てられたゴミからDNAを採取し、そこから捨てた人の顔を再現するヘザー・デューイ=ハグボーグの《ストレンジャー・ヴィジョンズ》。もう一つは2018年にBCLが発表した《BLP-2000B:DNAブラックリスト・プリンター》。「パンデミックを起こす危険性を持ったウイルスの塩基配列などバイオ企業が合成を禁止しているDNA配列のみを作成して印刷する」というもので、印刷された紙がとぐろを巻いていた(写真下)。

Ph02

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