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2018.11.25

金沢21世紀美術館で「邱志杰(チウ・ジージエ) 書くことに生きる」と「変容する家」を見る

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冨山まで来たので、ちょっと足を伸ばして、金沢に行ってみた。まあ金沢21世紀美術館に行ってみようと思ったわけです。冨山から金沢は新幹線で30分程度。料金は3840円。ちなみに10月28日に訪れたのですが、ちょうど金沢マラソンが開催中で、朝の9時半に金沢駅についたとき、バスもタクシーも使えず、金沢21世紀美術館には徒歩で行くしかなかった。まあざっと40分ほど、だらだらと歩いて、金沢21世紀美術館に到着しました。上の写真では建物の上に立っているヤン・ファーブルの《雲を測る男》を撮ってみました。

「邱志杰(チウ・ジージエ) 書くことに生きる」(1000円:2018/9/8-2019/3/3)と「変容する家」(無料:2018/9/15- 2018/11/4)が開催中とのことでしたが、美術館の有料ゾーンでやっているのは邱志杰の展示だけでした。「変容する家」は金沢の街中のあちこちで民家やビルを一時的な会場にして日本、中国、韓国の美術家がインスタレーションを実施する、というものでした。まあ、その一部が金沢21世紀美術館とその周辺にある、ということでした。

邱志杰は1969年中国福建省生まれのアーティスト。水墨画的なモノクロの作品のほか、インスタレーション的な作品もあり、インスタレーションも部屋いっぱいの迷路だったり、書だったりする。書でも紙に描くだけでなく、石に刻んだりと、多種多様な表現を見せてくれる。

下の画像は《印章の迷宮》という作品のものでWebサイトからキャプチャーしました。作品というか部屋いっぱいに展開された迷路です。「道教の護符の形態を借りています」とのこと。解説によると「道教の文字は非常に複雑で、かなり曲がりくねった「九畳」と呼ばれる書体を使用していて、字そのものを迷宮のように、迷わせ見失わせる形にして鬼を阻止するという言い伝えがあります」とのこと。

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文字を石に刻んだ作品とは《一字一石・成敗》です。下の写真のように屋外にも展示されてます。屋外は撮影可です。「何在(どこにある?)」とか「志」とかいう文字がごろんと横たわっているのは、なかなかいい感じです。

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まあ、久しぶりの金沢21世紀美術館でしたが、相変わらず、混んでました。入場券を買うのに、10分程度は行列に並びました。入場券はWebで購入できるようにしてほしいですね。あと、意外と面倒だったのが、会場へ持ち込む荷物への大きさのチェックです。カバンを持っていると、A4サイズの紙をだして、これより大きいと会場には持ち込めず、必ずロッカーに入れるようにと説明を受けます。前に来たときはなかったと思うのだけどね。なにか面倒なことでも起きたんでしょう。

一方の「変容する家」(2018/9/15-11/4)は金沢の街中にある家とかビルの一室とかを会場にして、作品を展示するイベントです。見る側は地図を片手に(あるいはスマホでGoogle Mapを表示して)、街中を散策することになり、作品自体は行って見ないと分からないけど、なかなかワクワクさせるものがありました。出展したのは22組で、広坂、石引、寺町・野町・泉と3つのエリアに分散しているため、全部をみることはできませんでした。金沢21世紀美術館があるのは広坂というエリアで、そこと石引というエリアを見てみました。撮影はOKでしたので、気になった作品を掲載しておきます。

まず、広坂エリアでの川俣正の作品。この方のインスタレーションは遠くからも分かる。建物で木の板が増殖している感じです。

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石引エリアでは、山本 基、呉 夏枝、イ・ハンソルの作品が気になった。山本 基は床に塩で絵を描くアーティスト。砂絵ならぬ塩絵です。塩の白さと床の色だけで構成されているのですが、記憶に残る作品です。普通の家屋の2階を塩の絵で埋めておりました。

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呉 夏枝の作品は編み物やハギレを布に映し出して、その布を展示する、というもの。色からするとサイアノタイプ(青写真)かな。会場は毛糸店の横で、元になったと思われるレース編みが展示されていた。

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イ・ハンソルの作品は、暗くて奥行きのある部屋にごろんとした塊がたくさん並んでいる展示です。会場の奥でビデオ映像が流れているのだけど、説明を見ないとよく分かりませんでしたが、ごろんとしたモノ達は本とか日記帳のなれの果てで、それを洗濯機で回して固めたモノのようです。そしてビデオはその洗濯機のなかを撮ったモノでした。テーマは浄化のようです。

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ほかにも、さわひらき、宮永 愛子、ス・ドホの作品があったようですが、時間の関係で拝見できませんでした。

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2018.11.23

冨山県美術館で常設展示されている三沢作品を見て歩く

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富山県美術館の屋外展示も楽しんでみた。建物の左側にスロープがあって、上がっていくと裏側にある屋外広場にたどり着ける。後から気がついたのですが、屋外広場は2階と同じ高さになっていて、建物の2階への入口がある。ここには三沢作品の白いクマが立ってます(写真上)。こちらはブロンズです。

このブロンズ像に気がついたのは、3階の廊下を歩いて、何があるかを見ていたときでした。3階の奥の窓から下をのぞいたら、下の写真のように、立体物があるのが分かりました。

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実は小さいのもいて、合計3つのクマが、大中小並んでました。

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ちなみに上を見たら屋上に白いタカがいました(写真下)。屋上は雨が降ったりやんだりして、不安定だったため、上がれませんでしたが、佐藤卓がデザインした屋上庭園「オノマトペの屋上」というのがあるそうです。

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ちなみに三沢作品は屋内にも置いてありました。下は3階の廊下の真ん中に立っているウサギです。

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2018.11.19

冨山県美術館でポスターや椅子のコレクションを見る

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富山県美術館で三沢厚彦展とコレクション展を見たあと、3階に上がって常設展示を見た。3階には椅子のコレクションとポスターコレクション、瀧口修造コレクション、シモン・ゴールドベルク コレクションがある。上の写真は椅子のコレクション。下の写真は椅子のコレクションのところから、ポスターのコレクションを見たところ。

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椅子のコレクションはには一部、座れる椅子があります。下の写真はアントニオ・ガウディの《カーサ・パトリョのためのベンチ》。座れます。

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ポスターのコレクションは1万3000点ほどあるらしい。このうち3000点を検索して、表示するシステムも用意されている。チームラボと凸版印刷が共同開発したもので「デジタルインフォメーションウォール」と呼んでます。80インチのディスプレイ5台を並べたモノです(写真下)。

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画面に触ると、「TOUCH」と表示されます。

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「TOUCH」のところにタッチしていくと下のような、検索用のインタフェースが現れます。地域、色、テーマ、デザイナーなどのカテゴリーで検索できるようです。

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瀧口修造コレクションもいい感じです。瀧口修造は日本のシュルレアリスムの始祖みたいな方で、詩人であり、評論家であり、美術家である。1903年生まれで1973年に亡くなっている。富山県の生まれということもあって、富山県近代美術館創設に関わっていることが縁で、瀧口の死後に700点からなるコレクションが寄贈されたそうだ。この中から、いくつか展示されているのですが、ちょっと照明を落とした通路に入ると、その両側に棚があって、オブジェ達が収められています(写真下)。

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小さな展示用の棚には、それぞれ照明が入っています。下の写真のタイトルには「瀧口修三採集[フィレンツェで採集したビー玉]1958年採集 ビー玉 フィレンツェの裏町で採集 見知らぬ幼い女の子との友情」とある。

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こちらは「中西夏之からの贈物」とある、鳩の置物。

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こちらは美術家の坪内一忠からの贈り物。デュシャンの作品のミニチュアです。

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このほかオノサト・トシノブ、池田龍雄など、有名な美術家からの贈り物が並んでます。

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2018.11.16

富山県美術館でコレクション展を見る

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富山県美術館で三沢厚彦展を見たあと、コレクション展を含めた常設展示を見て回った。富山県美術館は2016年12月に開館。その前身は1981年7月に開館した富山県立近代美術館で、収蔵品はそのまま引き継いでいる。富山県立近代美術館は現代美術とポスターのコレクションが有名でしたが、その辺も常設展示されていました。

まずコレクション展。すべて20世紀以降の作品でした。撮影がOKでしたので、気になった作品を掲載しておきます。一番古い作品が1901年制作のロートレック《マンジの肖像》(写真上)。ロートレックの最晩年の作品で、油彩画です。一番新しいのが2010年制作の能島 芳史《風蝕・南瓜F》(写真下)。能島 芳史は、油絵史上最も古い技法である15世紀フランドル技法で描く作家です。10年以上たって3分の1のサイズに収縮しミイラ化した南瓜をモチーフにしている、とのこと。

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このほか、草間彌生の大作《太陽の雄しべ》(1989年)とか、メレット・オッペンハイムの《りす》と《鳥の足を持つテーブル》、ジョージ・シーガルの《戸口によりかかる娘》あたりが印象的です。写真をこの順に掲載しておきます。

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このほか、フランシス・ベーコンやジョセフ・コーネルの作品もあって、かなりバラエティに富んでます。ちなみにコレクション展の会場は企画展と同じ2階でした。


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2018.11.11

富山県美術館で「三沢厚彦 ANIMALS IN TOYAMA」を見る

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富山県美術館で「三沢厚彦 ANIMALS IN TOYAMA」(1300円:2018/10/20-12/25)を見た。富山県美術館は富山県の県立美術館です。富山駅の北口から徒歩15分。向かい側が富岩運河環水公園で裏側にいたち川が流れている。2016年12月に開館。その前身は1981年7月に開館した富山県立近代美術館です。コンセプトは「アートとデザインをつなぐ、世界で初めての美術館」とのこと。英語表記は「Toyama Prefectural Museum of Art and Design」で、略称はTADです。アートについては常設の20世紀現代美術と瀧口修造コレクション、デザインについては膨大な椅子とポスターのコレクションがある。

常設コレクションとしていくつか、彫刻作品があるのですが、そのなかに三沢厚彦さんの作品もあって、なかなか魅力的です。まあ、そういう関係もあってか、大規模な個展となってます。三沢さんは2000年から動物をモチーフにした彫刻「ANIMALS(アニマルズ)」シリーズを発表しているのですが、今回の個展では、その前の時期の作品から始まって、「ANIMALS」シリーズ、そして三沢厚彦、舟越桂、小林正人、杉戸洋、浅田政志による「三沢厚彦×アニマルハウス IN TOYAMA」という構成になってます。「アニマルハウス」という企画は2017年に渋谷区立松濤美術館で開催した「三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館」の富山県美術館版ということでした(過去記事はこちら)。5人で作成した作品もあって、なかなか刺激的でした。合わせて、「アニマルコレクション」というのもあって、三沢さんのコレクションが飾ってありました。森山大道の写真とか小林孝亘の油彩などがあって、これはこれで興味深い。

「ANIMALS」シリーズしか知らなかったので、初期の作品はかなり興味深いモノです。初期作品はいろんな素材を組み合わせた立体作品で、「ANIMALS」シリーズで樟(クスノキ)を使い、ほぼ等身大に彫り込み彩色をした木彫とはかなり作風が違います。下の写真は《彫刻家の棚》という作品で1993年に制作されたものです。素材は「木、石膏、布、紙、鉄、油彩、アクリル」となってます。

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1995年の作品《コロイドトンプ(ヒトウマ)》(左)と《コロイドトンプ(ティム)》(右)では資材は「木を主としたミクストメディア」となってます(写真下)。

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そして1998年制作の《コロイドトンプ(TRANSFORM)》(左)と《コロイドトンプ(彫刻ノウト)》(右)は素材は「樟、桂」になっている(写真下)。

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この作品をアップで撮ると下のようになります。

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2000年になると「ANIMALS」シリーズが始まります。下の写真は左から2009年制作の《Animal 2009-02》、2011年制作の《Animal 2011-01》、2018年制作の《Animal 2018-02》、2017年制作の《Animal 2017-02》。いずれも素材は樟(クスノキ)で油彩で着色してます。

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ちなみに油彩画も手がけている。素朴な感じに惹かれます。下の写真はいずれも2016年制作。タイトルは左から《クマ1》《クマ2》《クマ3》。

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今回は一部の展示が撮影可でした。できれば全部可にしてほしいですね。

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2018.11.04

東京ステーションギャラリーで「横山華山」を見る

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東京ステーションギャラリーで「横山華山」(1100円:2018/9/22-11/11)を見た。横山華山は1781年(天明元年)または1784年(天明4年)に生まれ、1837年(天保8年)に没した絵師。主に京都で活躍した。曾我蕭白や与謝野蕪村が死んだ頃に生まれ、20歳になるあたりで伊藤若冲が死んでいる。ちなみに北斎は華山のなくなった12年後に死んでいる。まあ、活躍した時期は北斎と同じころ、という感じ。

「曾我蕭白に傾倒し、岸駒に入門した後、呉春に私淑して絵の幅を広げ、多くの流派の画法を身につけました。そして、諸画派に属さず、画壇の潮流に左右されない、自由な画風と筆遣いで人気を博しました。その名声は日本中に広がり、ほかの絵師たちにも大きな影響を与え、門人も抱えました」とのことで、なぜ、ほぼ埋もれた作家になってしまったのか、不思議なところです。

実際、展示の冒頭で曾我蕭白と横山崋山の「蝦蟇仙人図」が並んでいて、その横に「寒山拾得図」に置かれているのですが、崋山のことを知らないと3作品とも蕭白作品に見える。蕭白のタッチってそうそう真似のできるものではないと思うのですが、蕭白的なモノを完全に手に入れている、その技巧的な部分で、絵のうまさを感じます。

華山の才能は、あらゆる画風を吸収して、自分のモノにしていくところにあると思われます。今回の展示では、人物画、花鳥画、風俗画、山水画とさまざまな分野の絵が並んでいるのですが、どれも面白い。例えば《唐子図屛風》に描かれる子供達は蕭白の唐子とは違って、子供らしく可愛いい。《虎図押絵貼屛風》という12カ月分の虎、つまり12種類の虎を描いた作品は、描き分けがうまく、岸駒という虎絵の名手に入門した以上のモノが感じられる。

今回の展示では《紅花屛風》と《祇園祭礼図巻》が見どころとされています。

《紅花屛風》は紅を作成する工程を紅花の栽培から加工まで描いたもので、一種のドキュメンタリー作品です。6曲1双という巨大な作品ですが、かなり精密に描写している。実際、紅花の産地、武州(現在の埼玉県上尾市、桶川市のあたり)や南仙(宮城県)まで行って取材しているそうで、描写は正確らしい。

もう一方の《祇園祭礼図巻》は祇園祭を取材したドキュメンタリーです。上下巻約30mの絵巻で、祇園祭に登場する山鉾をすべて描いたもの。山鉾だけでなく、それを曳く人達の様子も生き生きと描いています。

まあ、これだけの描き手が、どうして埋もれてしまったのか、というのは気になるところですが、おそらくは流派に属さないことや、ほぼオールジャンル的に描いているため、特徴抽出が難しいあたりに、あるような気がします。一方で、《紅花屛風》と《祇園祭礼図巻》から見て分かる、ドキュメンタリー的な手法は、昔は評価しにくかったのかもしれません。あと、今回の出展リストを見ていて思うのは、ほとんどが個人蔵で、美術館に常設されているものが少ないというのも気になります。単純に露出する機会が少ない、ということですから。ちなみに、名前が横山大観と渡辺崋山にかぶっていて、浸透しなかったかも、という見方もあるようです。まあ、そういう側面もあるかも。

東京ステーションギャラリーのあとは宮城県美術館(2019/4/20-6/23)、京都文化博物館(2019/7/2-8/17)に巡回するそうです。

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