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2018.11.04

東京ステーションギャラリーで「横山華山」を見る

Ph01

東京ステーションギャラリーで「横山華山」(1100円:2018/9/22-11/11)を見た。横山華山は1781年(天明元年)または1784年(天明4年)に生まれ、1837年(天保8年)に没した絵師。主に京都で活躍した。曾我蕭白や与謝野蕪村が死んだ頃に生まれ、20歳になるあたりで伊藤若冲が死んでいる。ちなみに北斎は華山のなくなった12年後に死んでいる。まあ、活躍した時期は北斎と同じころ、という感じ。

「曾我蕭白に傾倒し、岸駒に入門した後、呉春に私淑して絵の幅を広げ、多くの流派の画法を身につけました。そして、諸画派に属さず、画壇の潮流に左右されない、自由な画風と筆遣いで人気を博しました。その名声は日本中に広がり、ほかの絵師たちにも大きな影響を与え、門人も抱えました」とのことで、なぜ、ほぼ埋もれた作家になってしまったのか、不思議なところです。

実際、展示の冒頭で曾我蕭白と横山崋山の「蝦蟇仙人図」が並んでいて、その横に「寒山拾得図」に置かれているのですが、崋山のことを知らないと3作品とも蕭白作品に見える。蕭白のタッチってそうそう真似のできるものではないと思うのですが、蕭白的なモノを完全に手に入れている、その技巧的な部分で、絵のうまさを感じます。

華山の才能は、あらゆる画風を吸収して、自分のモノにしていくところにあると思われます。今回の展示では、人物画、花鳥画、風俗画、山水画とさまざまな分野の絵が並んでいるのですが、どれも面白い。例えば《唐子図屛風》に描かれる子供達は蕭白の唐子とは違って、子供らしく可愛いい。《虎図押絵貼屛風》という12カ月分の虎、つまり12種類の虎を描いた作品は、描き分けがうまく、岸駒という虎絵の名手に入門した以上のモノが感じられる。

今回の展示では《紅花屛風》と《祇園祭礼図巻》が見どころとされています。

《紅花屛風》は紅を作成する工程を紅花の栽培から加工まで描いたもので、一種のドキュメンタリー作品です。6曲1双という巨大な作品ですが、かなり精密に描写している。実際、紅花の産地、武州(現在の埼玉県上尾市、桶川市のあたり)や南仙(宮城県)まで行って取材しているそうで、描写は正確らしい。

もう一方の《祇園祭礼図巻》は祇園祭を取材したドキュメンタリーです。上下巻約30mの絵巻で、祇園祭に登場する山鉾をすべて描いたもの。山鉾だけでなく、それを曳く人達の様子も生き生きと描いています。

まあ、これだけの描き手が、どうして埋もれてしまったのか、というのは気になるところですが、おそらくは流派に属さないことや、ほぼオールジャンル的に描いているため、特徴抽出が難しいあたりに、あるような気がします。一方で、《紅花屛風》と《祇園祭礼図巻》から見て分かる、ドキュメンタリー的な手法は、昔は評価しにくかったのかもしれません。あと、今回の出展リストを見ていて思うのは、ほとんどが個人蔵で、美術館に常設されているものが少ないというのも気になります。単純に露出する機会が少ない、ということですから。ちなみに、名前が横山大観と渡辺崋山にかぶっていて、浸透しなかったかも、という見方もあるようです。まあ、そういう側面もあるかも。

東京ステーションギャラリーのあとは宮城県美術館(2019/4/20-6/23)、京都文化博物館(2019/7/2-8/17)に巡回するそうです。

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