« 2018年12月 | トップページ | 2019年2月 »

2019.01.31

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で「絵画のゆくえ2019  FACE受賞作家展」を見る

新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で「絵画のゆくえ2019  FACE受賞作家展」(600円:2019/1/12-2/17)を見た。損保ジャパン日本興亜美術館では公募展「FACE」を実施していて、その受賞者の、受賞後の作品を紹介するのが「絵画のゆくえ」。2016年にも開催していおりました(そのときの紹介記事はこちらです)。今回は「FACE2016からFACE2018までの3年間の「グランプリ」「優秀賞」受賞作家たち11名の近作・新作約100点を展示し、受賞作家たちの受賞後の展開をご紹介します」とのこと。

一応、FACE展は2016年から見ていて、今回の展示でも、ほとんどの作品について、見た覚えはあった。展示はすべて撮影可でしたので、気になった作品を写真で紹介しましょう。

最初はFACE2016でグランプリを受賞した遠藤美香の作品。モノクロの木版画ですが、ともかく大きい。下の写真は《宙返り》というタイトルの作品ですが、そのサイズは縦182×横495cmです。和紙を何枚かを貼り合わせている。グランプリ作品の《水仙》も縦182×横91cmと大きかったけど、さらにそれを発展させた感じ。

Ph01

次が唐仁原希(とうじんばら のぞみ)の作品。 大きな目が印象的です。2016年の優秀賞を受賞した作品はベラスケス風の宮廷肖像画のような設定に美少女の顔をしたケンタウロスにまたがった王子を描いた《それでも僕は。》という作品でした。今回の展示で気になったのは下の《ママの声が聞こえる》。225×543cmの巨大な作品です。顔がたくさんなっている木です。

Ph02

アップにするとこんな感じ。

Ph03

松田麗香の作品は抽象画だけど、顔料で雲肌麻紙に描いたもので、材料的には日本画だけど、テーマはあまり日本画的ではない。それに単純なストライプではなく、小さな円を無数に描いて縞模様を表現している。不思議な絵です。

Ph10_2

下の作品は《そこにある それもまた84》。とても爽やかな感じ。


Ph05

青木恵美子の作品は、色彩が濃厚で惹きつけられる。下の作品はアクリル絵具で作った花びらをキャンバスに貼り付ける、という工程で制作されているそうだ。絵画というよりレリーフに近い。ちなみにタイトルは赤い方が《INFINITY Red》、青い方が《INFINITY Blue No8》。

Ph06

《INFINITY Red》をアップに撮影すると、こんな感じ。まあレリーフです。

Ph07


最後は仙石裕美の作品。2018年のグランプリ作品を描いた画家です(2018年のFACE展のレビューはこちら)。下の作品のタイトルは《西の水、東の水、水を運ぶ人々》。194×486cmと大きい。この方は、色使いが鮮やかで、独特の遠近感が楽しい。

Ph09

ちなみにカタログの解説でFACE展の審査をしている美術史家の本江邦夫さんの「いわゆる『公募展』について」という解説があって、少々興味深かった。そこでは、FACEを含めた公募展がどうして、面白いのか、ということが書かれていた。なるほど、という感じです。

あと、損保ジャパン日本興亜美術館は「2020年5月にビル敷地内に移転オープンする予定」とのこと。2019年9月30日から 2020年2月14日まで休館して、最後に「FACE展2020」を開催して、移転するそうです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019.01.20

ワタリウム美術館で「TADANOBU ASANO 3634」を見る

Ph01

ワタリウム美術館で「TADANOBU ASANO 3634」(1000円:2018/12/7-2019/3/31)を見た。俳優の浅野忠信が描いたドローイング700点を紹介する展覧会です。そんなに期待せずに、でもワタリウム美術館で展示するのだから、そこそこ面白いはず、と思って見にいきました。

結果としては、なんとも形容しがたい、味のある作品の塊でした。あえていうと自分でもなにか描きたくなるような、背中を押されるようなエネルギーを感じたのだけど、まあ、人によって感じ方はいろいろでしょう。アメコミ風あり、映画のワンシーンぽいのとか、格闘している方々やロックやブルースを演奏している方々もある。なんとなくジェイソン テラオカとかを思い出していた。

撮影はOKとのことでしたので、会場の写真を貼っておきます。天井が高い、2階の展示は下のようになります。

Ph02

吊り下げられていた、紙袋にも描かれていた。

Ph03

この展示に合わせて、画集「蛇口の水が止まらない」も出版されました。厚さは4.4cmと分厚いです。

Ph05

この本には「かげの音」というタイトルの付いた、音楽CDも付いてます。64曲はいっていて合計67分。ドローイングのように不思議な味わい。なんというか、アンビエント的な感じ。ちなみにiTunesでパソコンに取り込むと、全部曲名がないのでトラック1からトラック64まで並ぶ、変なものになります。

Ph04


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019.01.16

東京オペラシティ アートギャラリーで「石川直樹 この星の光の地図を写す」を見る

Ph01

東京オペラシティ アートギャラリーで「石川直樹 この星の光の地図を写す」(1200円:2019/1/12- 3/24)を見た。石川直樹は1977年生まれの写真家。写真家だけど、冒険家であり登山家でもあり、文化人類学者とか民俗学者の視点で写真を撮影しているように思える。

「本展では、北極、南極、ヒマラヤ8000m峰といった極地を撮影した各シリーズ、ニュージーランドの原生林を撮影した『THE VOID』、ポリネシア地域に浮かぶ島々を星に導かれるように巡った『CORONA』、世界各地の洞窟壁画を訪ねた『NEW DIMENSION』、そして日本列島の南北に広がる島々を探索する『ARCHIPELAGO』など、石川の初期から現在までの活動の全貌を総合的に紹介します」とのこと。

写真撮影がOKでしたので、気になったものを以下に掲載します。

下が世界各地の洞窟壁画を訪ねた『NEW DIMENSION』の部屋。手のひらの跡がある洞窟壁画が印象的。

Ph03

いくつかの洞窟に向かう、その道行きのスナップらしい。

Ph04

ニュージーランドの原生林を撮影した『THE VOID』。プロジェクターで写真を投影してます。その向こう側に見えるのはポリネシア地域に浮かぶ島々を星に導かれるように巡った『CORONA』の写真。

Ph05

「Mt. Fuji」のコーナー。空撮の富士山もいいが、富士山のかたちに配置した組み写真もいい。

Ph07


Ph06

この部屋はK2、ヒマラヤ山脈にある世界2位の高さの山へ、挑戦したときの写真。このときは断念したそうです。真ん中にドーム型のテントがあって、その中で登頂のときのビデオを流しておりました。

Ph08

この展覧会に合わせて、ほぼカタログに相当する「この星の光の地図を写す」という大型本が出版されます。東京オペラシティ アートギャラリーのミュージアムショップで先行発売されていました。欲しかったのですが、あまり大きかったので、今回は断念しました。お値段は税込5940円です。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019.01.12

東京ステーションギャラリーで「吉村芳生 超絶技巧を超えて」を見る

Ph01

東京ステーションギャラリーで「吉村芳生 超絶技巧を超えて」(900円:2018/11/23日-2019/1/20)を見た。吉村芳生は1950年生まれの美術家。2013年に亡くなっている。版画とドローイングの作品でデビューして、色鉛筆を使った精密で巨大な花の絵や膨大な数の自画像を描いている。細密に描かれた作品が、膨大で、かつ執拗でなんとなく気が遠くなる。

一見して、粗い写真に見える作品は、写真を鉛筆で模写したものなのだけど、その模写の方法が通常では考えられない方法なのだ。次のような手順を踏む。

1.写真を拡大して紙焼きにして、その紙を鉄筆で格子状のマス目を引く。
2.マス目ごとのグレースケールを10段階に分けて、0~9の数字を記入する。白が0で黒が9。
3.方眼紙にその数字を書き写す。
4.方眼紙を下敷きにして、透明なフィルムを重ね、フィムルに鉛筆で数字に合わせて、斜線を引く。4の場合は5本引くといった具合。

これで写真の濃淡が再現させる。かなり、ぞくっとくる執拗さです。

「ドローイング 金網」という作品は、鉛筆で紙に金網を描いた作品ですが、一見、印刷物に見える。高さ97cmで長さが16m86.7cmと巨大だからだ。この作品の制作方法はケント紙と金網を銅版画のプレス機にかけて、紙に刻まれた金網の跡を鉛筆で描写するというもの。カタログの解説によると網目は1万8000個あり、70日間かけて完成した、とのこと。

このほか、365日間、毎日、自分を撮影して、その紙焼きを模写した「365日の自画像」。新聞の1面を読んだあとに自分の顔写真を撮り、新聞と自分の顔を模写した「新聞と自画像」などがある。「新聞と自画像」は、カラー写真らしきものがあるので、カラーコピーかなと思って、よく見ると肉筆だったりして、驚かされるのだけど、記事と自画像の表情が微妙にリンクしていて、なかなか味わい深い。このシリーズは2009年元旦から1年間、新聞の一面に直接自画像を描く「新聞と自画像 2009年」につながっていく。

そして吉村は晩年にカラーで花を描くようになるが、それも写真の模写をベースにしている。色鉛筆で描くのだけど、かなり濃密な色がでている。そして、これらの作品も大きい。特に満開の藤棚を描いた「無数の輝く生命に捧ぐ」は高さ2mで幅が約7mという大作で、目が釘付けになる。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019.01.08

神奈川県民ホールギャラリーで「5RoomsII ― けはいの純度」を見る

Ph01

神奈川県民ホールギャラリーで「5RoomsII ― けはいの純度」(700円:2018/12/17-2019/1/19)を見た。神奈川県民ホールギャラリーの5つの部屋を使い、1部屋1作家で計5人の作品を見せるという展示です。IIとあるように「5Rooms」の2回目。1回目は「5Rooms - 感覚を開く5つの個展」として2016年12月から2017年1月まで開催されました(そのときのレビューはこちら)。1回目の企画展が、ほとんど知らない作家の作品ですがなかなか面白かったので、今回も行ってみました。

参加する作家は、髪の毛を材料にして作品を制作する和田裕美子、鹿の角や骨を彫って草花の彫刻をつくる橋本雅也、石や干からびた植物などの自然物や自然現象をモチーフに木彫作品を制作する七搦 綾乃(ななからげ あやの)、像楽家あるいは生像作家のスコット・アレン、紙テープを使った巨大なインスタレーションを展開した大西 康明。今回は2部屋目の橋本雅也の作品が撮影不可でしたが、他の方々は撮影OKでしたので、気になった作品を紹介します。

最初の部屋にあるのが和田裕美子の作品。髪の毛を使ってレースのように編み、立体物を作成してます。下の作品は《garden》。髪の毛ということを知らずに見ても、面白いのですが、髪の毛ということを知ると少しぞっとします。
Ph02

こちらは《tree》。大きな作品です。髪の毛だけで作られています。
Ph03_2

2つ目の部屋は橋本雅也の作品で、暗い部屋にスポットライトで作品が照らし出されています。鹿の骨のほか、カゴノキという木材を使った作品が、並んでました。全体的に繊細。モノクロームの世界。

3つ目の部屋は七搦 綾乃の作品が並んでます。木彫で樟とか桂を使ってました。下の作品は樟を使ったものでタイトルは《血のつながった雫 I~IV》。それぞれ1mの長さで、人の足に見える。

Ph04

こちらは、《rainbows edge VIII》。うつ伏せになって横になっている人の上に布を掛けた感じ。妙に骨のようで、ミイラのようで、人のようで、という感じです。

Ph05

4つ目の部屋がスコット・アレンの《\Z\oom》。ズームと読むらしい。レーザー光を使ったインスタレーションです。24mの長さで幅3.5mの長い廊下、といったスペースを天井に取り付けられた、レーザー光ユニットが移動しながら、いろんなモノにレーザー光を反射させるというもの。12分で一通り拝見できます。

Ph06


Ph07

最後の5つ目の部屋が大西 康明の《tracing orbit》。一番広い部屋で、階段付きです。この部屋にはいったとたん、なんとなく言祝がれている感じ。色つきの紙テープが舞っています。

Ph08


| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年12月 | トップページ | 2019年2月 »