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2019.01.12

東京ステーションギャラリーで「吉村芳生 超絶技巧を超えて」を見る

Ph01

東京ステーションギャラリーで「吉村芳生 超絶技巧を超えて」(900円:2018/11/23日-2019/1/20)を見た。吉村芳生は1950年生まれの美術家。2013年に亡くなっている。版画とドローイングの作品でデビューして、色鉛筆を使った精密で巨大な花の絵や膨大な数の自画像を描いている。細密に描かれた作品が、膨大で、かつ執拗でなんとなく気が遠くなる。

一見して、粗い写真に見える作品は、写真を鉛筆で模写したものなのだけど、その模写の方法が通常では考えられない方法なのだ。次のような手順を踏む。

1.写真を拡大して紙焼きにして、その紙を鉄筆で格子状のマス目を引く。
2.マス目ごとのグレースケールを10段階に分けて、0~9の数字を記入する。白が0で黒が9。
3.方眼紙にその数字を書き写す。
4.方眼紙を下敷きにして、透明なフィルムを重ね、フィムルに鉛筆で数字に合わせて、斜線を引く。4の場合は5本引くといった具合。

これで写真の濃淡が再現させる。かなり、ぞくっとくる執拗さです。

「ドローイング 金網」という作品は、鉛筆で紙に金網を描いた作品ですが、一見、印刷物に見える。高さ97cmで長さが16m86.7cmと巨大だからだ。この作品の制作方法はケント紙と金網を銅版画のプレス機にかけて、紙に刻まれた金網の跡を鉛筆で描写するというもの。カタログの解説によると網目は1万8000個あり、70日間かけて完成した、とのこと。

このほか、365日間、毎日、自分を撮影して、その紙焼きを模写した「365日の自画像」。新聞の1面を読んだあとに自分の顔写真を撮り、新聞と自分の顔を模写した「新聞と自画像」などがある。「新聞と自画像」は、カラー写真らしきものがあるので、カラーコピーかなと思って、よく見ると肉筆だったりして、驚かされるのだけど、記事と自画像の表情が微妙にリンクしていて、なかなか味わい深い。このシリーズは2009年元旦から1年間、新聞の一面に直接自画像を描く「新聞と自画像 2009年」につながっていく。

そして吉村は晩年にカラーで花を描くようになるが、それも写真の模写をベースにしている。色鉛筆で描くのだけど、かなり濃密な色がでている。そして、これらの作品も大きい。特に満開の藤棚を描いた「無数の輝く生命に捧ぐ」は高さ2mで幅が約7mという大作で、目が釘付けになる。


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