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2019.07.17

国立新美術館で「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」を見る

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国立新美術館で「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」(1600円:2019/6/12-9/2)を見た。クリスチャン・ボルタンスキーは1944年生まれのフランス人。今回の展覧会のWebサイトでは「現代のフランスを代表する作家 」と紹介してます。ボルタンスキーの父親はユダヤ人で、ナチス・ドイツのフランス侵攻のころは、いろいろと大変だったらしいが、ボルタンスキー自身はパリ開放の1944年8月の翌月に生まれている、とのこと。

これまで、見たことのあるボルタンスキーの作品は、例えば豊田市美術館や原美術館にある「聖遺物箱」とか横浜美術館にある「シャス高校の祭壇」など、何かの常設展とかコレクション展でほかのアーティストの作品と並んで展示されていた。単品で見ると現代アートのなかでもかなり異質なものでした。モノクロで大きく引きのばれた感じの人物の顔写真と電球、何らかの箱の組み合わせた、死の臭いがする作品です。ただし、これらの展示では、その作品の前を通り過ぎれば、別のアーティストの作品世界に入るわけで、すぐにリセットされてしまうわけです。

一方、今回の展示は会場内まるごとボルタンスキー作品です。それも普通の展覧会とは違って、タイトルや制作年がプリントされた作品の紹介パネルもないし、どこまでがその作品なのかも分からない。見ていくと、それはどうでもいいことのように思えてきます。まあ、作品解説のチラシをもらうのですが、会場内が暗くて見てられない、というのもあるのですが…。

白水社の雑誌「ふらんす」の2019年7月号に掲載された特集「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」の記事で国立新美術館の主任研究員、山田由佳子さんによる「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime展の見どころ」というのがありまして、その記事によると「本展は大阪の国立国際美術館、長崎県美術館と共同で企画された。『空間のアーティスト』と自ら形容する作家は、展覧会全体をインスタレーション作品と考えている」と書かれておりました。まあ、まるごとボルタンスキーという見方でOKのようです。

いずれにしても、ボルタンスキーの回顧展なので、初期の作品から最新作までが展示されてます。

会場の一番奥とそこにつながる、廊下のような場所が撮影可でしたので、以下に写真を貼っておきます。ちなみに一番上の写真が奥に向かう廊下で幽霊とか悪魔とかいった感じの影絵が両側の白いカーテンに投影されてます。タイトルは《幽霊の廊下》です。この廊下の先には黒い巨大なものがあって、これが《ぼた山》という作品です。黒い衣類を積み上げた山です。その山頂を白色のライトが照らしてます。

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ぼた山の上には薄い布地に人物写真を印刷した布が大量にぶら下がっています。《スピリット》という作品で、100枚を超える布がゆらゆらと揺れています。

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奥の左側には巨大なスクリーンがあって、その前に白い紙を丸めたようなものが大量に置かれている。スクリーンには白い空間、おそらくは雪の積もった原野のようなところに風鈴がぶら下がった棒が並んでいる映像が投影されている。作品タイトルは《アニミスト(白)》。カナダで撮影したもので、上映時間は10時間36秒と長い。

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奥の右側にあるのが《ミステリオス》という作品。3つの巨大なスクリーンが配置されている。超広角のレンズがないと撮影できませんので2面のスクリーンを撮影しました。南米のパタゴニアで撮影したモノでテーマはクジラとのコミュニケーション。左側のスクリーンにはクジラの骨が置かれている。

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この展示階は大阪の国立国際美術館で2019年2月9日から5月6日まで開催してから、巡回してきたもので、次は長崎県美術館2019年10月18日から2020年1月5日にかけて開催される。カタログは市販の書籍です。タイトルは「クリスチャン・ボルタンスキー−Lifetime」でお値段は3240円。版元は水声社。杉本博司との対談が見どころかと思います。

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