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2020.01.31

アーティゾン美術館の設備とかシステムについて

アーティゾン美術館に行ってみた。展示については、アーティゾン美術館で「開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地」を見る、でざっくり書きました。ここではアーティゾン美術館の設備とかシステムについて記録しておきます。

まずチケットのシステム。日時指定のチケットをアーティゾン美術館のWebサイト経由で購入します。購入すると指定したメールアドレスにURLが送られてきて、そのURLをクリックするとQRコードを取得できる。入館の際にQRコードを提示。QRコードはスマホなどの画面に表示するか、紙に印刷するかして提示します。

基本はWeb経由で購入した電子的なチケットで入館するのですが、窓口で当日チケットを購入することも可能です。ただし、下の表にあるようにWebで購入するチケットは1100円なのに、窓口で購入すると1500円と400円高くなります。この表はプレス向けの資料に掲載されてました。
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面白いのは中学生以下は無料でかつ予約不要なこと。そして高校生と大学生、専門学校生などはWebで予約する必要はあるが無料なこと。

入場は日時指定です。入館時間は10時~11時半、12時~13時半、14時~15時半、16時~17時半に分かれていて、金曜だけ18時~19時半の枠がある。入れ替え制ではないので、入館したら閉館まで滞在できます。予約チケットは各入館時間枠が終わる10分前まで販売している、とのことなので近くまで行ったときにスマホで購入して入館、ということもできそうです。

美術館は1階から6階までを使っていて、1階が案内とカフェ、2階がミュージアムショップ、3階が受付とレクチャールーム。3階まではフリーゾーンで、チケットがなくても入れます。4階から6階が展示室になってます。

この建物のユニークなところは吹き抜けが3つあることです。まず1階から2階に吹き抜けがあります。下の写真のような感じ。1階のカフェの上に2階のミュージアムショップが見えます。

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3階に上がると3階から5階への吹き抜けが見えます。3階の受付にはゲートがあって、ここを通って会場に向かう。ゲートの先にあるエレベーターで6階に向かいます。帰りは左側のエスカレーターで降りてきました。
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3つ目の吹き抜けが会場の真ん中にある4階から5階への吹き抜け。5階に入ると少し奥にガラスが見えてきて、のぞき込むと4階の展示が見えます。
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今回は4階で自画像を展示してました。

ちなみに4階と5階には一息するための「VIEW DECK」という細長い廊下のようなスペースがある。ここからは、おそらく正面に対して右側が見える。今は5階からは戸田建設の本社ビルの取り壊しているところが拝見できる。

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廊下の先は5階の吹き抜けのところに出る。あと長椅子が置いてあります。
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そのほか感心したのは、絵の展示で、額にガラスが貼ってあるのだけど、かなり透明で低反射で、何も映り込まないこと。最初はあまりに何も映り込まないので、ガラスははめ込まれていないと思っていたのですが、下の写真のように足下に規制線がない。よく見るとガラスがあるのですが、よく見ないと分からない。写真を撮っても何も映り込まないのはいいですね。

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こちらは規制線がある例。6階の展示ですが、大きな作品の場合はこうなる。
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このほかに、巨大なタッチパネル式の収蔵品の検索システムもありました。確か4階の吹き抜けのあたりです。富山県美術館にあるポスター検索システムと同じで、チームラボによるモノです。
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2020.01.29

アーティゾン美術館で「開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地」を見る

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アーティゾン美術館で「開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地」(1100円:2020/1/18-3/31)を見た。アーティゾン美術館はブリジストン美術館を名称変更したもので、建物も新たに建て替えています。建物の完全な立替のために2015年5月から休館してました。跡地に「ミュージアムタワー京橋」という複合ビルが建ち、その低層部1階から6階にアーティゾン美術館が入ってます。ちなみにミュージアムタワー京橋は地上23階、地下2階で、10階から22階はオフィスフロアになるらしい。

展示は4階から6階まで。1階にカフェと案内、2階にミュージアムショップ、3階に講堂と受付がある。1階から3階はチケットがなくても入れます。3階の受付でチケットがわりのQRコードを読み取ってもらって、入場します。今回の展示では、3階の受付を抜けたところにあるエレベーターで6階に移動して、そこから6階、5階、4階の展示を見ながら降りてくるようになってました。ちなみに、今回は撮影は基本OKでした。印象的な作品を写真で紹介していこうかと思います。

今回の展示は2部構成です。第1部が6階を使った「アートをひろげる」で、この美術館の膨大なコレクションから「私たちが生きる現代を切り出して一つの視界のなかに収めることを試みる」(カタログから)としています。その現代を定義する作品は1870年代のマネから2000年代の美術家まで。印象派からキュビズム、抽象美術と展開されたこの時代を表している、としてます。

というわけで、この展覧会の最初の絵はエドゥアール・マネの《自画像》となる(写真下)。制作時期は1878-79です。
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アルベルト・ジャコメッティの《矢内原》。1958年の作品です。そして新収蔵品です。当時、フランスに実存主義の研究のため訪れていた哲学者の矢内原伊作をモデルにした作品です。

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下はザオ・ウーキーの《07.06.85》。1985年の作品です。

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まあ、幅の広さというか多様性を感じることはできたけど、それでよかったのかしら?

ちなみに、6階の展示室は700平方メートルとそこそこ広いのですが、柱は1本もありません。免震構造のおかげだそうです。そこに絵を掛ける壁を並べて、展示してました。

第2部は「アートをさぐる」というタイトル。5階と4階を使って展示してます。第1部は、アーティゾン美術館が考える現代の美術を幅広く取り上げたのですが、第2部は7つの視点から掘り下げる、とのこと。カタログでは「モダンアートの国際的な展開と豊かな所産を眺望する前半部を受けて、展覧会の後半部は、その水面下で芸術家の創造のいわば駆動力となっていたエレメントをさぐることを趣旨とし、『装飾』、『古典』、『原始』、『異界』、『聖俗』、『記録』、『幸福』の7つを掲げた」としてます。

それぞれ、印象深いのだけど、特にと思うのは以下の4点。

・装飾:なんとなく装飾というと琳派なんだけど、ここではイランやギリシャの陶器から始まるところが面白い。下の写真ではガラスケースに収まってます。

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・聖俗:ここではエジプト時代の猫の像からジャコメッティやピカソの作品まで立体物がずらりと並ぶのだが、聖俗の名の下にジャコメッティの《ディエゴの胸像》(1954-55年)が置かれているのが面白い。果たしてこの作品は聖なのか俗なのか。

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あと《洛中洛外図屏風》も、聖俗の範疇らしい。確かに聖俗の双方が描かれている。ちなみにこの屏風は新収蔵品です。そしてこの部屋は壁を黒漆喰で塗っていて、真っ黒です。そのためか屏風絵の前にあるガラスには何も反射しない。この部屋に入ると係の方がガラスがあることを教えてくれるのだけど、そうじゃないと確かにそこには何もないように見える。ガラスも幅15mの1枚のもので、この幅で継ぎ目がない。

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・記録:カタログには「記録には大きく分けて二つの目的がある。一つは目の前に広がる現実の世界を記録すること。そしてもう一つは、内面に生まれた感情や思考を留め残すこと。」とある。今回の展示では、前者は風景画で、後者は自画像である。4階中央にある吹き抜けの部屋に自画像を7点展示していた。特に印象深いのは青木繁の自画像。1903年の作品です。勢いのある頃の自画像ですが、既に暗い影が現れていて、ちょっとぞっとする。

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2020.01.20

東京国立博物館で「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」を見る

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東京国立近代美術館で「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」を見た(1200円:2019/11/1-2020/2/2)。YKKが設立した窓研究所と協同して企画したものらしい。アートは窓をどのように描いてきたか、あるいはどうように利用してきたか、というのがテーマなんでしょう。

話題が多くて、見ている側としては整理がつかない感じもするけど、そこそこ面白かった。例えば、東北大学 五十嵐太郎研究室が作成した美術と建築と技術の3つの軸で構成した年表(写真下)。日本でガラスが一般的に使われるようになったのは19世紀とか。でも、この年表をじっくり見ているわけにもいかない。図録を買って見ることにした。

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前半では主に近代までの絵画と写真で扱う窓をテーマにした作品が並ぶ。この当たりの展示で面白かったのは以下の3点。

・19世紀初頭に大判ガラスの工場生産が可能になって、そこで製造されたガラスが近代化の進むパリのショーウインドウに使われる。

・ウインドウ・ショッピングがそこから始まる。ウジェーヌ・アジェやロベール・ドアノーのパリの写真に現れる。

・マティスやボナールが繰り返し窓を描く。バルコニーに立つ女と大きな窓といった感じ。

といったところ。

このほか気になった作品ですが、以下に列挙しておきます。

「窓からのぞく人 1」という1930年代から1940年代の出来事を扱う4人のアーティスを扱ったパートで見た林田嶺一の作品。下の作品はタイトルが《キタイスカヤ街のとあるレストランの窓》。2001年の作品です。林田嶺一(はやしだれいいち)は1933年に旧満州国で生まれの美術家。独学で絵を描き続けてきたが、2001年のキリンアートアワードで優秀賞を受けてから脚光を浴びるようになった、とのこと。この辺の経緯は美術手帖のWeb版に掲載された「櫛野展正連載29:アウトサイドの隣人たち 「死んだふり」の流儀」に詳しい。

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下はズビグニエフ・リプチンスキの《タンゴ》の1シーン。1980年のビデオ作品です。窓の開いた部屋に窓から子供が飛び込んできて、これを発端に、次から次へといろんな人々が全部で36人出入りするものです。1980年の作品ですからアナログのフィルムです。どうやらすべて別撮りしたあと、フィルムを切り貼りして合成したものらしい。これが8分超の作品なんですが、本当に驚異的です。飽きずに見入ってしまった。ちなみにタイトルの《タンゴ》はタンゴの競技会で互いにぶつからずにダンスを繰り広げるダンサーのようだ、という意味らしいです。 

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そして「窓の光」というパートで紹介された山中信夫とホンマタカシの作品。どちらも巨大な写真です。それもピンホール写真。

山中信夫は1972年からピンホール・カメラによる作品制作を始めて、1982年に急逝した美術家。山中のピンホール写真は部屋そのものを暗箱にして、壁とか窓にピンホールを作って、壁面に写った映像を写真製版に使う「リスフィルム」に感光させるというものです。そして、その手法をホンマタカシが現代に再現して作品を制作しています。「ホンマタカシの換骨奪胎」(新潮社:2200円)という本があるんですが、そこでホンマタカシがその過程を解説していたので、話しには聞いたことがあるけど、実物を見たのは初めてでした。

山名の作品はかなり大きい。244×254cmで20枚の印画紙を組み合わせたものです。下の写真は《ピンホール・ルーム3》というタイトルで1973年の作品です。

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下はホンマタカシの作品。こちら100×106cm。タイトルは《Camera obscura - thirty six views of mount fuji Shinjuku》、2017年の作品です。

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下の作品は、ゲルハルト・リヒターの作品。リヒターは画家ですが、こちらは立体物です。タイトルは《8枚のガラス》。2012年の作品です。大きさは230×160×378cm。図録の説明によると「約35%は鏡のように像を映し、65%は向こう側が透けて見えるという特殊なガラスを使用している」とのこと。

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写真を撮ると、下のように撮影している側が映り込みます。万華鏡のようで、かなり不思議な感じです。

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図録は平凡社から「窓展 窓をめぐるアートと建築の旅」(税別2500円)として発売されてます。

 

 

 

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2020.01.04

府中市美術館で「青木野枝 霧と鉄と山と」を見る

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府中市美術館で「青木野枝 霧と鉄と山と」(700円:2019/12/14-2020/3/1)を見た。青木野枝は1958年、東京生まれの彫刻家。鉄を溶接したり溶断したりして作品を制作している。作品は基本的に大きい。そして会場に合わせて制作されるので、作品はタイトルが同じでも大きさは違うように見える。どう大きいかというと、例えば下の写真は《霧と山-Ⅱ》というタイトルの作品で、府中市美術館の1階吹き抜けに立っている。おそらく高さ8mぐらいはあるのだろうか? 鉄の輪2個とその間に鉄の棒が5本、そしておそらくはポリカーボネート製の波板で構成されている。美術館に入ると目の前にこの2つがどーんと並んでいて、割と圧巻なのだけど、細いからすぐに圧力を感じなくなる。

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下の写真は小さい作品。タイトルは《立山/府中》。鉄製のテーブルにカラフルな石鹸がいくつも積み上がっている作品。石鹸は一般募集された使いかけのモノ。一見の色としてキレイなのですが、公式図録に掲載された寺尾紗穂による解説では、作者の青木のイメージは「石鹸の塔について、恐山に積んであるような賽の河原の石積み」と書かれていて、なかなか一筋縄ではいかない感じ。ちなみに石鹸については「ウクライナではナチの犠牲者のお墓に石鹸を供える」といった話もあって、これまた深い感じ。いずれにしても、青木の作品は再生と解体を繰り返す、一瞬のモノ達なのだろうと、それくらいは感じることができた。

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まあ全体的に地味ですが、撮影不可の会場内の作品達は、スペースをゆったりと使って展示されているので、そこそこ迫力がある。今回は上の2点を含めて、8つの立体作品とスケッチやドローイングが公開されています。鉄だけではなく、鉄とガラスを組み合わせた作品や、石膏を使った小山のような作品とか印象深い。

ちなみに一番の疑問はどうやって搬入したのか、そして搬出するのかです。答えはわりと単純で、鉄の輪とか棒とかはそのまま搬入して、その場で溶接するということ。搬出時には溶断して持ち出す、そうです。つまり再生と解体を繰り返す、ということです。

さらにちなみに、公式図録は書店でも購入できる。タイトルは「流れのなかにほかりのかたまり」(左右社:2200円)。残念なことに府中市美術館での展示会場は撮影されてませんが、制作過程をがっちりドキュメントしてたり、インタビューがあったり、寺尾紗穂による解説的レポートもあるので、そこそこお買い得かと思います。

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