カテゴリー「art」の記事

2018.09.13

東京都美術館で「没後50年 藤田嗣治展」を見る

東京都美術館で「没後50年 藤田嗣治展」(1600円:2018/7/31-10/8)を見た。画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ) は1886年(明治19年)生まれで1968(昭和43年)に亡くなっている。カタログの年表によると、生まれたのは東京府牛込区で現在の東京都新宿区。父は陸軍軍医。亡くなったのはスイスのチューリッヒだ。

今回の展示は藤田の画業を「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマに分けて見せてくれる。そして代表的な作品は、ほとんどそろっている。藤田の全貌を理解にするのにはちょうどいい感じです。秋田県立美術館にある「秋田の行事」が来るといいんだけど、まあ大きさを考えると難しいですね。

個人的には以下の2点が目新しかった。

1.藤田もキュビズムの絵を描いていたこと。
2.モディリアーニと親交があったこと。

キュビズムについては2点、絵が展示されていた。意外と面白い絵ではあるけど、習作といった感じ。モディリアーニについては、モディリアーニから画商を紹介してもらったりしている模様。モディリアーニに影響を受けたらしい、ちょっと首の長い女性たちの絵が4点あった。

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2018.09.05

東京ステーションギャラリーで「いわさきちひろ、絵描きです。」を見る

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東京ステーションギャラリーで「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」(1000円:2018/7/14-9/9)を見た。いわさきちひろは1918年生まれの画家。1974年に亡くなっている。私も子供の頃にいわさきちひろの絵本を読みました。でも、そこに描かれた子供たちがあまりにキレイで、自分とは違うな、という違和感が強く、あまり好きにはなれませんでした。また、年を取ってからも、例えばマリー・ローランサンあたりの甘さが苦手なように、いわさきちひろも、苦手でした。でまあ、この展覧会を見て、私のなかの「いわさきちひろ観」が多少変わった感じがしました。少なくとも、様々な試行錯誤を重ねて、やっと絵本の絵にたどり着いたということに、感動してます。

今回の展示は、いわさきちひろの生涯に沿って展開している。だから、その波瀾万丈な生涯を知ることができる。本当は美術学校に行きたかったのを両親に反対されて、婿養子を迎えて結婚し、夫の勤務地の大連に行き、なぜか夫は自殺して帰国。戦争中は長野県松本市に疎開。戦後は日本共産党に入党して、原爆の絵で有名な丸木位里・俊夫妻と絵を描いたり、前衛美術会の創立に参加したりしている。ここまでだと、絵本の絵にはほど遠い感じなんだけど、その後、松本善明と結婚して、子供も生まれ、本格的に童画とか絵本を手がけるようになる。とまあ、大雑把に見るとそんな感じです。童画を描くといっても、上の写真のポスターにも使われている《ハマヒルガオと少女》という作品のように油彩画だったりして、作品や時代ごとに画材や描き方を工夫している。

今回の展示でも、いわさきちひろの生涯の後半で描かれた絵について、線画中心の絵と線画ではなくぼかしやたらしこみ、パステルを水に垂らして引き延ばした絵を分けて見せてくれる。この2つの視点で見ることで、いわさきちひろの絵の奥行きを感じることができた。

ちなみに、この展覧会はアニメーション映画監督の高畑勲さんの監修で進められていたそうだ。残念なことに高畑さんは2018年4月5日に亡くなってしまったが、カタログには高畑さんによるいわさきちひろ論が掲載されている。そこではいわさきちひろの描く子供の横顔と正面の顔について分析していて、面白い。ちなみにカタログには視覚社会史研究者の足立 元氏による「前衛のちひろ 1947-1952」という、いわさきちひろが前衛美術会に所属していたころの立ち位置について解説したテキストがあって、これも面白かった。

この展覧会は、京都の美術館「えき」KYOTO(2018/11/16-12/25)、福岡の福岡アジア美術館(2019/4/20-5/26)に巡回するとのことです。


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2018.09.03

東京都庭園美術館で「ブラジル先住民の椅子」を見る

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東京都庭園美術館で「ブラジル先住民の椅子」(1200円:2018/6/30- 9/17)を見た。ブラジルの原住民の方々が作った椅子をアール・デコで統一された旧朝香宮邸に展示するという試みです。装飾的な室内に、シンプルでプリミティブな椅子を配置しています。この美術館にはホワイトキューブな新館もあって、そこでも椅子が展示されているのですが、旧朝香宮邸に展示されている方が、相当に印象深い。例えば美術館の玄関横にある第一応接室はガラス張りの大きな窓があって、部屋の中が見えるのですが、そこにジャガーの椅子が置かれていて、なかなかの違和感です(写真上:高解像度版はこちら)。

椅子はその由来で3つに分類されている。まず、「伝統的な椅子」。共同体の長老やシャーマンが座るもの。動物をモチーフにしている感じがあまりしないけど、文様が美しいです。文様は部族固有らしい(写真下:高解像度版はこちら)。

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2つ目が「動物形態の伝統的な椅子」。より宗教的なシーンで使う椅子らしい。鳥やサル、ジャガー、ワニ、アルマジロ、カエル、エイなどが、椅子のモチーフになっている。ちなみに下の写真は左からエイ、エイ、ジャガー(高解像度版はこちら)。エイはアマゾン川にいるらしい。それも猛毒です。ほかの作品でも、そうなんですが、ジャガーの顔が犬っぽい気がする。あんまり精悍な感じがしないのでした。

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3つ目が「動物彫刻の椅子」。現代の作家による椅子です。前の2つのカテゴリーでは、高さがほぼ同じでしたが、3つ目の分類では、そこそこ大きさに差がある。下の写真は、どちらもアリクイですが、大きさはかなり違う(高解像度版はこちら)。

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そして椅子というよりは置物に見えるものが多い。椅子だとしても、どこに座るのか悩ましい(写真下:高解像度版はこちら)。

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ちなみにこれらの椅子は一刀彫りだ。会場で流していたビデオでは、男達が森に行って、木を伐採し、その場で木の幹を削って、椅子を作っていた。

まあ、残念なのは、こんなに大量に椅子を見たのに、一つも座ることができなかったことですね。

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2018.08.29

平塚市美術館で「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」を見る

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平塚市美術館で「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」(900円:2018/7/7-9/2)を見た。深掘さんの作品を最初に見たのは、2007年の冬、東京コンテンポラリーアートフェアの会場でした。タイトルは金魚酒。升のなかに金魚がいるなと思って、じっと見ていても動かない、なんだろうと思っていると、どうやら升の中に、何らかの手法で立体的な金魚を描いたものらしいという事実に、たどりついて驚く、というものです。それから10年以上経って、個展が開かれるというので、暑いなか平塚まで行ってみました。

しかし、本当に金魚ばかり描いていたようで、升だけでなく、机の引き出しとか弁当箱とか、ありとあらゆるところで、金魚が泳いでました。ちなみにこれらの金魚は、「エポキシ樹脂という素材にアクリル絵の具で幾層にも分けて、金魚のパーツを描きこみ、それを重ねることで立体感のある金魚を描き出す」というもので、パーツを描いては樹脂を流し込んで固まるのを待つ、ということを繰り返してできあがる作品です。面白いのは、各パーツは平面に描かれていて、それを重なることで立体的に見える、というところです。ちなみに立体の金魚意外に平面の金魚も描いていて、それはそれで趣のある絵でした。

今回は、ほぼ作成時期の順に展示されてますが、最後の展示が「平成しんちう屋」という巨大なインスタレーションになってまして、そこは撮影OKでした。ちなみに「しんちう屋」とは「江戸時代初頭、不忍池に実際にあったという日本で最初の金魚店の名前」とのことです。下の写真のように「しんちうや」ののれんがある屋台のようなセットを中心に金魚が入った木箱が並んでました(高解像度版はこちら)。

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木箱は平面の絵が中心ですが、金魚をすくう網の入ったのは立体的です(高解像度版はこちら)。

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こちらは、かなり大きめの立体作品(高解像度版はこちら)。

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よく分からないのですが木彫りの熊なんだけど顔が金魚、というモノもありました(高解像度版はこちら)。あとこの記事の冒頭にあるビニール袋にはいった金魚も多数並んでました(高解像度版はこちら)。

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この展覧会は、刈谷市美術館にも2018/9/15-11/4に巡回する、とのことです。


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2018.08.27

原美術館で「小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮」を見る

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原美術館で「小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮」(1100円:2018/6/16-9/2)を見た。写真ではあるのだけど、西洋絵画の静物画のようだと思ったら、「17世紀西洋の写実的な静物画を参照した作品」とのこと。それも、写真だと思っていたら、徐々に変化することに気がついて、高解像度のディスプレイに映された動画であることが分かるという作品でした。「それらは一見したところ静謐な写実絵画のようでありながら、実は作家が組んだセットをデジタルカメラでインターバル撮影し、その数千もの写真を繋げたアニメーション」なのでした。例えば《Sweet Scent》という2003年の作品では下の2つの写真のように、静物が徐々に枯れたり腐っていったりします。

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この作品はカタログにある解説やプレスリリースによると「スペインの画家はフランシスコ デ スルバラン(1598-1664)の『オレンジ、レモン、水の入ったコップのある静物』(1633 年)をもとにした作品」だそうで、静物画を基にセットを組んで、4カ月かけてインターバル撮影している。

ちなみに、今回の展示では、原美術館としては珍しく写真撮影が許可されていたので、気になったモノは撮影してみました。

下の写真は《Cloth extracted from Drape》。テーブルの上に食器とか果物とかの静物が置かれていて、その上に布をかぶせた《Drape》という一連の作品があるんですが、そこで使われた布、ということらしいです。浮遊している幽霊のような感じ。本来、布の下にモノがあったのに、それはないけど、抜け殻のように布の形だけが残っている。

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そして下の写真が《Drape off》。12分のモノクロ4Kビデオです。静物画のようにテーブルに食器とか果実とかが置かれているところに、上からモノが落ちてきて、テーブルの上にあるモノが下に落ちる、という映像ですが、4秒の出来事を12分に引き延ばしてます。解説によると「撮影は超高速度撮影を4KのHDビデオカメラで行い、それを写真に変換したあとで、構図を全くの左右対称になるよう整え、絵画的な質感を与えた後、つなぎ合わせて一本のビデオにし、さらに画像間にモーフィングを何度もかけながら元々の4秒間のアクションを12分に引き延ばした」とのこと。

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2018.08.19

21_21 DESIGN SIGHTで「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」を見る

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21_21 DESIGN SIGHTで「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」(1100円:2018/6/29- 10/14)を見た。「ミュージシャンの小山田圭吾(Cornelius)が展覧会のために書き下ろした新曲『AUDIO ARCHITECTURE』を、気鋭の作家たちがそれぞれの視点から解釈し、映像作品を制作します」とのこと。9組が参加してます。このうち1組は稲垣哲朗による小山田圭吾らがスタジオで演奏している映像で会場に入って最初に見ることになります(写真上)。

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残りの8組がその映像作品を上の写真のように壁と床に投影してます(作品は梅田宏明「線維状にある」)。かなり横長な画面です。床の上でごろごろしてもOKです。この画面の向かいに階段があり、そこで座って鑑賞することもできます。ちなみに床面に必ず映像が投写されるわけでもなく作品によるようです。下の写真は床に投影されていない例です(作品は大西景太の「Cocktail Party in the AUDIO ARCHITECTURE」)。

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画面の裏側は8組の作品を個別に見せるブースがあって、ブースによっては、種明かし的な展示もありました。

個人的に気に入ったのはユーフラテス(石川将也)+ 阿部 舜による「Layers Act」(写真下)。

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黒の背景に白い線や点がリズミカルに現れる映像ですが、その手法は「シンプルな模様の描かれた二枚の透明フィルム(レイヤー)を重ねて動かすことでつくられる、多彩な視覚効果で構成された映像作品。モーターを使ってフィルムを一定速度で動かしたり、楽曲に合わせて手で動かしたりしながら撮影し、生理的な気持ち良さを追求して編集した」とのこと。作品ではその種明かしも、下の写真のように現れる。

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2018.08.12

栃木県立美術館で「ウェザーリポート 風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア」を見る

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栃木県立美術館で「ウェザーリポート 風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア」(2018/6/30- 8/26:800円)を見た。この暑いなか、宇都宮に行ったのは、チラシで見た、クラウス・ダオフェンの《HANAZAKARI 花ざかり》が気になったから。そして、美術展の協賛に清掃機器メーカーのKärcher(ケルヒャー)が入っていたからなんです。ちなみに《HANAZAKARI 花ざかり》は上の写真にある美術展の看板の左側にある写真です。

なんとなく、タイトルから気象とアートの関係を解説する展示を想像していたけど、そうではありませんでした。これまでの風景画は気象現象を視覚化してきたけど、その見せ方は水平方向に固定されていて、既に自由度を失っている。そこに垂直方向の視点を持ち込むことで、新しい表現が生まれてくる、ということを示しているようです。「望遠鏡などの光学装置とヘリコプターや飛行機、宇宙探査機などの飛翔機械の目覚ましい発達によって、かつて風景画が提起した水平的眼差しとは異なる垂直的眼差しが美術に視覚革命ともいうべき事態をもたらしました」とのこと。というわけで、垂直方向の視点を備えた作品、抽象的に宇宙を扱うモノから、具体的に見上げたり、見下ろしたりする作品が集められておりました。まあ、それだけではないのですが…。

クラウス・ダオフェンの《HANAZAKARI 花ざかり》は実際に見下ろすことで、その作品のダイナミックさが際立つ作品です。図録の解説によると、2008年に、栃木県足利市の松田川ダムにゴヨウツツジ(五葉躑躅)を描いた作品で、描いたと言うよりは、削った作品だそうだ。ダムの壁面にこびりついた汚れを、ケルヒャーの高圧洗浄機で除くことで、描かれている。かなり精密に作られていて、ダムの正面から見ても、空から見ても、それらしく見えるようになっている。ちなみに、これも図録の解説によると、アーティストが日本中のダムを調査して、ダムを正面から安全に鑑賞できる条件から松田川ダムを選んだ、とのこと。さらに、ちなみに、このダムは3-4年で元の状態に戻って絵を見ることはできないらしい。

このほか、松江泰治の空撮写真、日高理恵子の《樹を見上げて》、野村仁などの作品が展示されておりました。


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2018.08.08

銀座のポーラ ミュージアム アネックスで野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」を見る

銀座一丁目のポーラ ミュージアム アネックスで野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」(無料:2018/7/13-9/2)を見た。野口哲哉さんの作品を初めて見たのは2014年に練馬区立美術館で開催された「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」でした。鎧兜を身につけた武士の人形と武士達を描いた絵を展示してました。人形も鎧兜も精密だけど、とても人間くさい表情をしてました。今回もその延長線にある作品ですが、全体として人形の種類が増えて、小さい作品から大きい作品まであり、絵もちょっと変わったタッチの作品を展示してました。撮影OKでしたので、気になった作品を写真で紹介いたしましょう。

人形が大きくなったなあ、とまず思わせたのが、会場の入口に置かれた《Clumsy heart》(写真下)。鎧兜の武者がハートを描いている、という作品。高さは74cmある。

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この人形の表情は見にくいのだけど、精一杯、背伸びして描いている感じがよろしい。まあ、表情だと下の《Sleep Away》が気に入っております。今回は眠っている表情の作品が多い。

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下のように、元気な方々もいる。

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今回の展示で、興味深かったのは、古い油絵風の絵画。例えば下の《17C ~音楽の寓意~ フェルメールに基づく》はタイトル通りフェルメール風でこれまでにない感じ。この絵の説明に「フェルメールと円空は同い年だ」と書かれていて、その言葉が猛烈に記憶に残ってしまった。

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今回の展示に合わせて、作品集として「野口哲哉作品集 ~中世より愛をこめて~ 」(求龍堂:3000円)が発売されました。まあ、当然購入しましたが、このほか、ポスター3枚とフィギュア2体も購入しました。ポスターは壁に3枚、貼っております。

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2018.07.27

上野の森美術館で「ミラクル エッシャー展」を見る

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上野の森美術館で「ミラクル エッシャー展」(http://www.escher.jp/,2018/6/6-7/29:1600円)を見た。久しぶりのエッシャーです。エッシャーと言えば錯視を巧妙に利用しただまし絵が有名です。おそらく最初に見たのが講談社のブルーバックスの表紙のような気がする。

この展示の見所は、だまし絵の前に風景画や聖書からテーマをとったものがあって、徐々にだまし絵へと向かう当たりが見て取れるところでしょう。風景画の作成で遠近法を身につけ、それも何種類かの遠近法を混在させるようになり、平面を一定のパターンで埋め尽くす装飾パターンの研究を遠近法と組み合わせて、より複雑なだまし絵を作成しています。平面をパターンで埋め尽くすところから発展して、そこに立体のパターンを組み合わせるあたりはエッシャーならではの作品です。その辺の流れが、改めて分かったのはよかった。

ただし、上野の森美術館って、狭いので猛烈に混雑するし、エッシャーの作品は版画なので小さく、誰かが立ち止まって鑑賞されると、見えなくなる。とてもストレスのたまる展示会でした。

ちなみに、大阪のあべのハルカス美術館(2018/11/16-2019/1/14)のほか福岡と愛媛に巡回する予定です。


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2018.07.23

東京国立近代美術館で「ゴードン・マッタ=クラーク展」を見る

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竹橋の近代美術館で「ゴードン・マッタ=クラーク展」(1200円:2018/6/19-9/17)を見た。ゴードン・マッタ=クラークは1970年代にニューヨークで活躍したアーティスト。1943年生まれで、1978年に35歳で死んでいる。死因は膵臓ガンとのこと。年表を見ると1969年からアーティストとして活動を始め、ニューヨークに住み、建築物をベースにした作品や、ストリートカルチャー的な活動や、「フード」という食堂の運営など、見ているとかなり好き勝手にいろんなことに手を出して疾走していった、という感じ。まあ、全体を通して空間をどう扱うと面白いか? という視点で活動していた、という印象です。

展示は5つのテーマ、「ミュージアム マッタ=クラークを展示する」「住まい 流転する空間と経験」「ストリート エネルギーの循環と変容」「港 水と陸の際」「市場 自然と都市の間」に分かれていて、大きな模型や当時の資料、写真、ドローイングとビデオを展示してました。写真撮影はOKでしたので、気になった作品を撮ってきました。

まず「ミュージアム マッタ=クラークを展示する」にあった《サーカス》の1/8モデル。段ボールで作られている。1978年のシカゴ現代美術館でのプロジェクト。シカゴ現代美術館で空き家になる建物をマッタ=クラークに作品の素材として提供し、そこで建物の20フィート(約6メートル)の幅いっぱいの直径を持つ三つのボール(中空でそこそこ皮が厚い感じ)を建物の上から下へ対角線上に並べて、その線に合わせて床や壁をカットしていくというもの。写真や図面だけではよく分からないけど、大きな模型で再現されると、少しは体感できた気がする。ちなみに建物に対するこういったアプローチは、かつて、2000年頃の取手アートプロジェクトで見たことがあったけど、その後、あまり見たことがない。

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下の写真は「住まい 流転する空間と経験」にあった《スプリッティング:四つの角》。マッタ=クラークのプロジェクト《スプリッティング》の残り。スプリッティングでは2階建ての住宅を二つに切って、切り離したのも。「建物の側面、内壁、床、天井に伝って1インチ離れた2本の線を引き、電動ノコギリでその線を貫くと隙間の素材を取り除いた」とのこと。その住宅の四隅が、下の写真。

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「ストリート エネルギーの循環と変容」にはいろんな作品が並んでいたけど、印象的だったのは「フレッシュキル」というビデオ作品と、そのビデオを見るための階段。フレッシュキルは地名です。広大なごみ埋立地だそうです。そこに赤いトラックで走っていって、なぜかそのトラックがブルドーザーによってスクラップにされるという映像。とても唐突で暴力的です。

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「港 水と陸の際」で展示された「日の終わり」。ハドソン川沿いにある倉庫で、壁に猫の目のような形の穴を開けて、写真撮影したもの。合わせて、その制作風景をビデオに撮ってます。酒井抱一の屏風絵に出てくる月のような形をしていて、個人的には趣深いのですが…。

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最後に美実館建物の前に置かれた「ごみの壁」。マッタ=クラークのコンセプトを継承して、制作された東京バージョン。「1970 年にゴードン・マッタ=クラークによってオリジナルが作成され、その後、それぞれの土地で集められたごみを使って再制作が行われている作品《ごみの壁》。本展では、東京の街で集められたごみを使って、サイズ約 180×180×60cm ほどの作品を早稲田大学建築学科の学生と共同で制作しました」とのこと。

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