カテゴリー「山口晃」の記事

2016.04.08

馬の博物館で「馬鑑(うまかがみ) 山口晃展」を見る

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 横浜市中区の根岸競馬記念公苑のなかにある馬の博物館で「馬鑑(うまかがみ) 山口晃展」(2016/3/26-5/29:200円)を見た。最寄駅はJR根岸駅かJR山手駅。案内によると徒歩15分とある。丘の上にあるので、ひたすら坂をのぼっていく感じ。バスもあります。入口は上の写真のようになってます(高解像度版はこちら)。

 根岸競馬記念公苑は根岸森林公園と合わせてみると分かるのですが、下の図のように巨大な楕円形で、日本で初めて洋式競馬が開催された場所だそうです。ともかく広々としてます。ここに馬の博物館がありまして、「馬と人との交流によって育まれた文物を自然史・歴史・民俗・美術工芸・競馬のフィールドに分けて、収集、調査、研究、展示を行ってきました」とのこと。なぜ、ここで山口晃展なのか、というは興味深いところです。

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 博物館によると「横浜・馬の博物館を運営する(公財)馬事文化財団は、本年創立40周年を迎えます。また、かつてこの地で賑わいを見せた根岸競馬場も開設されて150周年の節目を迎えることから、馬の博物館春の企画展ではこれらを記念し、話題の画家、山口晃の展覧会を開催します」と特別なことを強調してます。山口画伯については「合戦図や厩図などにみられる馬とオートバイの合体した表現は、馬の持つ潜在的能力を、現代のオートバイに重ねて、動力の力強さを捉え、逞しい日本在来馬の姿を絶妙に表現しています」としてます。山口作品には確かに、馬とオートバイを合体させた、架空のサイボーグがよく登場する。その辺が接点らしい。

 ちなみに見どころは、
 ・山口晃初となる博物館での個展開催!
 ・約12年ぶりとなる「厩圖(うまやず)」の新作を披露!
 ・山口晃の《厩圖》と桃山時代の《厩図》(館蔵品)を並べて展示するなど、山口作品と博物資料のコラボレーションを多数実施。
 ・山口晃の作品にちなみ、大型バイクと日本在来馬、刀剣や甲冑などが登場。
 ・常設展示の曲り屋が、山口晃の手によってインスタレーションに!?
とのこと。

 山口画伯による厩圖は2001年版と2004年版があって、両方とも展示されてます。ちなみに厩図は「室町時代から江戸初期にかけて、武士の世界では名馬を愛玩する風潮が生まれ、牧馬図、厩図、調馬図など、馬を題材とした絵画が数多く作られました。なかでも厩図は、主ご自慢の駿馬たちが手入れの行き届いた清潔な厩に繋がれ、そこに集う人々が娯楽に興じる様を描いたもので、国内外に優れた作品が残っています」というもの。山口版厩図にはオートバイ合体型の馬や一輪車型の馬などが厩につながれているシーンが描かれ、その前で現代人と過去の時代の方々がくつろいでいたりします。これと桃山時代の厩図を並べて拝見するのは、なかなかおもしろい。山口画伯は確実に、過去の作品を研究してますね。

 おそらく、最大の目玉は12年ぶりの新作厩圖なんでしょうが、4月2日時点では白いキャンバスに細いラインが下書きされているだけで、会期中に終わるのか、微妙な感じです。

 「常設展示の曲り屋が、山口晃の手によってインスタレーションに!」というのは、常設を見てないので差分がよくわからなかったけど、おそらくはしつこく貼り紙してあるのが、インスタレーションのようです。馬のところには「うま 人馬一体で歴史を創った」とかありましたが、ほかのはあんまり覚えてません。

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 ほかにも、絵の入ってない木の額が3つ並んでいるところとかがあり、そこそこ謎の多い展示でした。

 ちなみに図録は作成中とのこと。入口にあるコーナーに以下の写真の説明がありました。4月下旬から発売とのこと。新作の厩図を含んだ図録になると思われます。そうなると、順番としては発売の前に絵ができあがらないといけないので、今の状態だとそこそこ予定がずれそうな気がします。

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 そんな状態ですが、なんといっても200円で拝見できたのがお得な感じです。絵のほかに馬の博物館ならではの展示、馬の進化の過程を示した標本とか、馬力を実感できる装置の展示とかもよかった。横浜付近に行く機会があったら、再度、覗いてみたいモノです。

 山口晃展をみたあと根岸森林公園を散策しました。ちょうど桜の時期でしたので、かなりの数の花見客がいたんですが、それ以上に広いので、上野公園の花見よりは絶対いい感じです(写真下:高解像度版はこちら)。まあ、上野公園のように夜は入れないでしょうけど。
 
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 もう一つ、「旧一等馬見所」という建物がユニークでした(写真下:高解像度版はこちら)。旧根岸競馬場のスタンドですが、この角度だとよく分かりません。この向こう側がスタンドになっているようです。

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 ちなみに、旧一等馬見所と公園の間には米軍の施設があります。そのためか撮影禁止になってます。

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 じゃ撮影できないのか、残念と思ったら、この看板の上に、さらに看板がありました。

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 看板曰く

 根岸森林公園のこの付近は、撮影禁止区域です
 (許可が必要となる撮影は行えません)
 個人でお楽しみいただく写真・動画の撮影はご自由におこなっていただけます
 (注:大人数・長時間の場合は下記までお問い合わせください)

 とのこと。文字のサイズがどんどん小さくなっていくのが、面白い。許可の必要な撮影とは、まあ雑誌グラビアとか広告とか、映画とかそういった商業写真・動画の撮影のことらしいです。個人がちまちまと撮影するのは問題ないようです。なんか公園管理も大変ね。

追記

馬の博物館のWebサイトで展覧会図録を4月29日から販売開始とのお知らせが掲載されたので、横浜美術館に行くついでに、寄って見た。

図録は1000円でした。下のような表紙です。

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で、気になる新作の厩図ですが、下のように掲載されてました。

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なんと制作中のままです。いや~、できあがった作品はどのようになるのでしょうか? ちなみに、5月3日時点このまま展示されていました。だいたい1カ月前にみたときは、もっと薄い線でしたが、多少は濃い線になってましたけど、これって色を付けるのかしら。会期終了まで1カ月もないのに、どうなるんでしょう?

追記(2017/8/15)
幻の作品になりそうだった「厩圖」ですが、どうやら完成して、2017年9月9日(土)ー10月29日(日)の日程で公開されるそうです。タイトルは以下のようになる模様。
馬の博物館開館40周年記念所蔵名品展
馬の美術150選 ―山口晃「厩圖2016」完成披露―
EQUINE MUSEUM EXCELLENT WORKS 150

説明によると「昨年開催の「馬艦  山口晃展」にてその制作過程をご覧いただいた、画家・山口晃による《厩圖2016》を、本展にて完成後初公開いたします。また、山口氏をメインアーティストとして開催された「道後アート2016」(2017年8月末まで)の中から、《道後百景》を特別展示するほか、当館コレクションの中から、山口晃おすすめの美術品もご紹介するという、コラボレーション企画にもなっております」とのこと。昨年の展覧会が制作過程を見せるためのものだった、という事実に愕然としますね。まあ、愕然としながら見に行くことになりそうです。

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2015.03.02

水戸芸術館で「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」を見る

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 久しぶりに水戸の水戸芸術館へ。お目当ては「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」(5/17まで、800円)。初日の2月21日に行ってみました。上野から特急ひたちに乗って、ざっと1時間程度で水戸駅に到着。そして水戸駅から20分ほど歩いて水戸芸に着いた。

 初日に行ってみようと思ったのは、その前日にTwitter経由で以下の画像が流れていたからだ。プレス向け内覧会の「撮影に関する注意事項」という文書で、制作中のため撮影不可、なんてことが書かれていて、微妙な緊迫感があった。山口晃氏の個展で、会期が始まっても、制作中なんてことは過去にあったので、今回はどうだろうと思って、天気も良かったし、つい初日に行ってしまった。

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 でも、特に混乱してはいなように見えた。一番上の写真は看板(高解像度版はこちら)だけど、ちゃんとあったし、写真下のように、よく分からない垂れ幕も飾ってあるし…(高解像度版はこちら)。

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 でまあ、展示スペースに入ると、いろいろとまあ仕掛けがあって、面白うございました。水戸芸術館の展示スペースは奥行きがあるというか、大きさの違う複数の部屋が一直線につながっていて、その横に長い廊下があるんだけど、それをうまく使って、仕掛けておりました。

 水戸芸では2001年に川俣正の「デイリーニュース」という展示があって、そのときは新聞紙の束を積んで、展示空間にちょっとしたアップダウンのある通路が作られていたけど、ちょっとそれを思い出した。

 下の画像は、展示室に入るときに渡される案内図。ここにあるように(実際には体験しないとぴんとこないのだけど)、第1室に入っても作品には近づけないようになっている。近づこうにも、導線用のテープが張られていて、次の部屋に行くしかなく、ともかく第5室まで進んでいって、戻ってきたときにやっと第1室の作品のそばに寄れるようになっている。

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 第1室から第3室を拡大したのが下の図。第1室にあるゲートのようなものを通らないと、第1室の左側になる作品には近づけないし、その後、またゲートを抜けないと、第1室の右側の作品にも近づけない。ちなみに、このゲートは一方向にしか開かないようになっている。

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 第6室には「無残ノ介/続無残ノ介」という連作が展示されます。キャンバスにカラーで描かれた絵もあれば紙に素描ってものまで、52点というか52コマの漫画という感じです。これが50mあるという廊下に並んでいるわけです。

 まあ、どれも凝っていて、面白かった。図録は4月19日発売とのこと。予約しました。一般の書店でも販売するそうなので、行けない方々は購入するといいでしょう。出版社は青幻舎だそうです。

 ちなみに、交通費は往復で7000円ちょっとかかった。あまりサーベイせずに行ったのが良くないのだけど、安くする方法はいくつかあるようだ。まず高速バス。東京駅ー水戸駅間を2時間ちょっとで2080円(茨城交通のサイト)、往復割引もあるらしい。それからえきネットの「トクだ値」だと30%割引がある。次回はこの辺を駆使して、少しはお得に行きたいモノだ。

●追記
 図録が届きました。タイトルは「山口晃  前に下がる 下を仰ぐ」。お値段は2200円+税。サイズはA4より一回り大きい感じ。カバーは展覧会のタイトルを冠した「前に下がる 下を仰ぐ」でした。この絵で、絵を描いている人は横山大観を思い出すんだけど、違いますかね。水戸だし、とか思うんだけど。今更ながら、左足に草履、右足に靴を履いているのに気がついたけど、ちょっとやりすぎかも。

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 ちなみに、予約の特典でしょうか、サイン入りでした。わーい。

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2007.05.23

「アートで候。 会田誠 山口晃 展」を見る

Art_de_sourou_1_1上野の森美術館で「アートで候。 会田誠 山口晃 展」(6/19まで、1000円)を見る。「アート界のツートップ」とのこと。洒脱な山口に過激な会田。まあ、そんな感じかも。どちらも、学生時代の作品から2007年というか、この展覧会に合わせた新作まで展示するというのは、そこそこ贅沢。新作は、どちらも巨大作品なので、かなり気合いが入ってます。ちなみにオフィシャルblogの5/21の記事によると「実は昨日の閉館後、作家二人がそれぞれの新作に加筆されました」とのこと。また見に行かないといかんなあ。

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2005.11.23

三越で「山口晃展」を見る

yamaguchi_akira日本橋の三越本店で「山口晃展」(11/27まで、500円)を見る。去年、三越の100周年広告は山口晃の絵がベースになっていたけど、それが縁らしい。山口の絵はキャンバスに油彩なのに、金雲とかすやり霞とか、屏風絵なんかに使われている日本画のモチーフを使って、独特の世界を作り上げている。意外と三越と合うのかも。「山口晃作品集」(東京大学出版会、2800円)に載っている作品が2/3は見られるんじゃないだろうか。今回、カタログがないから、何が展示されたのかがちょっと曖昧だけど……。六本木ヒルズの鳥瞰図とか武者絵なんかが代表作なんだろうが、個人的には絵巻物風の「中西夏之氏公開制作之図」が好きだな。

カタログはなかったけど、山口晃関連の本からTシャツまで販売しているのは少しうれしい。大原美術館で4/29〜5/8に開催された「『会田誠・小沢剛・山口晃』展」のカタログを1500円で購入した。

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2004.10.11

日本の美 琳派展2004を三越で見る

rinpa_mitsukoshi日本橋の三越で「日本の美 琳派展2004」(10/17まで、900円)を見る。デパートの展覧会はできれば行きたくないのだが、いくつか見たことがない作品も展示されるらしいので、開館の10時に行ってみた。狭いスペースにそれなりの数を並べるため、通路はクネクネと曲がり、なんとも嫌な感じ。屏風絵は、そこそこ大きいので、引いて見たくなるのだが、狭いから引けない、と文句は多数あるのだけど、展示作品はいいものがあった。

展示は歴史順。俵屋宗達と本阿弥光悦から始まって、江戸琳派で終わる。注目は俵屋宗達の「雷神図屏風」と尾形光琳の「白楽天図屏風」。どちらも六曲一隻。宗達の「雷神図屏風」は初公開とのこと。屏風の真ん中をドロドロと音を響かせながら、雷神が下降していく感じがいい。それに今まで見た雷神のなかでは、最も凶悪そうなところもいいなあ。背景は金砂子を敷き詰めたもので、もやっとしたところが、またよろしい。まあ、この雷神さんが見れたから、いいか、という気になった。

図録はなぜか、写真のように風呂敷で包まれて販売。どうも三越の新館がオープンしたのに合わせて、少々工夫を凝らしたものらしい。こういうのって好きだけど、風呂敷そのものは微妙だな。絵柄は光琳のものだけど、あんまり琳派風ではないし。

ちなみに、三越は新館ができたところで、結構な人出だった。半蔵門線改札の向かいにも入り口ができて、少しは便利かも。しかし、横柄な流通業界系のおっさん達が多くて少々閉口気味。客筋も三越風だし、リニューアルしても……という感じ。宣伝に使われている大和絵風の作品は山口晃によるもので、この辺は救いかも。この絵を含む作品集が「山口晃作品集」として東京大学出版会から10月後半に発売されるらしい。

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2004.01.17

MOTアニュアル2004

1月16日、木場の東京都現代美術館に行く。
「私はどこから来たのか/そしてどこへ行くのか MOTアニュアル2004」(3月21日まで、900円)のオープニングを見る。毎年、恒例のMOTアニュアルだけど、今年で5年目。毎年、年を追って、規模が小さくなってきたが、前回よりは大きいので、ちょっとほっとした。前回は1フロアだったけど、今回は1.5フロア。印象深いのは、北島敬三、山口晃、中ザワヒデキ。

北島の作品は、10年間にわたって撮り続けた人物写真を壁一面に並べたもの。全員、白いシャツを着た半身の写真。そして、それぞれの人物をある程度期間をおいて、もう一度撮る。それをちょっとバラして壁に配置しているので、巨大な神経衰弱みたいな感じだ。

山口晃の作品を生でみるのは初めて。絵巻である。こういうサイズだと、やはり生でみないと。

中ザワヒデキの作品は「現代美術史日本編」というテキスト。かつて「近代美術史テキスト」という小冊子を出版していたけど、ほぼ同じ形態。

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