カテゴリー「森村泰昌」の記事

2016.05.29

大阪の国立国際美術館で『森村泰昌:自画像の美術史―「私」と「わたし」が出会うとき』を見る

Kokusai

 大阪の国立国際美美術館(写真上:高解像度版はこちら)で『森村泰昌:自画像の美術史―「私」と「わたし」が出会うとき』(2016/4/5-6/19:1300円)を見た(公式サイトはhttp://morimura2016.com/)。

 国際美術館は5つある国立美術館のうちの一つ。大阪府北区中之島にある。元は1970年に開催された大阪万博で建設された「万国博美術館」を1977年に国立美術館に転用したもので、2004年から中之島に移転した。建物の構造はかなり変わっていて、すべての施設が地下にある。地上には「帆船と竹の生命力」を模したというステンレス製の棒かパイプで作られた巨大なオブジェのようなものが設置され、その内側にガラスで覆われた案内兼入口がある。そこからエスカレーターで降りて地下1階に降りる。地下1階には受付やミュージアムショップ、レストランなどの設備があり、展示スペースは地下2階と地下3階にある。主に、地下2階が常設展示で、地下3階が企画展示となる。森村展は、メインが地下3階だけど、地下2階も映像展示などに使っていた。ちなみに、上の写真で金属製パイプのオブジェの先に建物が見えるが、そちらは大阪市立科学館だそうだ。

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 森村さんの作品はご本人曰く「私の作品は、私みずから何ものかに扮し、その姿を写真に撮るというセルフポートレイトの写真作品です」、としています。それも美術作品の中の人物に扮して、その美術作品を再構成するというのが、最大の見どころです。今回の展覧会のポスターはゴッホに扮したものかなと思ったのですが、上の写真のようにファン・エイクになってました(高解像度版はこちら)。ちなみに上の写真を撮った場所は大阪駅付近の地下道にある、だまし絵の並んだところです。まあ、このポスターもだまし絵のようなところもあるので、丁度いいのではないかと思います。さらにちなみに、元絵となるファン・エイクの作品は以下のようになります。

Portrait_of_a_man_by_jan_van_eycksm

 今回の展示は「日本の現代美術を代表する美術家・森村泰昌の地元・大阪の美術館では初となる大規模個展を開催します。約70分にもおよぶ、森村としては初めての長編映像作品を含む50点の新作、未発表作と、過去の代表作あわせて132点で構成します」というもの。出展数が132というのはかなり大量なんですが、新作が50点というのも驚きです(ちなみにチラシでは新作30点となってます?)。さらに70分の長編映像作品もある、ということで、超大盛という印象です。

Ok

 行ってみたら、地下2階までは撮影お断りとなっていましたが、地下3階のところに上の写真のように、撮影OKの看板がありまして、とりあえず、気になる作品は撮影しておきました。その一部を紹介します。

 
Ph01

 まず、入口です。この裏側が『第0章 美術史を知らなかったころの「わたし」がいる』。最も初期の作品である、ゴッホの自画像に扮した作品を発表したときのグループ展をそのまま再現しているようです。このゴッホで森村さんの存在を知ったものとしては、その発表場所が小さなグループ展であったというのは、かなり興味深いです。


Ph02

 第1章が、新作22点で構成される『「私」の美術史』。ここにある作品がすべて、2016年作となっているのが信じられない、というくらい完成度が高い。ダ・ヴィンチからマグリットまで、という感じ。

Davinch

Magritte

 このあと、第2章レンブラント、第3章ゴヤ、第4章フリーダ・カーロと旧作を再構成した展示が続き、第5章で日本の近代画家たちの自画像になります。下の萬鉄五郎の自画像が印象深いね。このほか、小出楢重とか関根正二、青木繁が並んでます。


Yozozu_2

 あと、松本俊介の《立てる像》に扮した《松本俊介/わたしはどこに立っている1》と《松本俊介/わたしはどこに立っている2》もいいですね。

Matsumoto_2

 第6章は現代作家。大野一雄、山口小夜子、田中敦子とか。下は岡本太郎の名作《痛ましき腕》。

Okamoto

 第7章はデシャンとかアンディ・ウォーホル。で第8章がベラスケスの《ラス・メニーナス》。ちなみに、この作品は銀座の資生堂ギャラリーで2013年12月に公開されたとき、拝見しておりましたが、あらためて見て、とんでもなく奥の深い作品であることを気づかされました(関連記事:原美術館、資生堂ギャラリーと森村泰昌の作品展をはしごする)。まあ、この作品、意味を考える以前に11人の登場人物すべてを森村さんが扮するというのが技術的に大変なんですが…。

第9章は『「私」の消滅』。サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館での、第二次世界大戦下の美術品疎開をテーマにした作品。すべての額縁には絵がない状態です。

Herrmitage

 第10章は『さよなら「私」と、「わたし」はつぶやく』。わりと意味不明。分類不能な作品をここに持ってきたのかな? とも取れます。《駒場のマリリン》がちょっと懐かしい。

 最後に「自画像のシンポジオン」。森村さんが扮した自画像たち12名と森村さんが一堂に会するというか、最後の晩餐というか、という作品。ガランとした倉庫のようなところに、長テーブルを置いて13人が座っているというもの。

 このあとは地下2階に戻って、70分の映像鑑賞となるのですが、時間がなかったので、見ておりません。この映像については、スクリプトを全文掲載した『自画像の告白: 「わたし」と「私」が出会うとき』(筑摩書房:2300円+税)があるので、それを読んで我慢することにしました。

 まあ、この本を読むことで、ようやくベラスケスの《ラス・メニーナス》の深い意味が分かりました。一読の価値ありかと思います。

 最後にミュージアムショップによって、図録(2000円)と「自画像のシンポジオン」のアクリルジオラマ(1000円)、マグネット5種類(各540円)を購入しました。アクリルジオラマは以下のようなものです。

Panorama

組み立てると下のようになります。ん~どこに置こうかな。


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2013.12.15

原美術館、資生堂ギャラリーと森村泰昌の作品展をはしごする

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 品川の原美術館で「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」(12/23まで、1000円)を見たあと、銀座の資生堂ギャラリーで「AS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」(12/25まで、無料)を見た。森村泰昌のはしごです。

 原美術館の展示は、森村がレンブラントの作品になりきったもの。1994年だから、ざっと20年前に原美術館で開いた個展を再現している、とのこと。レンブラントは自画像もたくさん描いた画家で、若い頃から年老いて落ちぶれたところまで、自画像を描いたことで有名だけど、森村も当然、若者から老人まで演じ、さらに、レンブラントが描いたレンブラントの母、妻、愛人までなりきっている。レンブラントは光と闇のコントラストを使って、人物をドラマチックに描写するのだけど、その当たりもうまく取り入れている。そのためか、暗い部屋の中に、作品が浮かび上がるような照明の演出も施されている。

 展示の最後はその逆で真っ白い部屋の中に、ホワイトアウトした感じのモノクロ写真「白い闇」が部屋の中央にある。たぶん、ライトボックスに巨大なフィルムを貼り付けているんだろう。この作品は屠ったばかりの牛が吊されていて、その横に布の帽子をかぶって、老人となったレンブラントのメーキャップを施した裸の森村が立っている。顔は老人だけど、身体はなかなか鍛えられた感じでアンバランスだ。レンブラントには「屠殺された牛」という作品があって、木の枠に屠殺された牛がぶら下がっていて、それを女性が覗いているという作品。当然「白い闇」は「屠殺された牛」から派生した作品なんだろうけど、それだけでなく、意味の深そうな感じだ。

 ちなみに、三島由紀夫に成りきって切腹直前の演説を模倣するビデオも流していて、久しぶりに見た感じがしたけど、たぶん2006年以降の作品。1994年の再現なのに、なんでこのビデオを流しているのか、少々意図不明でした。まあ、好きだからいいけど。

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 品川から新橋に移動して、銀座の資生堂ギャラリーへ移動。こちらは新作。ベラスケスの「ラス・メニーナス」をテーマにした作品です。「ラス・メニーナス」は11人の登場していて、そのすべてを森村自身が扮装するという、かなり壮大な作品です。作品の背景となるのは、マドリッドのプラド美術館で、ベラスケスの「ラス・メニーナス」が展示されている部屋。この部屋に森村が登場し、絵画の世界に入りこみ、はたまた絵画の世界の住人は展示の部屋に現れたりする、という「全8 幕の活人画」とのこと。ちなみに、「日本及びスペインで今年から来年にかけて開催される「日本スペイン交流400周年事業」プロジェクト」とのことで、スペインもかなり気前よく協力しているようです。ちなみに今回、撮影可でしたので、撮影しました。展示は以下のような感じ。会場の中心にいるのが、今回の作品に使われた人形。人形には顔がありません。


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2008.01.16

「森村泰昌 荒ぶる神々の黄昏/なにものかへのレクイエム・其の弐」を見る

Che_2清澄白河のシュウゴアーツで「森村泰昌 荒ぶる神々の黄昏/なにものかへのレクイエム・其の弐」(2/16まで、無料)を見る。森村泰昌の作品を昨年はいくつか見損なっていたので、ちょっと寒いけど、気合いを入れて半蔵門線の清澄白河へ。そこから徒歩で7分程度。丸八倉庫のビルの中にある5階のギャラリーへ。この倉庫、エレベータは倉庫らしく全自動ではなく半自動である。誰かが使っている間はボタンを押しても何も起きない。使ってないときを狙って、呼び出して乗る。降りたらドアを締めて上げないといけない。まあ、一般的にここじゃないと乗るチャンスがないエレベータ。まあこのエレベータに乗って5階へ。

今回の個展では毛沢東、アインシュタイン、ヒトラー、レーニンといった「荒ぶる神々」に扮するというもの。女性ではなく男性。そういえば、昨年見た唯一の作品は三島由起夫に扮したものだった。森村の興味は男性に向かっているらしい。ヒトラーとレーニンについてはビデオもある。なかなかの完成度。毛沢東の写真が意外とかっこよかったりする。

シュウゴアーツのあと、7階の小山登美男ギャラリーへ。「小出ナオキ展 In These Days」を見る。強化プラスチックを使った大きなオブジェと油絵を展示。パステル調の色調とつるっとしたプラスチックの感じが面白い。

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