カテゴリー「野口哲哉」の記事

2018.08.08

銀座のポーラ ミュージアム アネックスで野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」を見る

銀座一丁目のポーラ ミュージアム アネックスで野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」(無料:2018/7/13-9/2)を見た。野口哲哉さんの作品を初めて見たのは2014年に練馬区立美術館で開催された「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」でした。鎧兜を身につけた武士の人形と武士達を描いた絵を展示してました。人形も鎧兜も精密だけど、とても人間くさい表情をしてました。今回もその延長線にある作品ですが、全体として人形の種類が増えて、小さい作品から大きい作品まであり、絵もちょっと変わったタッチの作品を展示してました。撮影OKでしたので、気になった作品を写真で紹介いたしましょう。

人形が大きくなったなあ、とまず思わせたのが、会場の入口に置かれた《Clumsy heart》(写真下)。鎧兜の武者がハートを描いている、という作品。高さは74cmある。

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この人形の表情は見にくいのだけど、精一杯、背伸びして描いている感じがよろしい。まあ、表情だと下の《Sleep Away》が気に入っております。今回は眠っている表情の作品が多い。

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下のように、元気な方々もいる。

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今回の展示で、興味深かったのは、古い油絵風の絵画。例えば下の《17C ~音楽の寓意~ フェルメールに基づく》はタイトル通りフェルメール風でこれまでにない感じ。この絵の説明に「フェルメールと円空は同い年だ」と書かれていて、その言葉が猛烈に記憶に残ってしまった。

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今回の展示に合わせて、作品集として「野口哲哉作品集 ~中世より愛をこめて~ 」(求龍堂:3000円)が発売されました。まあ、当然購入しましたが、このほか、ポスター3枚とフィギュア2体も購入しました。ポスターは壁に3枚、貼っております。

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2018.05.21

横須賀美術館で「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」を見る

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横須賀美術館で「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」(900円:2018/4/28-6/17)を見た。タイトルの通り、武者絵をテーマにしてます。Webでは「江戸後期には、浮世絵の「武者絵」が爆発的な人気を呼び、多くの作品が生まれました。明治に入ると彼らの勇姿は、民族的な意識を高めるため「歴史画」という新たな絵画ジャンルへと組み込まれていきます。その後歴史画は、戦争の気配が強まるなかでその意義や性格を変えていきます」とのこと。時代を追って、その変遷を見てみようという趣旨らしい。美術家の野口哲哉さんが、解説のイラストを担当していて、これが妙にはまっており、なかなかな感じ。撮影用の絵も飾ってありました(写真上:高解像度版はこちら)。

江戸期の浮世絵というか武者絵、合戦を描いた大判の浮世絵に始まり、明治初期の古事記や日本書紀に題材をとった日本画や洋画、明治後半の歴史画と大正期から戦時下かけての歴史画の変遷を時代背景を追いながら、展示されていました。メインとなる絵の展示の後は、子供用の双六などに描かれた英雄豪傑達や戦前の教科書を取り上げ、甲冑や変り兜ときて、最後に野口哲哉さんの作品が並んでました。

英雄豪傑たちの絵画が、江戸時代は庶民の娯楽、明治は天皇制の浸透のため神話の絵画化、さらに明治政府が体制を整える過程で「歴史画」というジャンルができあがってきた、ということらしい。カタログの解説「『歴史画』の誕生 ―歴史教育のための一高絵画―」によると、明治22年に開校した東京美術学校(現在の東京藝術大学教)の授陣や当時の学生が「歴史画」を明治23~26年に描いていて、その作品が第一高等学校の納品されていたらしい。解説のタイトルにある「一高絵画」とは旧制高等学校の第一高等学校のことで、東京大学の教養学部の前身となる学校です。どうやら一高での歴史教育や倫理教育の一環として制作されたらしい。ここで言及している歴史画は、それこそ学校とか役所とか公共生の高い場所に掲げて、大勢で鑑賞できる絵画という意味になる。いわゆる巻物ではない。そういう意味での歴史画は明治20年代までは存在しなかった、という事実が興味深い。

このほかに、この展示会では、いくつか知らなかったことを教えてくれました。、印象に残ったのは、以下の2点です。まず、ヤマトタケルの妃、オトタチバナヒメのこと。古事記ではヤマトタケルの東征の途中に、オトタチバナヒメが荒海に身を投じて、海を静めるのですが、それが横須賀だったのね。そういうこともあって、オトタチバナヒメの投身する絵が展示されてました。もう一つは三浦義明という武将についてです。まったく知りませんでしたが、源平合戦で源氏に味方した三浦一族の長とのこと。89歳の長寿で、最後は平家方と戦って戦死するという、豪胆な武将です。そして、江戸中期には忠義の士というよりは、長寿のシンボルとして扱われるようになり、鶴とか亀と一緒に描かれるようになる、というのが面白いところです。

あと、今回の出品作品で気になったのが、その作品の提供元です。わりと見たことない作品が多かったのですが、当然、提供元もあまり知らないところです。「中右瑛」と「額縁のタカハシ」がわりと目立ってました。「中右瑛」さんは個人名でした。美術家で「なかうえい」と読むそうです。浮世絵の収集家としても高名な方です。「額縁のタカハシ」さんは名前の通り、額縁制作の企業です。歌川国芳などが描いた川中島の合戦図をかなりの数、出展しておりました。なんと、本店が長野市川中島町にある企業でした。


ところで、横須賀美術館には、初めて行ったのですが、美術館の建物は機能的で美しく、思っていたよりアクセスがよく、かなり満足度が高いです。特にアクセスについては、バスを使うので時間がかかったり、本数が少ないのではと心配しましたが、本数も多く、そんなに時間もかからず、料金も比較的安く済みました。今回は品川から京急で馬堀海岸駅まで行って、駅前の「馬堀海岸」というバス停から「観音崎行」のバスに乗って10分程度で「観音崎京急ホテル・横須賀美術館」に着きます。そこから徒歩2分程度で美術館入り口に到着。バス停のあたりから見ると下の写真のような感じです(高解像度版はこちら)。

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ちなみに、美術館の屋上に上がると、眺めがよく、目の前に浦賀水道が見えます(写真下:高解像度版はこちら)。

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5月25日から展示替えがあるので、天気がよければ、再訪したいです。

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2016.08.18

群馬県立館林美術館で「再発見!ニッポンの立体」を見る

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群馬県立館林美術館(写真上:高解像度版はこちら)で「再発見! ニッポンの立体」(2016/7/16-9/19:610円)を見た。野口哲哉さんの作品が拝見できる、とのことだったので、暑いさなかの館林に行ってみた。閑散としていて、ゆっくり拝見できました。

この展覧会、なかなか意欲的なものでした。というのも、カタログに掲載された、今回の展示会を企画したと思われる三重県美術館顧問の毛利伊知郎さんの解説で、日本の彫刻への疑問として、以下の5つが挙げられていたからです。

1.なぜ日本では近現代彫刻の展覧会はおしなべて集客が難しいのか、また一般の人々の間で「彫刻は分からない」という声がなぜ多いのか。

2.彫刻として紹介される作品とそうでない作品には明確な違いはあるのか

3.なぜ日本近代彫刻史研究と仏教彫刻史研究との間に有機的な関連がないのか

4.なぜ日本仏教彫刻史研究は近年まで室町時代以降の仏像を軽視してきたのか

5.西洋近代発祥の美術史学は日本の多様な立体造形作品理解にどこまで有効なのか

確かに、立体表現としては彫刻も工芸も同じものなのに、彫刻はハイアートで、工芸はロウアート的な考え方は、どれくらい意味があるのか、というのは、頭のどこかにあったし、「なぜ日本では近現代彫刻の展覧会はおしなべて集客が難しいのか」と言われると、確かにそうだなあ、と改めて思ってしまった。

ここでは、そういった問題の答えを出そうということではなく、そういった問題意識のもとに、日本にある多様な立体表現、それこそ仏像から食品サンプルまでをフラットに並べることで、日本独自の立体表現とか美意識を見せようとしているようです。

確かに5つの疑問に答えを出すのは難しいでしょうが、仏像にも食品サンプルにも、立体表現の面白さがあって、そこに面白さを見いだすのが、現代の私たちの美意識なんだろうな、と思うわけです。

というわけで、日本のキャラクター達、ゆるキャラの元祖的なペコちゃんやサトちゃん、だるまも展示されてます。ここだけ、撮影OKでした。

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作品として気になったのは中谷ミチコさんの作品。石膏を彫って、その上に色を塗った作品なんですが、彫ってあるのに浮き上がって見える、という不思議な作品。カタログによると「レリーフ作品は通常の浮彫ではなく、半立体の原型を石膏取りし、そこに樹脂を流した「沈彫」とでもいうべき技法によって作成され、立体と平面の境界を行き来する感覚を与える」とある。

この展覧会は、館林美術館のあと、静岡県立美術館(2016/11/15-2017/1/19)、三重県立美術館(2017/1/24-4/9)に巡回するそうです。

ちなみに、野口哲哉さんの作品が売っていたので、購入しました。ビットマンシリーズの「番瓦」ですね。例によって袋付きです。

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アップにするとこんな感じです。

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ちなみに、群馬県立館林美術館は館林駅のそばではなく、ちょっと離れたところにあります。筆者が行ったのは今回で2回目です。初めていったとき(関連記事:「陽光の大地 ブラジルの日系人画家たちと大岩オスカール」を見る)と同じように、館林まで特急りょうもうに乗って、館林から各駅で隣駅の多々良までいってから、徒歩20分です。多々良は閑散としたところで、駅前にコンビニはなく、天気のいい日にいくと、日陰がないなあ、という感じです。帽子は必須でしょう。最近、はやりの「Pokémon GO」を起動すると、下の左側のようになります。ポケストップは駅と郵便局だけです。そして美術館のあたりに来ると、館林美術館にあるジムが見えます。まあ、道に迷ったらPokémon GOを起動するといいかも?。

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2014.11.09

泉屋博古館分館で「茶の湯 釜の美」を見る

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 南北線の六本木一丁目駅のそばにある泉屋博古館分館(東京)で「茶の湯 釜の美」(12/14まで、800円)を見る。茶釜に興味があるわけでもないが、上のポスターにひかれて行って見た。ポスターに描かれている狸たちが、野口哲哉さんによるものだったからだ。今年の2月に練馬区立美術館で開催された「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」を見て、ファンになってしまったわけで、新作が展示されるほか、新作のメタルフィギュアも販売されるとのことなので、のぞいてみることにした。

 主役は茶釜である。鉄で作られたもので、形はかなりバリエーションがあるけど、基本は回転体である。作り方も展示していていた。回転体の元になる平面図を作成し、それを元に外側の型を作り、型に模様を付け、内側の型を作り、鋳型にして、そこに溶かした鉄を流し込む、というもの。茶釜は今も作られていて、例えば福岡県の芦屋町で、芦屋釜と呼ぶ。「芦屋釜の里」という施設があって、そこに行くと諸々拝見できるらしい。ちなみに芦屋釜は名品で重要文化財の茶釜9点の内、8点が芦屋釜とのこと。南北朝時代から作られてきたそうで、17世紀ごろにいったん廃れたようだ。芦屋釜の里はその廃れた技を復興させるための施設のようです。

 ちなみに、野口氏の作品は、茶釜から、分福茶釜ときて、狸の絵が4点ほどありました。まあ、茶釜だけだと私のような初心者にはつらいので、ちょうどいい配置です。

 泉屋博古館分館は展示室が二つあって、今回は一方が茶釜、もう一つが茶道具の展示でした。茶道具は住友春翠という、住友家15代当主のコレクションを展示してました。えーと泉屋博古館は、住友家が収集した美術品を保存・展示する美術館で本館が京都にあって、分館が東京にある。というわけで、住友家の茶道具コレクションが登場する。建物の写真を下に置いときます。

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 さて、野口哲哉さんの新作メタルフィギュアですが、「分福タヌキ」でした。下が凝った袋と、その中にある金の入れ物。

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 でこちらが、「分福タヌキ」です。お値段1730円。高さは2.5cmぐらいです。タヌキの足が2本しかないのが気になります。
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2014.02.26

「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」を見る

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 練馬区立美術館で「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」(500円、4月6日まで:上の写真の高解像度版はこちら)を拝見した。2月16日開催だったのだけど、雪のため18日開催に延期になったようだ。まあ、それもネタにしているのがいい感じです。さて、この展覧会、タイトルにあるように、武者分類図鑑(むしゃぶるいずかん)である。野口哲哉氏は、武士、それも武者鎧をまとった武士をテーマにしている。作品は武者鎧をまとった人形と一見、古美術のような武者絵に分かれている。今回の展示では、野口氏の作品と本物の鎧兜、武者絵が並んでいて、一瞬、どこまでが野口作品で、どこからが古美術なのか、分からなくなるけど、心地よい混乱って感じだ。

 人形の方は、かなり精巧で、裸の人形を製作して、それに衣装と鎧兜を着せている。この鎧兜が時代考証的にも、しっかり製作されている、とのことだ。さらに、全体にユーモアあふれる構成のおかげで、鎧兜に詳しくなくても、十分に楽しめる。絵の方も、うまく古美術風に仕上げていて、絵に描かれている事件なり人物なりが、過去に本当にいたように、思わせてくれる。

 凝っているのは作品だけではない。まず、図録は青幻社の「野口哲哉ノ作品集 「侍達ノ居ル処。」」はなかなかで、その上、なぜか美術館で購入すると消費税をとらないらしく、2500円で購入できる。125円お得です。

 さらに、どうやら個数限定らしいけど、鉛の人形が販売されている。下の写真のようなものだ。「ロケットマン」と「ホバリングマン」の2パターンで、それぞれ、作家彩色製品と鉛のままの2種類があるので、全部で4体ある。お値段は鉛のままのものが800円で、彩色製品が1500円。あまりにレアな感じがしたので、つい4体購入してしまった。

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 ちょっと拡大するとこんな感じ。左から「ロケットマン」の鉛版と彩色版、「ホバリングマン」の彩色版と鉛版。

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 袋も凝ってます。下が彩色版のホバリングマン。

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 こちらが、鉛版のホバリングマン。

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 ちなみに、京都のアサヒビール大山崎山荘美術館で4月19日から7月27日で、巡回するそうなので、関西の方々はお楽しみに。

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