カテゴリー「琳派」の記事

2016.10.10

サントリー美術館で「鈴木其一 江戸琳派の旗手」を見る

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東京ミッドタウンのサントリー美術館で「鈴木其一 江戸琳派の旗手」(2016/9/10-10/30:1300円)を見た。鈴木其一は江戸琳派の絵師で、酒井抱一の弟子。1796年(寛政8年)に江戸中橋(日本橋と京橋の間)で紫染め職人の子供として生まれ1858年(安政5年)にコレラで死んでいる。ちなみに図録に掲載された解説によると、武家の出身との説もあるそうで、作品は大量に残っているが、その人となりは、不明な点が多いようだ。今回の其一展は、其一の作品以外に、弟子の作品や、其一とそのパトロンや弟子などとの交流が分かる書状などを展示して、其一像を明らかにしようとしている。

展示は基本、年代順です。最初に酒井抱一、鈴木蠣潭(れいたん)。蠣潭は抱一の最初の弟子で、酒井家の家臣でもあります。この蠣潭が若くして狂犬病で死んでしまって、其一が鈴木家に養子に入るという流れだそうだ。1828年の抱一没後、其一は30代で、様々な実験を試みながら、独自の画風を確立し、40代に家督を長男に譲って、絵に没頭、という感じ。

印象的な作品が多いのですが、特に気になったのが3点ありました。まず、私が其一を初めて知った作品で、千葉市美術館収蔵の「芒野図屏風」。枯れススキがパターン化されて、画面全体を覆っている作品です。琳派の装飾美術的なものがとても渋く表現された名品でしょう。今回も前半の短期間ですが展示されてました。

2つめが、メトロポリタン美術館所蔵の「朝顔図屏風」。12年ぶりに日本に戻ってきてます。12年前に竹橋の国立近代美術館で開催された「琳派 RINPA —こんどの「琳派」はちがう」に展示されて以来、ということらしい。まあ、死ぬ前に拝見できてよかった。こちらは期間中、ずっと展示されてます。

もう一つは、東京富士美術館所蔵の「風神雷神図襖」。琳派で継承されてきた画題である風神雷神を、二曲一双の屏風絵ではなく、襖絵にしたところが面白い。襖8面と横長で、大きな作品です。

まあ、残念なのが、サントリー美術館という箱が、狭いこと。「風神雷神図襖」なんかは、もっと奥行きのある空間に置いてほしかった。そして、狭いから展示替えが多い。会期中に4回、展示替えがある。しょうがないので、5000円を払ってサントリー美術館の会員「メンバーズ・クラブ」に入ってしまった。会員になると、入館フリーパスでかつ同伴者1名無料となります。あと図録が10%引きになるし、わりとすぐに元がとれる。チャンスを見ては、行くようにしております。ちなみにフリーパスなので、入場券を購入する必要がなく、カードを見せるだけで入場できます。先日、行ったときは、20人ぐらい並んでいる入場券購入の列を横目で見ながら入れるので、この辺もありがたいところ。

さて、今回は、iPhone 6/6s用のケースを購入しました。下の写真のように「朝顔図屏風」の一部が切り取られております。2500円でした。あと図録も購入。2800円ですが10%割引で2520円でした。図録は作品解説も充実してますが、論文がどれも面白い。特にメトロポリタン美術館キュレーターのジョン・T・カーペンター氏による「詩歌から植物学へ――メトロポリタン美術館の琳派作品」で指摘されていた、琳派と生け花の関連性、そして「朝顔図屏風」がなぜ朝顔なのか、という疑問と、当時、朝顔のブームだったという答えはなるほどねえ、と膝を打つ感じです。ちなみに、朝顔の種類は江戸時代の朝顔の手引き書から「濡れ烏」という品種であるという指摘があるそうです。

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それから、この展覧会、以下の美術館を巡回するそうです。
2016/11/12-12/25 姫路市立美術館
2017/1/3-2/19 細見美術館


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2015.02.22

MOA美術館を見てまわる 光琳屋敷がなかなか

 MOA美術館で光琳アートの展示を見終わったあと、MOA美術館の庭とか広場とかを見てまわる。前回来た時も見たのだけど、まずは光琳屋敷という建物へ。中は下のような感じ、自然光を中心に、落ち着いた雰囲気を演出してます(高解像度版はこちら)。

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 光琳屋敷の名前の通り、「光琳が晩年ここで『紅白梅図屏風』を描いたといわれている」建物を復元したモノ。「重要文化財 小西家文書(文化庁蔵)中に含まれる尾形光琳自筆の図面や大工仕様帖等の資料を基に復元した」とのこと。土間の天井は高く、柱とか梁に立派な木材が使われています(高解像度版はこちら)。


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 下の写真は光琳屋敷を上から撮影したところ(高解像度版はこちら)。

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 こちらは、光琳屋敷のそばにある竹林。そこそこ急な斜面に沿って、竹林がある。谷底から上を見上げて撮影した(高解像度版はこちら)。LX100で、F16まで絞って撮影しました。

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 その後、どんどん上に上っていってみました。下の写真が3階の入り口。駐車場がこのそばにあるので、自家用車で来た場合は、こちらから入ることになる(高解像度版はこちら)。

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 3階から建物の外にある階段を降りていったときの風景。目の前に相模湾が一望できます(高解像度版はこちら)。水平線のあたりにかすんで見えるのが大島で、その左手前にあるのが初島らしい。

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 階段を降りていくと「ムア広場」というところへ。ヘンリー・ムアのブロンズ像「King & Queen」が置かれている。

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2015.02.21

MOA美術館で杉本博司の新作を見るために「尾形光琳300年忌記念特別展『燕子花と紅白梅』光琳アート -光琳と現代美術-」へ行く

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 熱海のMOA美術館で「尾形光琳300年忌記念特別展『燕子花と紅白梅』光琳アート -光琳と現代美術-」(1600円、3/3まで)を見る。熱海に来たのは2009年5月以来。そのときもMOA美術館が目的でした(そのときの記事はこちら)。前回は「特別展 江戸と明治の華 -皇室侍医ベルツを魅了した日本美術-」っていう特別展の入場券がもらえたので、熱海に行ってみたんですが、今回は、当たり前だけど、すべて自腹。なんといっても尾形光琳の300年忌記念で、燕子花図と紅白梅図という国宝2点を一度に拝見できるという、豪華な試みですから。燕子花図は根津美術館所蔵、紅白梅図はMOA美術館所蔵、というわけで、2月の梅の時期にMOA美術館で紅白梅図が公開され、5月に燕子花の咲くころに根津美術館で燕子花図が公開されてきたんですが、今年は特別ということです。ちなみに、4月18日からは根津美術館でこの2点が展示されるそうです。

 熱海まで新幹線で来て、駅からMOA美術館にバスで行こうとしたら、長蛇の列。バスの出発時間10分前にはバス停に並んだんですが、既に満杯。20分後の次のバスに乗ってください、とのこと。次のバスがきてもぎりぎり満杯でさらに次のバスってこともありそうな感じだったので、さっさとタクシーで移動。まあバス代170円に対してタクシー代790円でしたが、時間があまりにもったいない。まあ、バスの後ろをタクシーで追う形になりましたが、バスだと降りるだけでも時間がかかるのを見ながら、とっととMOA美術館の中に入りました(上の写真が入り口。高解像度版はこちら)。MOA美術館の入り口から本館までは、結構、距離がある。エスカレーターで総延長200m、高低差60mとのこと。下の写真がエスカレーターね(高解像度版はこちら)。

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 入場料を払うのは、本館に入ってから。とりあえず、秀吉が作らせたという「黄金の茶室」を復元したものを拝見して(写真下、高解像度版はこちら)、展示会場にむかう。ちなみに、黄金の茶室があるのが2階で、展示は2階を見てから1階に降りてさらに見ることになる。

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 展示会場に入ってすぐに目に入ったのが燕子花図、そしてその向かいに紅白梅図が配置されている。まあかなりの混雑ぶりで、ゆっくり見比べることはできないけどね…。えーと、紅白梅図には須田悦弘の「梅」がさりげなく散らしてありました。さて、江戸時代の琳派の絵は光琳だけですが、かなりの点数を拝見しました。このあと、琳派の影響を受けた明治・大正・昭和と近代&現代の作家の作品が、並びます。まあ、いろいろあるけど、気に入ったのは福田美蘭の「風神雷神図」。それもフランシス・ベーコン風というもの。確かにフランシス・ベーコンが風神雷神図を描くとこうなります、というもの。

 そして、今回、ぜひ見たかったのが杉本博司さんの新作「月下紅白梅図」。光琳の紅白梅図をデジタルで撮影して、モノクロでプリントしたモノを屏風に仕立てたもの。銀塩ではなく、プラチナ・パラディウム・プリントという方式でプリントしたとのこと。黒がしまっていて、墨で描いたような感じがする。今回のカタログ「光琳ART 光琳と現代美術」(角川学芸出版、2592円)のカバーを飾っているのが「月下紅白梅図」(写真下)。

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 ちなみに、このカバーを取ると下の写真のように、光琳の「紅白梅図」が現れるのでした。凝ってますね。

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2011.02.12

「琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派―」を見る

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出光美術館で「琳派芸術」(3/12まで、1000円)を見る。「酒井抱一生誕250年」とあるから、抱一と其一の作品がいろいろと拝見できるんじゃないかと思って行ったら、会期の前半、2月6日までが「第1部 煌めく金の世界」として俵屋宗達、尾形光琳の作品がメイン。主に、宗達って感じで、光琳の絵は割と見たことがあるものばかり。抱一と其一は各1点のみといったところ。まあ、ちょっと面白かったのは喜多川相説の作品。喜多川相説は、俵屋宗達、宗雪に次ぐ俵屋工房の三代目とのことで、光琳へのつなぎ目にいる作家のようだ。でまあ、ほかの琳派作品が屏風全面を使うのに対して、余白を生かしているところと、やたらと金箔を使わずに、切箔&砂子で屏風の余白を埋めているところが微妙に地味でよかったんだけど。

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というわけで、後半戦の「第2部 転生する美の世界」を見てきた。こちらは酒井抱一生誕250年にまあふさわしい内容。抱一、其一が中心で、金より銀が目立って、より渋い江戸琳派のイメージが伝わってくる。個人的には其一の「芒野図屏風」(千葉市美術館収蔵)を久しぶりに拝見できたのがうれしいな。あと、原羊遊斎の蒔絵がよかったな。デザインは抱一、其一によるとのこと。

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2008.10.11

大琳派展を見る

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東京国立博物館へ「大琳派展-継承と変奏-」(11/16まで、1500円)を見にいく。取りあえず、ブルータスと美術手帖で予習してむかう。ずらりと並ぶ宗達、光悦、光琳、乾山、抱一、其一が一回で拝見できるというのはありがたい。特に宗達・光悦の作品が多いのがうれしい。さらに其一が単独で扱われているのもうれしい。

6人のなかで、其一が最も好きだ。思い返せば、其一の「白椿に薄図屏風」を見て、琳派の世界に踏み込んだのだから、まあ当然かもしれないが。ちなみに「白椿に薄図屏風」は表に白椿、裏に薄原を描いた屏風で、私が見たのは薄図の方。辻惟雄さんが館長だったころの千葉市立美術館で見た。こういう屏風。
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なんともモダンと、そのときは思ったもの。ワシントンにあるフリア美術館の収蔵作品なので、その後なかなか実物は見られないのが残念。其一はいい作品ほど海外流出している感じがするなあ。結局、朝顔図屏風なんかも今回はないし。それでも「風神雷神図襖」が拝見できたし、展示会の後半には「夏秋渓流図屏風」が登場する。まあ、この辺は其一ファンとしては楽しみなところ。

ちなみに、宗達、光琳、抱一、其一の風神雷神図が一堂に会するのは、10/28以降の予定。宗達、光琳、抱一の風神雷神図は出光美術館で見たことがあるので、其一との比較をしながらじっくり脳裏に焼き付けておきたいもの。

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2008.08.16

「対決-巨匠たちの日本美術」を再び見る

明日で最終日となる「対決-巨匠たちの日本美術」を東京国立博物館へ見にいく。最終週は俵屋宗達と尾形光琳の風神雷神図屏風を並べて展示してくれる。この2作品のために行ってみる。

夏休みでお盆休みだからもう人、人、人という感じ。9時25分に自転車で到着するも、既に会場の平成館の前に行列ができていた。この炎天下のため日傘が配布されてます。でも豪雨がきたときはどうすんだろう?と疑問を抱きながらも、俵屋宗達と尾形光琳の風神雷神図に直行して、粘って拝見。

さて、缶バッジの収集ですが、24人中14人まできました。まあ、ここまでか。一応、奇想の系譜の若冲、芦雪、蕭白は入手できたからいいか。

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2008.07.14

「対決-巨匠たちの日本美術」を見る

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上野の東京国立博物館で「対決-巨匠たちの日本美術」(8/17まで、1500円)を見る。なんだか凄いことになってます。運慶 vs. 快慶に始まって、雪舟 vs. 雪村、永徳 vs. 等伯とまあ、豪華なこと。国宝と重文がぞろぞろと登場する。対戦の数は全12。並べてみせることで各巨匠の個性を浮き彫りにをしようという試みである。雪村や芦雪、蕭白といったあたりをまとめて拝見できるので、しっかりと見ておきたいところ。若冲 vs. 蕭白、応挙 vs. 芦雪、宗達 vs.光琳が期待通りな感じ。でも意外と鉄斎 vs. 大観が良かったりする。

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東博も商売がうまくなってきた。山口 晃が各巨匠の肖像画を描いて、缶バッジにしたものをガチャポンで販売中。1枚200円で24種類ある。ん〜取りあえず、3枚購入したが木喰さんがだぶってしまった。まあ展示替えがあるので、何回かいくでしょう。

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2007.06.13

畠山記念館で酒井抱一の風神雷神図を見る

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先週の話です。原美術館でヘンリー・ダーガーを見たあと畠山記念館へ移動。「琳派 四季の“きょうえん”」展(6/10まで、500円)を見た。原美術館から1.8km、まあ10分程度。坂を降りないように高輪台とか白金台とかを走る。畠山記念館は荏原製作所の創業者、畠山一清のコレクションを展示する美術館。庭に茶室が6つあるらしい。ともかく鬱蒼とした庭がなかなか。

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敷地内に入ると鬱蒼とした感じ。その奥に美術館本館がある。珍しく、靴を脱いで、なかに入る。太田記念美術館みたい。今回の目的は酒井抱一の風神雷神図を拝見すること。風神雷神図はだいたい屏風絵なんだけど、こちらは対の掛け軸。2つ並べて鑑賞するらしい。風神雷神を上下に配置し、対角線でにらみ合う。その辺の構図が独創的。あと鈴木其一の向日葵図もちょっと面白い。1本のピンと伸びたひまわりを描いているのだけど、江戸時代の絵というより、近代の絵という感じ。

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鑑賞のあとは、庭で写真を撮影して次の美術館へ。起伏のある庭は紅葉のときにも来てみたいもの。

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2004.10.11

日本の美 琳派展2004を三越で見る

rinpa_mitsukoshi日本橋の三越で「日本の美 琳派展2004」(10/17まで、900円)を見る。デパートの展覧会はできれば行きたくないのだが、いくつか見たことがない作品も展示されるらしいので、開館の10時に行ってみた。狭いスペースにそれなりの数を並べるため、通路はクネクネと曲がり、なんとも嫌な感じ。屏風絵は、そこそこ大きいので、引いて見たくなるのだが、狭いから引けない、と文句は多数あるのだけど、展示作品はいいものがあった。

展示は歴史順。俵屋宗達と本阿弥光悦から始まって、江戸琳派で終わる。注目は俵屋宗達の「雷神図屏風」と尾形光琳の「白楽天図屏風」。どちらも六曲一隻。宗達の「雷神図屏風」は初公開とのこと。屏風の真ん中をドロドロと音を響かせながら、雷神が下降していく感じがいい。それに今まで見た雷神のなかでは、最も凶悪そうなところもいいなあ。背景は金砂子を敷き詰めたもので、もやっとしたところが、またよろしい。まあ、この雷神さんが見れたから、いいか、という気になった。

図録はなぜか、写真のように風呂敷で包まれて販売。どうも三越の新館がオープンしたのに合わせて、少々工夫を凝らしたものらしい。こういうのって好きだけど、風呂敷そのものは微妙だな。絵柄は光琳のものだけど、あんまり琳派風ではないし。

ちなみに、三越は新館ができたところで、結構な人出だった。半蔵門線改札の向かいにも入り口ができて、少しは便利かも。しかし、横柄な流通業界系のおっさん達が多くて少々閉口気味。客筋も三越風だし、リニューアルしても……という感じ。宣伝に使われている大和絵風の作品は山口晃によるもので、この辺は救いかも。この絵を含む作品集が「山口晃作品集」として東京大学出版会から10月後半に発売されるらしい。

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2004.09.26

琳派展後半戦に行ってみる

kusama竹橋の東京国立近代美術館で「RIMPA展」をもう1回、拝見した。忙しいのだけど、展示替えがあるので、なんとか早起きして開館直後に行ってみた。10時でも、なかなかの混み具合。まあ、我慢するしかないか。とりあえず、展示替えになったものをさくさく見る。俵屋宗達の「舞楽図屏風」と菱田春草の「黒き猫」が印象的。

ちなみに、琳派展のあとは草間弥生展らしい。ポスターの草間弥生とつい、目があってしまった。

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