カテゴリー「DIC川村記念美術館」の記事

2017.10.19

川村記念美術館で「フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画」を見る

千葉県佐倉市の川村記念美術館で「フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画」(2017/9/9-12/3:1300円)を見た。幕末から明治にかけての黎明期の写真として、印象に残っている写真がいくつかある。例えば愛宕山からのパノラマ写真なんかもその一つ。今とあまり変わらない密度で建物が建っているけど平べったい江戸の街が、150年前の東京といえば確かにそうだろうと思わせる。実は誰が撮影したのか知らなかったのですが、今回の展示でフェリーチェ・ベアトであることを知りました。

図録によると、フェリーチェ・ベアトは1834年にギリシャのキルケア島で生まれ、1909年にフィレンツェで75歳で亡くなっている。日本には1863年に来て、1884年に離れている。基本的には写真家なんでしょうが、なかなか山っ気のあるかで、事業家として不動産や住宅販売を手がけ、さらに貿易や金融関連の投資にも関わったらしい。最終的には投資に失敗し破産して日本を去っている、とのこと。明治維新(1868年)のちょっと前に来日して、そこそこ落ち着いた明治17年に日本を去っている。古い日本が残っている時期に写真を撮影していることになる。

ベアトは写真をまとめたアルバムを制作して販売していたようだ。川村記念美術館は3冊のアルバムを収蔵していて、そこから180枚の写真を展示している。当然、モノクロで、一部着彩したものがある。風景が多いけど、風俗を撮った人物写真もそこそこある。150年前の日本の風景と日本人の写真なのだけど、人物が特に面白い。ちょんまげを結っていたりするけど、今もその辺にいる人物のように思える。生き生きとしているのだ。つまりベアトという写真家の技量を感じることができる、ということだと思う。

今回は、「ベアトの写真に見られる「人物(風俗)」「風景」という観点から、チャールズ・ワーグマン、高橋由一、本多錦吉郎、渡辺文三郎、五姓田義松、浅井忠、小山正太郎、高橋源吉、曽山幸彦、佐久間文吾の作品18点を展示します」とのことで、同時期の絵画が展示されている。ワーグマンの描いた女性たちが印象深い。

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2016.07.06

初夏の川村記念美術館を撮影する

「サイ・トゥオンブリーの写真」を見た後、庭園で撮影してみた。ここの庭園は広く、きちっと手が入った庭園のほかに、自然が比較的そのまま残っている散策路があり、自然な野草から、桜やアジサイなどが育てられている。藤棚もあるし、池は2つあって、蓮と睡蓮がそれぞれ植えられています。これに合わせて、昆虫もいろいろいて、撮影する側からするととても面白い。

まず、美術館の前にある池。池の畔にはジョエル・シャピロの《無題》が設置してある。下の写真の場合(高解像度版はこちら)、左側にある黒いオブジェ。写真の真ん中にあるのがネムノキ。ネムノキは花が咲いている模様。池は窪地にあって、近づくことはできないので、ちょっと分かりにくいけど、ジョエル・シャピロの《無題》のサイズは330.0×180.0×210.0cmとそこそこ大きい。というわけで、ネムノキも大木で10mぐらいの高さがある。それから、池には白鳥がいます。一応、写真に写ってますが、ほぼ白い点です。

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このあと、ちょっと食事でもしておくかと、レストランのある建物に行こうと思ったら、出口専用のゲートがありました(写真下)。レストランに行ってから庭を見ようとか思ったら、このゲートを抜けて、レストランに入り、再度、チケット売り場の横から入って入場券の半券を見せて再入場する必要がある。

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ちなみに、再入場するときに通る鬱蒼とした林があるのですが、ここは季節ごとに雪割草、カタクリ、福寿草、ホタルブクロといった野草が咲きます。この時期はホタルブクロが咲いていました。下の写真がホタルブクロ(高解像度版はこちら)です。

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ここの森は昆虫もいろんなのがいる。下の写真は、ホタルブクロを見たあと、なんかいるなと思ってレンズを向けたところで目が合った感じのカミキリムシ(写真下:高解像度版はこちら)。触角が長いので、ヒゲナガカミキリなんだろうけど、斑点があるようなのでシラフヒゲナガカミキリという種類ではないかと、思われますが、不明です。

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庭の奥に入っていくと、藤棚やら芝生やら、池、針葉樹の林など、日本の自然のいろんな面が体験できます。まず、藤棚(写真下:高解像度版はこちら)。藤の花が咲いて、そのあと実がなっているところ。

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庭の奥の池は2つに分かれていて、手前が睡蓮、奥が蓮になってます(写真下:高解像度版はこちら)。

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手前の睡蓮の池では、ヒツジソウが咲いていました(写真下:高解像度版はこちら)。

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池のさらに奥に行くと、針葉樹の林があります。全体的にアジサイが多いのですが、この林のほうもたくさん咲いてます(写真下:高解像度版はこちら)。

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下はガクアジサイのアップです(高解像度版はこちら)。

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2016.07.04

DIC川村記念美術館で「サイ・トゥオンブリーの写真-変奏のリリシズム-」を見る

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DIC川村記念美術館(写真上:高解像度版はこちら)で「サイ・トゥオンブリーの写真-変奏のリリシズム-」(2016/4/23-8/28:1200円)を見た。DIC川村記念美術館は千葉県佐倉市にあるのだけど、駅前ではない。歩いて行ける距離ではなく、駅から無料の送迎バスで行くことになる。ほぼ山の中で、京成佐倉駅なら30分、JR佐倉駅なら20分かかる。今回は東京駅前から9時55分に出る有料のバスに乗っていってみた。10人程度の乗客を乗せて出発。片道1340円と少々高いが、ほぼ確実に座っていけるし、鉄道で行って、バスに乗り換える面倒はないし、何より速い。1時間程度で到着するし、支払いはSUICAなどの交通系電子マネーでOK。まあ1日1往復しかないので、時間は厳守となるのが厳しいところだけど、利用する価値はあると思いました。ちなみに帰りは15時29分発で東京駅前経由で東雲車庫まで行くようです。一応、バス停があります(写真下)。

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 久しぶりに行ったので、ちょっと驚きましたが、いくつかシステムが変わっていました。川村記念美術館の見所は美術館と庭園で、庭園は無料だったのですが、庭園も有料で200円となってました。2015年3月17日からのようです。そのため、チケット売り場からちょっとした森の中を抜けて美術館に至る道にチケットをチェックするカウンターができてました。その建物は、ちょっとした無料の展示をしていた設備だったんですが、そういうことは辞めてしまった模様です。

 企画展の前に、川村記念美術館のコレクションを拝見。海外も国内も、近代も現代もそろっているのがここのコレクションの魅力。藤田嗣治の《アンナ・ド・ノアイユの肖像》、酒井抱一の《隅田川焼窯場図屏風》あたりがよかったけど、ジョゼフ・コーネルの木箱もよくって、目移りします。フランク・ステラやマーク・ロスコの大作があるもの、ここの特徴です。

 最後に企画展。サイ・トゥオンブリーは画家で、幼児の落書き風な抽象画を描くのですが、写真も撮っておりまして、これがユニーク。解説によるとポラロイドカメラで撮影して、さらに加工したものらしい。全体にクローズアップが多く、ピントはあっていない。野菜とか果物のクローズアップ写真らしきものを見ていると、ある意味絵描きらしく、純粋に色とか形の面白さを、抽出していたんだろうな、という感じ。写真よりも絵画の方がよかったんで、絵画の個展も企画していただきたいと思いました。

 ミュージアムショップでは企画展関連のモノは購入せず、新製品のジョゼフ・コーネルの木箱関連マグネットを購入しました。まず、川村にある7つの箱2×3cmにしたマグネット。

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 作品は、左から《海ホテル(砂の泉)》、《無題(ラ・ベラ[パルミジャニーノ])》、《無題(星ホテル)》、《鳥たちの天空航法》、《鳩小屋:アメリカーナ》、《無題(オウムと蝶の住まい)》、《無題(ピアノ)》。1400円です。この小さなマグネットの下の黒い厚紙のような台紙にくっつくのですが、台紙はマグネットになってないので、台紙のままくっつけることができません。ちょっと残念。

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 上の写真も新製品なんですが、コーネルの箱の裏側も再現したマグネット。作品は《鳥たちの天空航法》。というわけで、ひっくり返すと下のようになります。

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 白い台紙に収まってますが、このままでは貼ることはできません。そこまで、磁力が強くない。台紙の裏には簡単な解説が掲載されております。まあ、箱の裏側にはたしかに興味があるので、展示でも鏡などを使って見せていただけるとうれしいですね。お値段は750円。このほか2種類、《無題(ピアノ)》《無題(ピアノ)》あります。

さて、ミュージアムショップを物色したあと、庭園を散歩して写真を撮影して帰りました。撮影したものについてはこちらに書きました。

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2013.02.18

2月の川村記念美術館

川村記念美術館の欠点でもあり特徴でもあるのが、その場所。佐倉市でも、かなり人里離れたところにある。基本は、自動車を運転していくか、美術館が運営している無料の送迎バスを使う。送迎バスは京成佐倉駅からJR佐倉駅を経由して美術館に向かう。京成佐倉駅から30分かかる。1時間に平日は1本、土日は2本。このバスの時刻表に合わせて、出発しないといけない。ちょっと不便だ。

まあ、その一方で、里山のようなところだから、広い池や林や芝生がある。敷地内にはDIC総合研究所とかもあって、約30ヘクタールもあるそうだ。この一部を、自然散策路として無料で公開している。まあ、美術館に行ったら、だいたい、この自然散策路をぶらぶらしてくる。さらに言うと、美術鑑賞と自然散策はセットなので、天気が悪いときは、自然散策する気にならないので、行く気にならない。

「BLACKS」を見に行った日は、天気もよく、風もあまり吹かずにおだやかな日和でした。こういった日に行くとお得な感じ。自然散策路では1年を通して、何か花が咲いている。例えば2月だと、福寿草が黄色い花を咲かせている。券売場のある入り口から美術館に向かう坂を降りていく途中で咲いている。

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福寿草は3月上旬まで。このほか雪割草も咲いている。雪割草はすみれのような色をしている小さな花だ。これも3月下旬まで見られるらしい。


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あと、万両の赤い実も目立つね。

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美術館のそばには池があって、鳥が飼われている。下の写真がシナガチョウ。ガーガーうるさい。

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こちらは、コブハクチョウ。結構、歩き回ってました。

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散策路を降りていくと、芝生の広場がある。この広場は、季節に合わせた植物を植えている。この時期は菜の花。夏場はひまわりだったりする。

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ちなみにこの広場の真ん中にヘンリー・ムーアの巨大なブロンズ像がある。下の写真の高解像度版はこちら。

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タイトルは「ブロンズの形態」。下の写真の高解像度版はこちら。

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まあ、この広場の先にしだれ桜や白木蓮のある並木道がある。この時期だと、丁度、木蓮のつぼみがきれいだ。

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あと、十月桜がある。咲くのは9月〜11月だけど、一輪咲いていた。


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さて、これくらい見て回って、送迎バスの時間を見ながら、帰路につく。実は送迎バスで通る途中に気になる地名がある。「神門」というところ。

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「ごうど」と読むらしいのだけど「Godo」とアルファベット表記がある。神の門ですから,なんかありそうな感じです。ゴッドと関係あるのかしら,とか。ベケットとの関係は,まあないですよね。ここで待ち合わせするとゴドーで待ちながら,になるかなとか,余計なことを考えながら,通り過ぎてます。

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2013.02.13

川村記念美術館で「BLACKS」を見る

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千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で「BLACKS ルイーズ・ニーヴェルスン|アド・ラインハート|杉本博司」(4/14まで、1300円)を見た。

3人は黒を作品の要素とした点で結びつく美術家だ、という考えでキュレーションされたもの。ルイーズ・ニーヴェルスンは黒く塗装したモノを組み合わせた彫刻作品で、作品によっては巨大な黒い書棚に見えたりする。アド・ラインハートは黒い抽象画で、これも作品によっては黒一色に見えたりするが、しばらく見ているとそうでもないことが何となく分かってくる、という不思議な作品。一見、一番、わかりやすいのが杉本博司の作品だ。モノクロの写真ですから。今回は劇場シリーズをたっぷり拝見できた。

川村記念美術館は佐倉の山の中にある。旧大日本インキ化学工業、現DICの研究所の敷地内にある美術館で同社の創業者や歴代の社長や会社としてのコレクションを展示している。コレクションは多岐にわたっていて、レンブラントの自画像があるかと思えば、印象派や日本の近代、近世の絵画もある。長谷川等伯の重文「烏鷺図屏風」なんてのがあったりする。まあ、それくらいならいいけど、現代美術のコレクションもなかなかで、ジョセフ・コーネルの箱、フランク・ステラの大作なんてのもある。特筆すべきはマーク・ロスコの「シーグラム壁画」とバーネット・ニューマンの「アンナの光」という巨大な抽象画で、どちらも専用の部屋を用意して、展示されている。

これらのコレクションを見てから,「BLACKS」の展示スペースへと移動する。特に,マーク・ロスコやバーネット・ニューマンの赤い作品や,フランク・ステラのあらゆる色を使った彩度が高い作品を見た後に,基本,無彩色の「BLACKS」を拝見するというのは,なかなか目の快楽である。

部屋に入ると,杉本博司の劇場シリーズが壁に掛けられ,白い革張りのいすが部屋の中央にいくつか置かれている。劇場シリーズでは,その作品すべてで,作品の中央あたりに真っ白いスクリーンがあって,暗がりの中に劇場の舞台周辺が映っている。8×10で撮影されたモノクロ作品で,常に決まった方法で撮影されている。それは舞台のスクリーンで映画を1本,映写するのだが,映画を始めるときにシャッターを開いて,終わったときにシャッターを閉じるという,いわゆる長時間露光だ。そのため,スクリーンは白く映り,その周りの映画の光が反射した部分だけが,フィルムに映りこむ。

この部屋を抜けても,まだ杉本作品がある細長い部屋があり,そこを見終わると,ルイーズ・ニーヴェルスンの黒い彫刻の部屋に移る。照明が落としてあって,全体的に暗いところに,黒い大きなモノがある感じ。黒く塗装されているので、素材がよく分からない部分もあるが全て木彫とのこと。箱を積み重ねたような作りで、本棚のような感じがするが、すべて黒い。この存在感はなかなか。

最後がアド・ラインハートは黒い抽象画。まあ、赤い抽象画があるんだから黒い抽象画あってもいいんですが、どうもそういうレベルではない。最初に版画集があって、色見本のような感じがしたけど、よく見ると、微妙に色が違っていて、十字に分かれていたりする。この色の差がぱっと見て分かるものではないのだ。さらに部屋に入っていくと、高さが1.5mぐらいの油彩画があって、いくつかは、ぱっと見たところ全部、黒く見える。たまたま学芸員の方がいらして、説明を聞いて、しゃがんだりして角度を変えながら見ていくと、ある瞬間から十字架風の区切りが見えてくるようになる、ってのをお聞きして、実際にやってみたら、その通りでした。黒という色も奥が深いのね、と思わせる瞬間だ。

ちなみに、カタログは2000円。小さいけど、色の感じもでていて、よろしいかと思います。

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2006.01.09

「ゲルハルト・リヒター展」を見る

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佐倉の川村記念美術館で「ゲルハルト・リヒター —絵画の彼方へ—」(1/22まで、1300円)を見る。ドイツ現代美術家の回顧展。「日本におけるドイツ年」の一環でもあるらしい。リヒターを川村で見るのはほぼ5年ぶり。前回は《ATLAS》というリヒターが1962年から収集した写真とかスケッチを整然と並べたもの。600個超のパネルに複数の写真やドローイングが貼り込まれており、とんでもない量のイメージだった。今回は40年にわたる画業のダイジェスト版という感じ。作品数も50点と少ないが密度は濃い。写真をキャンバスにうつし、最後に筆でぼかしてしまう「フォトペインティング」に始まり「カラーチャート」「アブストラクト・ペインティング」などのシリーズの代表作が展示されている。興味深いのはガラス板を使った作品。《11枚のガラス板》と《直立する5枚のガラス板》の2つ。どちらもごく最近の作品だ。反射と透過が織りなす微妙な世界。角度を変えると微妙に見え方が変わっていく。11枚のガラス板を重ねると鏡のように映りこむのだけど、微妙に色が薄く、縁の部分ではそれぞれのガラスに映った像が微妙にずれながら重なってとても奇妙な感じがする。5枚のガラス板もその回りをぐるぐると回ってみると、ガラスの向こう側にある実像が反射と透過のおかげで虚像のように見える。かなり不思議。

kawamura_kinenn見終わって、少し庭で写真を撮ってからバスに乗ってJR佐倉へ。川村記念美術館は相当に交通の便が悪いところにあるのだけど、まあまあの混み具合。駐車場はほぼ埋まっていたように見えたし、なかなかの盛況でありました。

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2004.02.08

マティス・挿絵本[ジャズ]の世界

2月8日、川村記念美術館にマティスのJazz(3/28まで、800円)を見に行く。

マティスは何冊かの挿絵本を制作しているけど、その最後の作品。色彩の組み合わせがまぶしい作品が20枚並んでいる。グワッシュを塗った紙を切って貼り合わせた作品なんだそうだ。色彩の魔術師という感じ。形のセンスも抜群だ。ちなみに「グワッシュ」って水溶性のアラビアゴムを材料とした「不透明水彩絵の具」のことで特徴は水彩だけど、速乾性に優れ、顔料を使っているのでにじまないこと。単色の美しさが映える。

ちなみに、常設ではジョセフ・コーネルの箱作品が7点、一挙に展示されている。これが個人的には最大の見所。

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